災害時に必要なものとは？非常食など防災用品で用意するものを解説
トヨクモ防災タイムズ編集部
災害時に、本当に必要なものは何かを知ることは大切です。いざという時に、自分や家族を守る大きな力になります。
この記事では、災害時に必要な物資の種類や用途、適切な備蓄量をわかりやすく解説します。家族構成や季節によって備えるべき内容は変わるため、自分に合った備えを事前に確認しておくことが大切です。意外に必要ないものや、準備時に見落としがちなポイントについても見ていきましょう。
目次
災害時に必要なもの一覧
災害に備えるうえで、必要なものを把握しておくことは非常に重要です。災害時に必要なものを、下記の表にまとめました。
| 飲料水 |
| 食料品 |
| 救急用品（ばんそうこう、包帯、常備薬など） |
| 衛生用品（マスク、手指消毒用アルコール、ウェットティッシュ（消毒可能なもの）、体温計など） |
| 生理用品 ※女性のみ |
| ヘルメット、防災ずきん、軍手などの手袋、ヘッドランプ |
| 携帯ラジオ、予備電池 |
| タオル、防寒用アルミシート |
| 安眠用品（耳栓やアイマスクなど） |
家族単位ではもちろん、企業のBCP対策においても備蓄品は大切です。BCP対策において必要なものを知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
防災グッズは「備蓄用」と「持ち出し用」に分けるのがおすすめ
防災グッズは目的に応じて「備蓄用」と「持ち出し用」に分けて準備するのがおすすめです。
備蓄用には、自宅で数日間生活できるように、飲料水や食料、生活必需品を揃えます。災害後すぐに救助が来るとは限らず、インフラの復旧にも時間がかかるため最低3日分あると安心です。
一方、持ち出し用は避難所での生活に備えたもので、必要最低限の物資を軽量でまとめておくことが大切です。それぞれの役割を理解して準備しましょう。
災害時に必要なもの
災害時に命を守るためには、事前の備えが欠かせません。ここでは、災害時に必要となるものについて、用途や必要量などを詳しく解説します。防災倉庫にどのような品を準備すればよいのか知りたい方は、下記の記事もあわせてご確認ください。
飲料水
災害時に備える飲料水は、1人あたり1日3Lを目安に、最低3日分を確保しておくと安心です。家族の人数に応じて必要量を調整しましょう。
水は飲用だけでなく、調理にも使えます。
ただし、溜めた水には雑菌が繁殖しやすく、災害時の疲労やストレスで免疫が落ちた体には感染症のリスクが高まります。使用する際は、衛生面に十分注意することが大切です。
食料・非常食
災害時に備える食料としては、調理不要で長期保存ができるレトルトご飯や缶詰、乾パン、ビスケットやチョコレートなどがおすすめです。
目安としては、一人あたり5食分を基準に、最低3日分の備蓄を心がけましょう。避難生活では栄養が偏りやすく、とくにビタミンが不足しがちになるため、フルーツ缶詰などもあると便利です。
家族の年齢層や健康状態に合わせて、お子さまには甘いもの、高齢者にはおかゆなどの消化によい食品を用意します。避難所では、主食中心の配給が多くあります。そのため、自宅での備蓄では、たんぱく質や食物繊維を補える品も加えておくと、栄養バランスの維持につながるでしょう。
衛生用品・救急用品
災害時の衛生対策として、トイレットペーパーや除菌ジェル、マスク、ウェットティッシュ、歯磨きシート、圧縮タオルなどの衛生用品は欠かせません。
女性は、1〜2日分の生理用品も準備しておくと安心です。小さなお子さんがいる家庭では、おむつやおしり拭き、消臭袋も必要になります。持病のある方は、処方薬を1週間分ほど備えておくと安心です。
災害時には、怪我や病気のリスクも高くなります。備えとして、ばんそうこうや包帯、常備薬などの救急用品も揃えておくとよいでしょう。
貴重品
