台風の会社対策ガイド|事前準備・前日・当日の全13ステップを解説

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遠藤 香大(えんどう こうだい)

「台風災害の対策を強化したいが、会社で何を準備すればいいだろうか」

「台風が近づくたびに、会社としてどう対策すべきか判断に迷ってしまう」

「台風接近の際の出社ルールなどの対策が明確に決まっておらず、いつもバタバタしてしまう」

台風の脅威が年々増すなかで、多くの経営者や企業担当者が自社の安全対策は十分なのか、不安を感じているのではないでしょうか。

対策不足で従業員の安全を守れなければ、「安全配慮義務違反」の責任を負うことにもなりかねません

会社が取るべき実効性のある台風対策とは、単なる「前日・当日の準備」に留まりません。事前のリスク把握に基づいた体制づくりから、物理的な備品・資材の確保、さらには損害保険による金銭的防衛まで、網羅的な対策を講じておくことが不可欠です。

この記事では、事前準備から台風当日までの具体的な対策方法を、4つの区分にわけて詳細に解説していきます。

本記事を読み終える頃には、ハザードマップの確認方法から備蓄品の選定、そして当日の指示出しのタイミングまで、明日から着手すべき具体的な対策の全容をイメージできるはずです。

ぜひ、最後まで読み進めて、台風に備えてください。

1. 【事前準備1】会社の台風対策の考え方・土台を作成する2ステップ

会社の台風対策を考える第一歩として、まずは自社が直面する物理的なリスクと、組織として背負うべき責任の範囲を正しく認識する必要があります。

なぜならば、「自社は台風による被害が起こるリスクがどのくらいあるのか」「自社の場合どのような法的責任を追及される恐れがあるのか」の両面を理解していなければ、台風被害対策の方向性を決めることが難しいからです。

【事前準備1】会社の台風対策の考え方・土台を作成する(2ステップ)

  • ハザードマップなどで台風被害のリスクを正しく把握する
  • 会社が負うべき法的責任を理解する

実効性のある台風対策を構築するための基盤作りとして、まずは土台部分をしっかりさせましょう。

1-1. ハザードマップなどで台風被害のリスクを正しく把握する

会社の台風対策を考える上では、ハザードマップの確認と、地域で実際に起こった過去の被災情報の確認が欠かせません。

台風は7月から10月にかけて日本へ多く接近し、大雨や洪水、暴風、高潮などを引き起こすだけでなく、河川の氾濫や土石流、地滑りといった命に関わる甚大な被害をもたらします。

氾濫した泥水によるオフィスや工場の浸水、土砂崩れによる建物の全壊、暴風による看板の飛散や窓ガラスの破損、さらには電柱の倒壊による長期的な停電や通信障害など、事業継続を根底から揺るがす事態が想定されます。

台風でどのような被害が発生する可能性があるかを把握し、対策の土台を作るためには、以下の点を正しく理解しておきましょう。

台風被害のリスクを正しく把握する方法

  • 最新のハザードマップを入手して自社拠点が「浸水想定区域」や「土砂災害警戒区域」に入っているか確認する
  • 浸水リスクがある地域では、何メートルの深さまで水に浸かる可能性があるかを把握する
  • 過去にその地域で発生した台風被害(浸水・停電など)の記録を調べて、自社でも起こりえるリスクを把握する
  • 会社の周囲に、突風で飛来物になりそうな看板や資材、または倒壊の恐れがある古い建物や樹木がないかチェックする
  • 従業員の通勤中の災害を避けるため、従業員が通勤に利用する主要な鉄道やバス路線の沿線についても、災害リスクを調べておく

