首都直下地震が発生したとき津波はどこまで届く?備えや対策を解説

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トヨクモ防災タイムズ編集部

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地震や津波など、日本は災害が多い国です。首都直下地震や南海トラフ地震など、大規模災害への備えが強く求められています。

この記事では、想定される被害の規模や津波の影響に加え、自治体・企業・個人が取るべき対策をわかりやすく解説します。備蓄やハザードマップの確認など、すぐに始められる防災行動もご確認ください。

首都直下地震の被害想定はどれくらい?

国の発表によると、首都直下地震が発生した場合、死者は約2万3,000人、経済的損失は約95兆円にのぼるとされています。(2013年公表)

しかし、建物の耐震化や火災対策を徹底すれば、死者数を10分の1に抑えることも可能と見込まれています。死者の約7割は火災によるものとされ、「火災旋風」や「同時多発火災」などの二次被害にも注意が必要です。

また、SNSなどを通じた災害デマの拡散も大きな懸念材料といえるでしょう。混乱を防ぐためにも、信頼できる情報源をもとに、冷静な判断を心がけることが大切です。南海トラフ地震および、首都直下地震の被害想定や対策のポイントを知りたい方は、下記の記事もご参照ください。

首都直下地震の津波から身を守るには?

首都直下地震では、津波の影響は比較的少ないとされています。一方で、30年以内に高確率で発生が予測される東海地震では、東京湾に最大10メートル規模の津波が押し寄せる可能性が指摘されています。

津波は地震発生から数分〜1時間以上の時間差で到達するため、地下にいる場合は駅員の指示に従い落ち着いて地上へ避難することが大切です。とくに東京都内には海抜の低い地域もあるため、可能な限り海抜の高い場所へ迅速に避難する備えが求められます。

首都直下地震の火災から身を守るには?

首都直下型地震では、大規模な火災の発生が大きな懸念とされています。とくに東京都内には老朽化した木造住宅が今も数多く残っており、密集している地域では地震による倒壊や火災のリスクが高まるでしょう。

火元は家電や電気設備、ガスまわりなど多岐にわたり、ひとたび火が出ると周囲の建物へ瞬く間に延焼するおそれがあります。避難所の近くであっても、火災が発生している地域には近づかず、できるだけ安全な場所へ避難することが重要です。

南海トラフ巨大地震の津波被害の想定

南海トラフ巨大地震が起きた場合、東京湾内でも津波の影響が懸念されています。江東区では最大2.48メートルの津波が想定されているため、とくに注意が必要です。そのほかの湾岸地域でもおおむね2メートル前後の津波が押し寄せる可能性があります。

地域によって被害の程度が異なるため、自分の住む場所のリスクを把握しておくことが大切です。東京都内の津波予測については、以下の表で詳しく確認できます。

区市町村名予想される津波の高さ(m)
東京湾埋立地1.88
中央区2.46
港区2.40
江東区2.48
品川区2.44
大田区2.37
江戸川区2.07

(引用:南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定について

あらかじめ、お住まいの地域の情報をチェックしておきましょう。

地震の種類

地震のタイプによって津波の発生状況や被害の規模は大きく異なります。ここでは、首都直下型地震と南海トラフ地震など、異なる地震における津波リスクの違いについて見ていきましょう。

直下型地震

直下型地震は震源が浅いため、規模がそれほど大きくなくても強い揺れが局地的に発生するのが特徴です。被害の範囲はおよそ20〜30キロメートルと限られますが、家屋の倒壊や火災による被害が深刻になるおそれがあります。

このタイプの地震は予知が非常に難しく、突然発生する点も大きなリスクです。過去には、阪神・淡路大震災(M7.3)や熊本地震(M7.3)などが代表例として挙げられます。日頃の備えが被害を抑える鍵となるでしょう。直下型地震の特徴を詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご確認ください。

海溝型地震

海溝型地震は、海のプレートが海溝に沈み込む際に陸のプレートを引き込み、圧力がかかり跳ね戻ることで発生します。直下型地震に比べて規模が大きく、震源が海底にあることから巨大な津波を引き起こすのが特徴です。

これまでに関東大震災(M7.9)や東日本大震災(M9.0)など、甚大な被害をもたらした例があり、沿岸地域ではとくに注意が必要とされています。津波への備えも含めた地震対策が欠かせません。

国や自治体が実施する地震・津波対策とは?

