内部統制報告書とは?記載事項や作成手順などの基本知識を解説

遠藤 香大(えんどう こうだい)
内部統制報告書とは内部統制を客観的に評価し、その内容をまとめた書類です。企業の透明性を高めるための重要な役割を担っており、すべての上場企業に提出義務があります。内部統制報告書を作成しなければ罰則が科せられることから、企業は概要などをあらかじめ把握しておくことが重要です。
そこでこの記事では、内部統制報告書の概要や作成手順について解説します。内部統制の強化につながる安否確認システムについても解説しているので、あわせて参考にしてください。
目次
内部統制報告書とは
内部統制報告書とは、企業内部が正しく機能しているかを経営者が客観的に評価し、その内容をまとめた書類です。会計不正といった不祥事が複数発生したことを受け、企業の透明性を高めるために、国は内部統制報告書の作成を導入しました。
なお、内部統制報告書はすべての上場企業に義務付けられています。企業は上場後、最初の決算日から3ヵ月以内に提出しなければいけません。提出期限を過ぎると5年以下の懲役もしくは5億円以下の罰金が科せられる恐れがあるため、注意が必要です。
内部統制報告書に記載すべき事項
内部統制報告書に記載すべき事項は、以下の5つです。
- 財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項
- 評価の範囲、基準日および評価手続に関する事項
- 評価結果に関する事項
- 付記事項
- 特記事項
それぞれの記載事項について解説します。
なお、内部統制報告書は金融庁が交付しているひな形を活用すると作成しやすいです。
財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項
「財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項」では、以下の3つの事柄をすべて記載します。
- 企業の代表者および最高財務責任者が財務報告に関する内部統制の整備や運用の責任を持っていること
- 財務報告に関する内部統制の整備および運用する際に準拠した基準の名称
- 財務報告に関する内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止または発見できない可能性があること
評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項
「評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項」では、以下の4つについて記載します。
- 財務報告に係る内部統制の評価が行われた基準日
- 財務報告に係る内部統制の評価にあたり、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠したこと
- 財務報告に係る内部統制の評価手続の概要
- 財務報告に係る内部統制の評価の範囲
なお、評価範囲や評価範囲を決定した手順、その方法等などは簡潔に記載します。やむを得ない事情により、財務報告に係る内部統制の一部の範囲について十分な評価手続きが実施できなかった場合は、該当範囲やその理由を記載しましょう。
評価結果に関する事項
「評価結果に関する事項」では評価に応じて、以下の中から該当するものを記載します。
- 財務報告に係る内部統制は有効である
- 評価手続きの一部を実施できなかったが、財務報告に係る内部統制は有効である(実施できなかった評価手続きとその理由についても記載)
- 開示すべき重要な不備があり、財務報告に係る内部統制は有効でない(不備の内容や事業年度の末日までに是正されなかった理由についても記載)
- 重要な評価手続きを実施できなかったため、財務報告に係る内部統制の評価結果を表明できない(実施できなかった評価手続きやその理由についても記載)
付記事項
「付記事項」は、以下のどちらかに該当する場合のときのみ記載します。
- 事業年度の末日後、内部統制報告書の提出日までに、財務報告に係る内部統制の有効性の評価に重要な影響を及ぼす事象が発生した場合には、当該事象を記載する
- 事業年度の末日において開示すべき重要な不備があり、財務報告に係る内部統制が有効でないと判断した場合において、事業年度の末日から内部統制報告書の提出日までに、重要な不備を是正するために実施された措置がある場合には、その内容を記載する
上記に該当するものがない場合は「該当事項なし」と記載しましょう。
特記事項
「特記事項」は上記以外で財政報告に係る内部統制の評価について、記載すべき事項がある場合にその内容を記載します。とくに記載事項がない場合は「該当事項なし」と記しておきましょう。
内部統制報告書の作成手順
内部統制報告書の作成手順は、以下のとおりです。
- 内部統制の整備・評価を行う
- 内部統制報告書を作成する
- 外部監査法人による内部統制報告書の監査を受ける
- 内部統制報告書を金融庁へ提出する
それぞれについて解説します。
1.内部統制の整備・評価を行う
まず、内部統制を整備して客観的な評価を行います。
内部統制には以下の4つの目的があり、それらを達成するためには6つの基本的要素が必要だと言われています。
【4つの目的】
目的 | 概要 |
---|---|
業務の有効性および効率性 | 事業活動の目的の達成するため、業務の有効性や効率性を高める |