海に近い場所なら高潮、山に近い場所なら土砂災害、都市部ならアンダーパスの冠水、そしてインフラ環境による停電のしやすさなど、地域によってリスクは大きく異なります。

効率的に実効性のある台風対策を講じるために、まずはリスクにかかわる情報を収集することが大切です。

1-2. 会社が負うべき法的責任を理解する

ハザードマップの確認と並行して、企業が従業員に対して負っている「安全配慮義務」などの法的責任を正しく理解することも大切です。

企業には、従業員が生命・身体の安全を確保しつつ労働できるよう配慮する義務が課されており、この義務は台風のような自然災害であっても免れることはできません。

もし台風の接近が予見されているにもかかわらず、適切な出勤停止や帰宅指示を出さずに従業員が被災した場合、会社は多額の損害賠償責任を問われるだけでなく、社会的信用の失墜という甚大なダメージを受けることになります。

安全配慮義務が問われた裁判例

台風の事例ではありませんが、過去には、震災時の安全配慮義務違反があったとして、銀行が損害賠償を求められたケースがあります。東日本大震災で七十七銀行女川支店の屋上に避難し津波の犠牲になった従業員の遺族が、銀行側に対して合計約2億3,500万円の損害賠償を求めた裁判です。この訴訟は最高裁まで争われ、結果的には「屋上まで津波が到達することは予見するのが難しかった」という理由で遺族側の敗訴となりました。しかしながら、逆にいえば「予見できる損害」についてしっかり対応しなければ、安全配慮義務違反として損害賠償責任を認められるリスクは極めて高いといえます

同時に、顧客や利用者の安全を守る義務もありますし、自社が原因で第三者に損害を与えた場合には損害賠償リスクもあります。

会社が法的責任を問われる可能性がある例

  • 公共交通機関の計画運休が発表されているにもかかわらず出社を強要して、通勤途中の駅や路上で従業員が負傷した
  • 避難指示が出ている地域にある事務所や工場で業務を継続させ、建物の損壊や浸水によって従業員が被災した
  • 暴風域に入ってからの帰宅指示により、帰宅困難になった従業員が移動中に飛来物などで怪我をした
  • 帰宅困難者対策条例に基づいた備蓄を怠り、社内に留まらざるを得なくなった従業員に対して健康や衛生上の配慮を欠いた
  • 浸水した店舗の床や階段で顧客が転倒することを予見できたにもかかわらず、滑り止め対策や立ち入り制限を怠った(不法行為責任)
  • 自社の看板や屋上の備品が強風で飛散し、通行人に怪我をさせたり近隣の建物を損壊させたりした(土地工作物責任)

従業員はもちろん、周辺住人や顧客など、どの範囲に対してまで対策するか、どのように実施するかを考えておくようにしましょう。

2. 【事前準備2】会社ごとの台風対策の仕組みを構築する5ステップ

立地による台風災害リスクや法的リスクを明確にしたら、次はそれらのリスクを最小限に抑えるための具体的な仕組みを整えていきましょう。

本章では、ルール作りから物資の備え、金銭的な防衛策まで、実務に直結する準備について解説します。

【事前準備2】会社ごとの台風対策の仕組みを構築する(5ステップ)

  • 従業員を出勤させるかどうかの判断基準を策定する
  • 台風対策シナリオを作成して周知させる
  • 備蓄品リストを作成して用意しておく
  • 台風による被害を守るための対策を準備しておく
  • 台風の損害をカバーできる保険に加入しておく

直前になって準備しようとしても間に合わないため、余裕をもって整えていきましょう。

2-1. 従業員を出勤させるかどうかの判断基準を策定する

台風が迫っているときの従業員の出勤の判断基準をどう定めるか、事前に社内ルールを策定しておくことをおすすめします。

事前に客観的な基準が定まっていなければ、災害のたびに経営層や総務が判断に迷い、結果として指示が遅れて混乱するリスクが高まります

あくまで一例ですが、以下のような判断基準をもとに、台風のレベルや業務に合わせて、前日などに必要な判断ができるよう備えておきましょう。

従業員に出社を命じる判断基準の例

  1. どうしてもその日のうちに社員をオフィスに出社させて対応させるべき業務があるのか
  2. 取引先などとの交渉により、翌日以降に納期などを延期できる余地はないか
  3. 交通機関の運行停止により、出社した社員が「帰宅困難者」になる恐れはないか
  4. 対策本部要員の人数や役割分担に無駄・無理はないか