地震や津波による被害を軽減するため、国や自治体では多くの防災対策が実施されています。代表的なものには、防潮堤や河川堤防、水門、陸こう、排水機場といったインフラ整備などが挙げられます。

とくに津波や高潮による海水の侵入を防ぐ防潮堤は、沿岸部にとって不可欠な設備です。津波が河川を逆流して内陸部に達するケースもあるため、河口部や河川沿いへの堤防設置も求められます。排水機場は浸水した水をポンプで排出し、被害の拡大を防ぐための要となる施設です。こうした複合的な対策が、地域全体の防災力を高めています。

個人でできる首都直下型地震の津波対策

首都直下型地震では津波のリスクは低いとされていますが、万が一に備えた対策は欠かせません。ここでは、個人でもすぐに実践できる津波への備えについて紹介します。

高台に避難する

地震が起きて津波の危険が予想される場合は、揺れの大きさに関わらず速やかに高台へ避難しましょう。

とくに南海トラフ巨大地震のように、遠く離れた場所での地震が津波を引き起こすこともあるため、油断は禁物です。普段から自宅周辺で地形的に高い安全な避難場所を確認し、緊急時にすぐ移動できるよう準備しておくことが、被害を防ぐポイントとなります。

ハザードマップを確認する

各自治体が発行するハザードマップは、津波などの災害リスクがある地域や避難所の場所、避難経路を示した重要な資料です。ハザードマップを活用することで、災害時に危険な場所を把握し、安全な避難行動が取れるようになります。

多くのマップには、防災に役立つ基本知識や情報収集方法も掲載されているため、事前に確認し、理解しておくことが被害軽減につながります。

避難ビル、タワーに移動する

津波から身を守るためには、避難ビルや避難タワーの利用が欠かせません。避難ビルは、高台までの避難に時間がかかる地域で、一時的に避難できる施設として活用されます。

一方、避難タワーは津波発生時に緊急で高所へ避難できるよう設置された構造物です。高台への移動が困難な場合は、これらの施設を積極的に利用することが安全確保につながります。事前に場所や利用方法を確認しておくことが大切です。

避難経路をチェックする

避難所へ向かう際は、事前に避難経路を確認しておくことが大切です。災害時には被害状況を正確に把握しながら、ハザードマップを活用して安全なルートを選びましょう。

高齢者や車いす利用者など、支援が必要な方がスムーズに避難できるよう、周囲で協力し合い、適切な経路をあらかじめ考えておくことも大切です。安全な避難のための準備が命を守ります。

首都直下地震・津波に備えて自宅や会社でできること

首都直下地震や津波への備えは、自宅や職場での対策が欠かせません。具体的には、下記のような対策が効果的です。

  • 備蓄品を用意する
  • 大きな家具を固定する
  • 地震発生時の連絡手段を確認しておく
  • 住宅の耐震性を高める
  • 会社でBCP策定する

ここでは、日常生活の中で実践できる具体的な防災対策を紹介します。

備蓄品を用意する

まずは災害時に備え、非常用持ち出し袋に必要な備蓄品を準備しておきましょう。必要なものは性別や年齢、家族構成、生活スタイルによって異なります。たとえば、下記のようなものが必要です。

  • 飲料水(500mlのペットボトルで1L以上)
  • レトルト食品
  • 缶詰
  • 携帯トイレ
  • アルコール消毒液
  • ウェットティッシュ
  • マスク
  • 救急用品
  • 歯磨きセット
  • ランタンやヘッドライト
  • 下着
  • 携帯ラジオなど

季節や天候に応じて、カイロやレインコートも用意すると安心です。日頃から持ち物を点検し、使いやすい状態を保ちます。

大きな家具を固定する

地震対策として、大きな家具は事前にしっかり固定することが重要です。クローゼット内では、重いものを下段に置き、軽いものを上に収納するなど工夫すると、安全性が高まります。