報告の信頼性 | 組織内外部への報告で信頼性を確保する |
事業活動に関わる法令などの遵守 | 事業活動に関わる法令やその他の規範の遵守を促進する |
資産の保全 | 資産の取得、使用および処分が正当な手続・承認の下に行われるように資産の保全を図る |
【6つの基本的要素】
要素 | 概要 |
---|---|
統制環境 | 組織の気風を決定し、組織内のすべての者の統制に対する意識に影響を与える |
リスクの評価と対応 | 目標達成に影響を与えるリスクの洗い出しから対策までを行う |
統制活動 | 経営者の命令・指示が適切に実行されることを確保するために定める |
情報と伝達 | 必要な情報が識別、把握・処理され、相互に正しく伝える |
モニタリング(監視活動) | 内部統制が有効に機能していることを継続的に評価する |
ITへの対応 | 業務の実施において組織の内外のITに対し適時かつ適切に対応する |
内部統制報告書を作成する際は、上記を意識しながら内部統制の整備・評価を行いましょう。
(参考:財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査)
2.内部統制報告書を作成する
内部統制の整備・評価を行ったら、その内容をもとに報告書を作成します。先ほど紹介したひな形や記載事項を参考に、内部統制の評価をまとめましょう。
3.外部監査法人による内部統制報告書の監査を受ける
内部統制が実質的に機能しているかどうかを判断するために、外部監査法人による内部統制報告書の監査を受けます。内部統制の整備や運用に不備がある場合は、それぞれに必要な対処を行い、その結果を評価します。
4.内部統制報告書を金融庁へ提出する
内部統制報告書を作成したら、事業年度ごとに金融庁へ提出します。
オンラインでの提出を希望の場合は、金融庁のEDINETを活用しましょう。EDINETは「金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム」で、原則24時間365日稼働しています。有価証券報告書や四半期報告書など、電子的に提出・閲覧できます。
(参考:EDINET)
安否確認システムの導入による内部統制の強化
先ほど紹介したとおり、内部統制の目的を達成するためにはリスクの評価と対応が欠かせません。企業はあらゆるリスクを抱えており、それらへの備えは必須だからです。
近年は地震や豪雨をはじめとする自然災害は多発しているため、災害への備えも必要不可欠だと言えるでしょう。
内部統制を強化しつつ、災害への備えを整えたい方には、トヨクモの『安否確認サービス2』がおすすめです。気象庁の情報と連動して従業員の安否確認を自動で行えるシステムで、専用アプリなどの複数の手段で従業員に安否確認通知を送れます。
安否確認サービス2には数多くの魅力があるものの、とくにおすすめなのが以下の2つです。
- 災害時の状況把握を迅速に行える
- 災害時のリスク管理に役立てられる
それぞれについて解説します。
災害時の状況把握を迅速に行える
トヨクモの『安否確認サービス2』を活用すると、災害時の状況把握を迅速に行えます。
従業員の安否確認情報を一元管理・収集できるため、迅速な状況把握が可能です。従業員の回答結果も自動で集計・分析してくれるため、安否確認にかかる手間を大幅に削減できます。さらに、従業員の家族の安否確認も行えるため、従業員が出勤可能な状態か判断しやすいでしょう。
安否確認サービス2によって手間を省きながら従業員とその家族の被害状況を把握できれば、現場復旧にあたることのできる従業員の確保にも役立ちます。
災害時のリスク管理に役立てられる
トヨクモの『安否確認サービス2』は、災害時のリスク管理にも役立てられます。
災害時は何が起こるか予想できないため、状況に応じて適切な判断を下さなければいけません。つまり、災害からの被害を最小限に抑えながら、起こり得るリスクに対しても迅速な行動をとることが必須です。その際、『安否確認サービス2』を活用すると、従業員と迅速な情報共有や議論を行えます。掲示板機能を活用すると周知させたい情報を共有でき、メッセージ機能では特定の従業員とやり取りを行えます。
安否確認サービス2は大規模災害が発生した場合も安定した稼働が見込めるため、つながりにくいといったトラブルが起こる心配もありません。どのような状況でも従業員とのコミュニケーションをスムーズに取りたい方におすすめのシステムです。
内部統制報告書を作成しよう
内部統制報告書とは、企業内部が正しく機能しているかどうかを経営者が客観的に評価した内容をまとめた書類です。上場企業は事業年度ごとの提出が義務付けられており、忘れずに提出しなければいけません。決算日から3ヵ月以内に提出しなければ罰則が科せられる可能性もあるため、事前に準備しておきましょう。
内部統制の強化には、トヨクモの『安否確認サービス2』がおすすめです。災害時のリスク管理に役立てられ、従業員の安否確認や状況把握を迅速に行えます。掲示板機能やメッセージ機能を活用すれば、被害を最小限に抑えながら事業の早期復旧を目指せるでしょう。
安否確認サービス2は初期費用不要で、30日間のトライアル期間を設けています。無料体験を活用すると、自社に合ったシステムかどうかを見極めてうえで導入できるでしょう。災害時への備えとして、ぜひ無料体験を試してください。