社内で優先的に復旧するべき業務の精査や、非常時の対応について取引先との交渉などをあらかじめ済ませておくこと、前日や当日の連絡フローを確立しておくことも大切です。

出勤の判断については、「地震や台風が起きたとき、出勤の判断はどのように下すべき?」の記事もぜひ参考になさってください。

2-2. 台風対策シナリオを作成して周知させる

混乱した現場でも迷わず動ける「台風対策シナリオ」を策定しておくことをおすすめします。

台風対策シナリオとは、台風が接近する具体的な設定を考えたうえで、どのタイミングで誰が何をするかという一連の行動を時系列ごとにまとめた計画書のことです。

台風接近時の限られた時間のなかで、「どのタイミングで帰宅指示を出すか」「いつ設備を保護するための行動に着手するか」を決めるのは難しいものです。

事前にシナリオを作成して訓練しておくことで、具体的に「いつ(どのタイミングで)」「誰が」「どのような判断や行動をするのか」が明確になり、心理的な迷いをなくすことができます。

あくまで一例ですが、以下のように、きっかけ・引き金となる「トリガー」と行動をセットで決めておくといいでしょう。

台風対策シナリオに盛り込むべき具体的な連動アクション

  • 気象庁が台風の接近を予測→対策本部を設置して各拠点の備蓄品や設備の固定状況を点検する
  • 鉄道会社の「計画運休」や「遅延の可能性」の予告が出た→即座に従業員へ翌日のテレワーク切り替えや自宅待機の一次判断を通知する
  • 自治体から「高齢者等避難(警戒レベル3)」以上が発令された→業務中であっても直ちに避難や安全確保を指示する
  • 気象庁の「暴風警報」が発令された→数時間前をデッドラインとして、全従業員が交通機関の停止前に帰宅を完了できるような解散指示を出す

なお、災害時でも確実に連絡ができるよう、「安否確認システム」を導入しておくことも大切です。

2-3. 備蓄品リストを作成して用意しておく

台風による交通遮断で帰宅困難者が発生することに備え、従業員が社内で数日間安全に過ごすための備蓄品を計画的に用意しておきましょう。

台風だけでなく別の災害があったときも、従業員を無理に帰宅させず、社内で安全を確保させるためには、生命を維持し健康を守るための物資が不可欠となります。

なお、自治体によっては条例で、帰宅困難者対策として事業者への備蓄の努力義務を定めているところもあります。たとえば東京都では、災害発生時の一斉帰宅の推進の要請とともに水や食料などの「3日分の備蓄」を推進しています。

【3日分の備蓄の量の目安】

項目目安量
1名あたり1日3リットル(例:ペットボトル入り飲料水)
主食1名あたり1日3食(例:アルファ化米、クラッカー、乾パンなど)
毛布1名あたり1枚

備蓄品に加えて、断水によって水洗トイレが使えない場合に備えた簡易トイレや凝固剤の準備、停電に備えたモバイルバッテリーや手回しラジオの配備、救急セット、衛生用品なども準備しておくと安心です。

備蓄品のさらなる詳細や管理方法については、「【防災備蓄】企業防災の備品・備蓄は何が必要?非常食のメンテナンス方法も紹介」の記事もご覧ください。

2-4. 台風による被害を防ぐための対策を準備しておく

浸水や暴風による物理的な損害を防ぐため、自社の拠点の特性(1-1で把握したリスク)に合わせた対策グッズを事前に購入し、すぐに使えるよう準備しておきましょう。

台風の直撃が予想されてから対策を始めようとしても、土嚢(どのう)や養生テープなどの資材がすぐ売り切れてしまい、無防備な状態で暴風雨を迎えることになりかねないからです。