災害時には電子マネーが使えなかったり、ATMが停止したりする可能性もあります。なるべく、現金は手元に用意しておくことが重要です。小銭を中心に2万円ほど準備しておくと、公衆電話などの利用時にも役立ちます。
身分証明書や健康保険証のコピー、各種手続きに必要な認印も備えておくと安心です。小さなお子さんがいる家庭では、母子手帳のコピーも持っておくと、避難先での対応がスムーズに進みます。事前の準備が、混乱時の助けになります。
照明・非常用バッテリー
災害時の明かりとして、調光可能なランタンや懐中電灯は必需品です。電池式の場合は、予備の電池も忘れずに準備しましょう。
情報収集や連絡手段としてスマートフォンの利用が欠かせないため、モバイルバッテリーも必要になります。ロウソクは火災の危険があるため、避難所などでは使用が制限されることもあります。なるべく、安全性を考慮した照明の備えが必要です。
カセットコンロ
災害でガスの供給が止まった場合でも、カセットコンロがあればお湯を沸かしたり、簡単な調理ができたりと非常に便利です。食事の準備だけでなく、温めたタオルで体を拭いたり、消毒に使うなどの活用方法もあります。
電気やガスといったインフラが使えない状況でも、最低限の生活を支えられるのが、カセットコンロの特徴です。燃料ボンベもあわせて準備しておくと安心でしょう。家庭に1台あると心強いアイテムといえます。
ラジオなどの情報収集アイテム
災害時には、テレビやインターネットが使えなくなるため、防災ラジオの準備が大切です。AM・FM両方の放送が聞けるタイプだと、情報収集に役立ちます。
電池切れに備えて、手回し充電機能が付いているラジオなら、電源が確保できない状況でも安心して使用可能です。こうしたアイテムを備えておくことで、緊急時の情報収集がスムーズになります。
衣類・タオル
災害時の衣類は、3日から1週間分用意するのが望ましいでしょう。下着や寝やすいスウェットやパジャマ、外出時に羽織れる上着、Tシャツなどを準備するのがおすすめです。
タオルは体を拭くほか、目を隠す用途としても使えるため、複数枚持っておくと役立ちます。スペース節約のために圧縮タオルを活用してもよいでしょう。
季節のもの
季節ごとに、備えるべき防災グッズは異なります。春や秋には、花粉症対策用品や気温差に対応できるカーディガン、羽織ものなどが役立ちます。
夏は熱中症予防の塩キャンディーや冷却シート、日焼け止め、日傘、帽子、虫よけスプレーなどが必要です。冬にはカイロやマフラー、手袋などの防寒具のほか、乾燥対策のハンドクリームやリップクリームも欠かせません。季節に応じた準備で快適に過ごせます。
軍手、ヘルメットなど
身の安全を確保するために、ヘルメットや防災ずきん、軍手などの手袋を準備しておくことが大切です。
とくに両手が使えるヘッドランプは、暗闇での移動や作業に非常に役立ちます。災害用ホイッスルは、救助を呼ぶ際に便利で、緊急時の連絡手段として備えておくと安心です。これらの装備は災害時の安全確保に欠かせません。
その他
上記で紹介したもの以外にも、家族の安否確認に役立つ、油性マーカーなどの筆記用具を準備しておくと便利です。ビニール袋やライター、ガムテープ、はさみ、カッター、耳栓なども必要に応じて用意しましょう。
これらは状況に応じて役立つアイテムであり、家族構成や季節に合わせて持ち物を選ぶことが大切です。災害時の備えとして、柔軟に準備を進めることが安心につながります。
災害時に必要なかったもの
災害時に備える際、いくつか必要ないものもあります。ここでは、無駄な持ち物を避け、効率的な準備ができるよう、不要な物品について解説します。
スリッパ
普段使いのスリッパは靴底が薄いため、ガラスや瓦礫が散乱する災害現場では怪我の原因となります。足を守るためには、丈夫な靴を準備するのがおすすめです。
ただし、避難所内での移動が目的であれば、足元の汚れや冷えを防ぐために、スリッパの使用は問題ありません。状況に応じて使い分けることが大切です。