寝室には倒れやすい重い家具を置かないようにし、家具の配置にも注意しましょう。こうした対策が被害軽減につながります。

地震発生時の連絡手段を確認しておく

地震発生時に備え、連絡手段を事前に確認しておくことが重要です。たとえば、「災害用伝言ダイヤル171」や「災害用伝言板」などの利用方法を、家族で共有しましょう。電話がつながりにくい状況でも安否確認ができるよう、連絡方法を話し合うことが大切です。

企業でもメールやSNS、専用の安否確認ツールなど複数の手段を用意し、迅速な対応を可能にする工夫が求められます。

住宅の耐震性を高める

住宅の耐震性を向上させることは、地震被害を減らすうえで重要です。設計段階で揺れのエネルギーを吸収し、室内の揺れを抑える耐震構造を採用することが求められます。

耐震基準は2000年に改正されており、それ以前に建てられた住宅は新基準を満たしていない場合が多いため、注意が必要です。必要に応じて修繕や補強工事を実施し、耐震性能を高める対策が求められます。

会社でBCP策定する

企業にとっても、首都直下地震への備えは非常に重要です。企業単位では、BCP(事業継続計画)を策定できると、災害対策がスムーズになります。

BCPとは、災害や感染症などの緊急事態発生時に、重要な事業を継続させたり、中断した場合でも早期に復旧するための計画や体制のことです。

とくに介護業界では、2024年4月からBCPの策定が義務付けられました。ほかの業種では義務ではありませんが、計画を立てておくことで、緊急時に対応できる体制を整えられます。中小企業に必要なBCP策定について、詳しく知りたい方は下記の記事もあわせてご覧ください。

首都直下地震の津波についてのよくある質問

首都直下地震に伴う津波について、疑問をお持ちの方もいるでしょう。ここでは、よく寄せられる質問と回答を、わかりやすく紹介します。

首都直下地震で危ないエリアはどこですか?

首都直下地震で、とくに危険とされる東京のエリアは、荒川や隅田川沿い、品川区の南西部、大田区の中央部、中野区、杉並区の東部などです。

台東区や墨田区の一部地域は、道路基盤が整備されているものの、建物倒壊や火災のリスクが高いとされています。ただし、危険度は区市町村単位で示されているため、これ以外の地域でも局所的にリスクが高い場所が存在する点に注意が必要です。

南海トラフ地震が起きた場合、東京の津波は何mになりますか?

南海トラフ地震が発生した際、東京湾内では最大で約3mの津波が予想されています。

エリア予想される津波の高さ(m)
東京都(区部)3
東京都(島嶼部)31

一方、津波の高さが20メートルを超えると見込まれている都道府県は、主に静岡県や和歌山県、高知県など沿岸部の地域です。

都道府県名予想される津波の高さ(m)
高知県34
静岡県33
東京都(伊豆・小笠原諸島)31
三重県27
徳島県 24
愛知県  22
愛媛県21
和歌山県20

対象地域では、とくに厳重な津波対策が求められています。

BCPの策定にはトヨクモの『BCP策定支援サービス(ライト版)』がおすすめ

首都直下地震の津波リスクに備えるために、企業ではBCPの策定が求められています。企業のBCP対策を支援するものとして、『BCP策定支援サービス(ライト版)』がおすすめです。本サービスは、国際的に認められた英国規格BS25999をもとに、各省庁のガイドラインや日本ならではの事業環境を踏まえて、企業に最適なBCPを作成できます。

策定だけでなく、態勢維持のサポートも充実しており、教育や訓練、演習、監査も実施可能です。BCP策定後も継続的に支援を受けられるため、自社の防災力向上に役立ちます。

首都直下地震の津波に備えて日頃から対策しよう

首都直下地震では、死者約2万3,000人のうち7割が火災によるものと予想されています。日頃から、備蓄品の準備や家具の固定、ハザードマップで安全な避難経路を確認するなどの対策が必要です。

とくに東京都内には海抜の低い地域が多いため、津波発生時は海抜の高い場所へ迅速に避難することが求められます。普段からの備えが、被害軽減につながるでしょう。

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