具体的には以下のようなものを用意しておくといいでしょう。

【建物・設備を守る対策グッズの購入リスト】

対策カテゴリ主な購入品
浸水対策止水パネル(止水板)、土嚢(どのう)、排水ポンプ
暴風・飛散対策窓ガラス飛散防止フィルム、養生テープ、防護ボード
IT・データ保護UPS(無停電電源装置)、防水カバー
重要物の移動台車、プラスチックコンテナ
排水対策スコップ、清掃用具

会社の立地により備えておく必要性や数量などが変わるので、自社の状況に合わせて早めに準備しておくことをおすすめします。

こうした費用について、自治体の補助金・助成金が設けられている場合は上手く活用しましょう。

2-5. 台風の損害をカバーできる保険に加入しておく

対策を講じても防ぎきれない損害に備えて、台風の損害をしっかりカバーできる保険に加入しておくことも重要です。

未曽有の規模の大雨などが発生するようになり、「室内まで泥水が入り込んで復旧に多額の費用がかかった」「補償内容が不十分だった」というケースが増えています。

さらに、「台風により営業ができなくなった場合の利益の損失」や「休業中の従業員への休業手当」、「第三者への損害賠償」なども考えておく必要があります。

台風の損害をカバーできる保険か確認するポイント

  • 「火災保険」の補償内容を点検し、台風による「水災(浸水)」や「風災(屋根の飛散など)」がカバーされているか確認する
  • 建物内の機器・商品の被害に備えて、建物だけでなく家財も補償対象になっているか確認する
  • 自社の看板や設備が強風で飛散し、通行人に怪我をさせた際の賠償責任(工作物責任)を補償する内容を充実させる
  • 台風で事業が停止した際の利益減少や固定費を補償する保険も検討する
  • 通勤途中や業務中に被災した従業員に対して、法定の労災保険だけでは不足する見舞金や補償を補う保険を整える
  • 水濡れ(みずぬれ)などの損害をカバーする動産保険などの補償内容を再点検する

損害が大きく保険でまかなえない場合には、事業を立て直せず倒産してしまうリスクがあります。どこまでの補償内容が必要かは、立地のリスクや業態などを考慮して決めていきましょう。

3. 【前日】余裕をもって台風当日を迎えるための対策3ステップ

前章までに構築した「仕組み」や「備え」を最大限に活かすためには、台風の接近が目前に迫った段階での迅速なアクションが不可欠です。本章では、台風被害を未然に防ぎ、当日の安全を確実に手に入れるために「前日」までに完了させておくべき実務を解説します。

【前日】余裕をもって台風当日を迎えるための対策3ステップ

  • 飛来物対策・浸水対策などを実施する
  • 従業員への指示出しと安否確認の準備をする
  • 対外的にも台風対策を告知する(取引先・自社サイトなど)

「台風当日は誰も現場にいかなくて済む状態」をゴールに設定した上で、自社の拠点で必要な作業をイメージしながら読み進めてみてください。

3-1. 飛来物対策・浸水対策などを実施する

台風の最接近が予想される前日などの雨風が強まる前のタイミングで、拠点の周辺環境を点検し、建物と設備を守るための「物理的な補強」を完了させましょう。

前日までに物理的な備えをすべて終えておくことで、台風当日にわざわざ対策のために出社する必要がなくなるため、従業員の安全を確保できます。

台風前日に実施がおすすめの台風対策

  • 屋外にある飛びそうなもの(置き看板やのぼり、プランター、ゴミ箱など)は屋内へ取り込む
  • 動かせない看板など移動が難しい場合は、可能であれば一時的に取り外すなどの対策をする
  • 窓ガラスが飛散しないよう、飛散防止対策がなされていない窓には養生テープや防護ボードで補強する
  • 1階や地下への浸水を防ぐため、止水パネルを設置するか、出入り口に土嚢(どのう)を隙間なく積み上げる
  • 排水溝や雨どいにゴミがたまっていないか確認して、水がスムーズに流れるよう清掃する
  • 浸水の恐れがある拠点の1階にあるPC、精密機器、重要書類などの資産を、あらかじめ2階以上の高所や棚の上段へ移動させる
  • 車両を所有している場合は、冠水のリスクがある低地を避け、建物から離れた安全な高台や立体駐車場などへ避難させる