毛布
毛布は持ち運ぶには重いうえ、かさばるため避難行動の妨げになることがあります。加えて、多くの避難所で毛布は用意されており、必要に応じて手に入れやすい物資です。また、悪天候時には濡れてしまうリスクもあります。
防寒対策には、軽くて折り畳み可能なアルミシートがおすすめです。薄くコンパクトで持ち運びに便利ながら、十分な保温効果があるため、避難時の防寒具として適しています。
カップ麺
災害時には熱湯の確保が難しく、カップ麺は非常食として使いにくい場合があります。カップ麺は、容器がかさばるため収納にも不向きです。
代わりに、お湯や加熱なしで食べられる缶詰やレトルト食品のほうが、防災用の食料として優先的に用意すべきといえます。缶詰やレトルト食品は手軽に食べられ、備蓄にも適しています。
テント
避難所では、基本的に野外で寝ることは少なく、大型テントを持ち歩くと避難行動の妨げになる恐れがあります。近年はプライバシー保護や感染対策のために、自治体がテントを備蓄するケースが増えており、個人で新たに購入する必要はありません。
一方で、避難所での仕切りとして使える小型テントは、準備しておくと役立つ場合があります。
災害時に必要なものについてよくある質問
災害時に必要な持ち物について、多く寄せられる疑問や質問をまとめて紹介します。準備の参考にしていただければ幸いです。
非常食として長持ちする食べ物はどのようなものですか？
非常食は、停電などで冷蔵庫が使えない状況を想定し、常温で保存できるものを選ぶことが重要です。缶詰やインスタント食品、パスタ、調味料、乾物などは、長期間保存が可能で災害時に役立ちます。
とくに、半年から1年以上の保存期間がある食品を備えておくと安心です。こうした食品は保存がきくため、緊急時の食料確保に適しています。
防災グッズで役に立たないものは何ですか？
コンパス（方位磁石）やロープ、浄水器は、災害時にあまり役立たないことがあります。コンパスは方角を知るために使えますが、具体的な避難経路を示すものではなく、混乱時には正確な判断が難しくなります。災害時は、自分で方角を調べるよりも、地元の人や避難所の案内に従うほうが確実で安全です。
これらの道具は、状況によっては使いにくいことを理解しておく必要があります。企業向けの防災グッズリストを作成したい方は、下記の記事もあわせてご参照ください。
防災リュックの大きさはどれくらいがよいですか？
防災リュックの容量は、20L以上が目安です。荷物を入れた際の重さは、約10kg以内に抑えるのが理想といえます。
重い荷物でも持ち運びやすいよう、リュック自体は軽量なものを選びましょう。防水加工が施されているものなら、悪天候でも安心です。反射材が付いているリュックは、暗闇での視認性が高まり、自分の位置を周囲に伝えやすくなります。
事前のBCP対策で災害時に必要なものを明確にしよう
自然災害や突発的な緊急事態に備えるためには、BCPの策定が欠かせません。事業継続計画（BCP）の策定を検討している企業には、『BCP策定支援サービス（ライト版）』の活用がおすすめです。
日本特有の法制度や各省庁のガイドラインにも対応した内容で、自社に最適なBCPを構築できます。策定だけでなく、継続的な体制維持のための教育・訓練・演習、監査まで一貫した支援が可能です。策定後も、実際に事業へポジティブな影響を与えるよう、包括的なサポートが受けられます。
災害時に必要なものを準備しておこう！
災害時に備えて準備しておきたい防災グッズは、飲料水や食料、衛生用品、衣類など多岐にわたります。「備蓄用」と「持ち出し用」に分けて用意すると、より実用的です。
一見、役立ちそうなカップ麺や毛布、テントなどは、実際には使いづらく不要と感じる声もあります。甘いお菓子やレトルトのおかゆなど、家族構成や年齢に合わせて準備することが、安心した避難生活につながります。