当日、暴風雨のなかで慌てて外回りの対策を始めるのは、突風による転落や飛来物による負傷の危険が極めて高く、非常に無謀な行為です。そのため、できるだけ前日に対応しておくことをおすすめします。

3-2. 従業員への指示出しと安否確認の準備をする

台風の勢力や進路、公共交通機関の計画運休の情報が確定する前段階から、事前に定めたルールを全従業員に共有しておき、安否確認の体制もしっかり整えましょう。

当日になってから判断しようとすると、従業員がすでに通勤を始めていたり、通信障害や混乱で指示が届かなかったりするリスクがあるからです。

前日のうちに「明日はどう動くべきか」を明確に伝えておくことで、従業員が当日の朝に迷うことなく判断できます。

2-1で策定した判断基準に基づいて翌日の「出勤停止」「リモートワーク切り替え」「始業時間の繰り下げ」などの具体的な指示を全従業員へ一斉に通知しましょう。また、安否確認の必要性や連絡フローも共有しておきましょう。

従業員への指示・準備における直前アクション

  • 2-1で策定した判断基準に基づき、翌日の「出勤停止」「リモートワーク切り替え」「始業時間の繰り下げ」などの具体的な指示を通知する
  • 公共交通機関の計画運休や道路の通行止め予測を共有し、通勤に危険が伴う可能性が高い地域の従業員には個別で自宅待機の徹底を指示する
  • 出社が不可欠な一部の対策要員に対しては、2-3で準備した備蓄品の場所を再周知し、施設内での待機が必要になった場合の行動ルールを徹底する
  • 災害発生時に備えて、安否確認システムのテストや、連絡フローを再確認する

従業員の命を守るため、できる限り台風当日の屋外での活動をゼロにすることをおすすめします。

3-3. 対外的にも台風対策を告知する(取引先・自社サイトなど)

社内の体制が整ったら、台風当日に混乱が生じないよう、取引先への事前の連絡や自社ホームページでの稼働状況の告知も済ませておくのがベストです。

「明日の事務所は閉鎖する」「電話対応ができない可能性がある」といった情報を伝えておくことで、当日の急なキャンセルや、連絡がつかないことによる不信感、トラブルを未然に防ぐことができるからです。

台風が近づいている状況や計画運休の予定はあらかじめ入手できるため、それらの事象をトリガー(きっかけ)にして方針を決めて対外的にも告知を実施しましょう。

対外的にも台風対策方針を告知する具体例

  • 自社ホームページやSNSの公式アカウントに、台風に伴う臨時休業や営業時間の変更、事務所の稼働状況を掲載する
  • 翌日に商品の納品や打ち合わせ、訪問の予定がある取引先に対して、あらかじめ延期やオンライン切り替えの打診を個別に実施しておく
  • 電話の自動応答メッセージを「台風による臨時対応中」の内容に更新し、当日のレスポンスが遅れる旨を伝える

前日のうちにしっかりステークホルダー(利害関係者)への情報発信を完了させておくことで、従業員の無理な出社(例:当日の急ぎの対応など)を防ぎ、従業員の命を守ることに直結します。

取引先に「この会社は危機管理がしっかりしている」という安心感を与えることもでき、結果として企業ブランドの維持を期待できるでしょう。

4. 【当日】減災のために当日実施できる台風対策を講じる3ステップ

前日までにしっかりと準備を整えたうえで、いよいよ「台風直撃当日にできる対策」について解説していきます。

前日までの対策や時系列に沿ったシナリオ策定により、台風への備えは万全な状態になっているはずです。しかしながら、自然災害は予測どおりに進むとは限りません。

台風当日はリアルタイムに情報を入手しながら、状況に合わせて計画を修正しながら従業員の安全を確保するフェーズです。

【当日】減災のために当日実施できる台風対策を講じる3ステップ

  • 早朝に改めて出社に関する最終指示を出す
  • 命を守る行動を優先して避難指示に注視させる
  • 従業員の安否確認や被害状況を収集する

台風当日は「情報の最終確定」と「迅速な安否把握」の把握を最優先する必要があります。自社の対策は万全に整っているか再確認するつもりで読み進めてみてください。

4-1. 早朝に改めて出社に関する最終指示を出す

台風当日の早朝、公共交通機関の運行状況や気象警報の最新情報を確認した上で、全従業員に対してその日の勤務形態に関する「最終的な指示」を出し、対外的な告知も確定させましょう。

前日までの予測と実際の被害状況が異なる場合があるため、当日の朝に「確定した方針」を会社から明示することが大切です。従業員が自分の判断で無理に出社を試みるリスクを確実に排除できるからです。

また、前日までに実施した対外告知を「最終確定」の情報に更新することで、取引先や顧客に対しても一貫した対応が可能になります。

当日早朝の最終指示におけるポイント

  • 前日に予告していた時間(例:朝6時まで)に、安否確認システムやチャットツールを用いて、全従業員へ一斉に「本日の最終指示」を通知する
  • 計画運休の実施状況や暴風警報の発令状況に基づき、前日の「可能性」としての指示から「出社禁止」や「自宅待機」などの確定した指示へと切り替える
  • 従業員への指示と並行して、自社ホームページやSNSにて「本日の事務所は終日閉鎖」などの確定した稼働状況を速やかに更新し、取引先や顧客の混乱を防ぐ
  • 台風が通過して天候が回復しつつある場合でも、吹き返しや交通網の混乱を考慮し、「○時までは自宅待機」「午後はテレワーク」など、段階的に指示する
  • 現場の状況を確認しにいこうとする「自主的な出社」を業務命令として厳禁とし、従業員が自宅で安全を確保することに専念できる環境を作る。

状況が変わっても従業員が迷わないよう、出社を判断するトリガーとアクションを事前に共有しておくことも有用です。

連絡が遅れたり曖昧だったりすると、真面目な従業員ほど無理をして出社してしまい、事故に遭う危険性を高めてしまうので注意しましょう。

4-2. 命を守る行動を優先して避難指示に注視させる

台風当日は、会社からの指示を待つまでもなく、従業員個々の居住地域や拠点の自治体が発令する避難情報に細心の注意を払い、命を守るための行動を最優先するよう徹底させましょう。

自治体が発令する「避難指示(警戒レベル4)」などは、命に危険が及ぶ可能性が非常に高いサインであり、いかなる業務よりも命を優先して行動すべきであることをあらかじめ全従業員に認識させておく必要があります。

会社が全従業員の自宅周辺の状況をリアルタイムで把握して個別に避難指示を出すことは不可能ですので、自分の身を守る行動を取るよう促しましょう。

避難指示に対する会社の対応ポイント

  • 居住地域に「避難指示(警戒レベル4)」や「高齢者等避難(警戒レベル3)」が発令された場合、会社の指示を待たずに避難行動を開始することを推奨/許可する旨を伝えておく
  • 可能であれば、気象庁や自治体の情報を収集して、とくにリスクの高い地域に住む従業員に注意喚起を実施する
  • 避難によって連絡が一時的に途絶えても問題ない方針を明確に示し、自分の身を守ることにのみ集中できる心理的安全性を確保する

台風当日は「個々の判断による迅速な避難」を最優先事項として定義しておくことが、従業員の身を守るために重要です。

4-3. 従業員の安否確認や被害状況を収集する

従業員が「安全な場所に留まっているか」「被災していないか」などを把握するため、台風の通過中から通過後にかけて定期的に安否確認と被害状況を収集しましょう。

前日までに「できるだけ外出させない」環境を整えていても、一部の従業員は出社を余儀なくされる場合があります。また、自宅にとどまっている従業員の自宅が被害に遭い、本人や家族が被災する可能性は残されています。

会社が早期に従業員それぞれの状況を把握しておくことで、翌日以降の復旧支援や業務継続の判断(BCP発動の有無)を迅速に実施できます。

安否確認で収集すべき項目例

  • 安否状況:無事かどうか/負傷している場合は程度などの詳細
  • 現在地:現在の居場所(自宅、会社、外出先など)
  • 出社可否:出社が可能か難しいか、その他、勤務に支障がある理由など
  • 通信手段:携帯・インターネットなどの連絡手段の有無

その他必要に応じて、安否の安否状況やライフラインの状況、交通手段、支援の有無、現場の被害状況なども確認しましょう。

「【テンプレあり】安否確認表の必須項目と活用するメリット・デメリット」の記事もぜひご活用ください。

なお、大規模災害時は回線混雑や通知遅延が発生しやすいため、チャットの特定のスレッドに各自が状況を書き込むなど、あらかじめ決めたルールで実施するのがおすすめです。

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5. 会社の台風対策は定期的に見直してブラッシュアップすることが大切

ここまで、台風災害に対する企業ができる対策を、事前準備や前日・当日に分けて解説しました。今回解説した対策をしっかりとしておけば、安心して備えることができるはずです。

しかしながら、災害対策は一度ルールを決めて終わりではなく、発生後に「対策がどうだったかを」振り返り、反省点を改善していくことが大切です。

時間をかけて綿密な対策マニュアルを作ったとしても、台風が接近したときに実際に行動してみると、予期していなかった課題が見えてくるはずです。

そうした問題点を改善しておくことが、さらに実効性のある台風対策にすることができます。

さらに、組織編成や働き方の変化など、最新の企業の体制に合わせてアップデートし続けることも重要です。

できれば台風に限らず、対象をもっと広げて、しっかりと社内で「BCP(事業継続計画)」を策定することをおすすめします。

BCP(事業継続計画)では、自然災害やサイバー攻撃、感染症などさまざまな緊急事態が発生した場合に備えて、それらの被害を最小限に抑えて、重要な業務を継続・早期復旧することを目指します。

BCPについてさらに詳しく知りたい方は、以下のような記事もぜひ参考になさってみてください。

BCP対策とは?目的やメリット、策定手順をわかりやすく解説

BCP(事業継続計画)と防災の主な違い|大企業と中堅企業のBCPの策定状況も紹介

6. まとめ

本記事では「会社の台風対策」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

◆【事前準備1】会社の台風対策の考え方・土台を作成する2ステップ

  • ハザードマップなどで台風被害のリスクを正しく把握する
  • 会社が負うべき法的責任を理解する

◆【事前準備2】会社ごとの台風対策の仕組みを構築する5ステップ

  • 従業員を出勤させるかどうかの判断基準を策定する
  • 台風対策シナリオを作成して周知させる
  • 備蓄品リストを作成して用意しておく
  • 台風による被害を防ぐための対策を準備しておく
  • 台風の損害をカバーできる保険に加入しておく

◆【前日】余裕をもって台風当日を迎えるための対策3ステップ

  • 飛来物対策・浸水対策などを実施する
  • 従業員への指示出しと安否確認の準備をする
  • 対外的にも台風対策を告知する(取引先・自社サイトなど)

◆【当日】減災のために当日実施できる台風対策を講じる3ステップ

  • 早朝に改めて出社に関する最終指示を出す
  • 命を守る行動を優先して避難指示に注視させる
  • 従業員の安否確認や被害状況を収集する

◆会社の台風対策は定期的に見直してブラッシュアップすることが大切

企業が台風対策を適切に講じることで、従業員の安全を守れるだけでなく、「会社と従業員」そして「会社と取引先」との信頼関係をより強固なものにできます。まずはできることから始めてみましょう。


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