リソース管理とは?管理方法や活用方法をご紹介

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遠藤 香大(えんどう こうだい)

ビジネスにおけるリソースはヒト、モノ、カネなど多岐にわたります。そして、これらリソースの管理がプロジェクトを左右します。

今回はリソースの管理方法や活用の仕方を紹介しますので、ポイントとなる部分をチェックしましょう。

リソース管理とは

ビジネスにおけるリソース管理とは、企業が人材、資金、物資、設備などのリソースを効果的に活用し、目標を達成するためのプロセスです。効果的なリソース管理は生産性の向上、コストの削減、競争力の強化などをもたらします。

すべての「資産」を適切に管理・運用

リソース管理は、ビジネスでのさまざまなリソースを最適に管理し、効率的な運用を目指す取り組みです。

一般的には「人材・ヒト」「施設・モノ」「材料・カネ」が主要なビジネスリソースとされていますが、さらに「時間」「情報」「知的財産」なども含まれます。

企業が発展するには、リソースを最大限に活用し、最良のパフォーマンスを発揮することが重要です。リソースマネジメントは、これらのリソースを戦略的計画のもとで効果的に利用することで、企業の成功に寄与する役割を果たしています。

リソース管理の重要性

リソース管理は、組織やビジネスの持続的な発展を確保するためには不可欠です。重要なのは、人的資源、物理的資源、運用資金をバランスよく管理することです。こうしたマネジメントは、効率的な運用、コスト削減、戦略的な意思決定、生産性の向上などをもたらします。

対象となるリソースと管理方法

リソース管理の対象となる主要な要素として、「ヒト」「モノ」「カネ」「時間」「情報」「知的財産」の6つを挙げたいと思います。いずれも企業運営に欠かせないリソースと言えます。

ここからは、各要素の定義ならびに管理方法についてポイントを確認しましょう。

ヒトの管理

「ヒト」の管理は、HRM(Human Resource Management)と呼ばれ、主に人事部が管轄します。近年では、人事部をHR部と改名する企業も増えてきました。

ヒトの管理では、従業員のスキルや経験を管理し、人事計画、配置、評価を行います。評価においては、目標管理やフィードバックを通して、従業員の行動を結果につなげるパフォーマンスマネジメントを実行します。

「ヒト」といっても個人だけでなく、チームの構築、リーダーシップの育成、従業員の仕事や組織に対するモチベーションの維持なども管理対象です。

モノの管理

モノの管理となる対象は、PCやコピー機などのオフィスツールから、設備や施設などのインフラ部分まで多岐にわたります。企業によっては、物流や在庫管理などを管理する必要もあるでしょう。

管理する「モノ」によって管轄する部署は変わりますが、大切なのは、もっともコストパフォーマンスのいい方法を選択することです。必要なモノをあらかじめ把握して、必要なタイミングで使えるように調整する役割を担います。

カネの管理

企業運営をするにあたって、お金の管理も欠かせません。資金、資本、資産などの財政的バックボーンをベースに、予算管理や経費管理を適切に行います。人材の採用や雇用にも当然、お金の投資が必要です。

また企業を運営するには設備や備品の購入資金を用意しなければなりません。IT化の進行により、社内ネットワークの構築やクラウドサービスにもお金がかかります。

このように企業活動にはさまざまな費用がつきものです。資金を適切に運用し、枯渇しないように管理しましょう。

時間の管理

時間の管理にはさまざまな視点があります。

近年、働き方改革の推進によって、残業時間の減少や生産性の向上が求められています。限られた業務時間を最大限に活用し、従業員に高パフォーマンスを発揮してもらうマネジメントが必要です。

また、プロジェクトを進めるにあたっても、スケジュール管理が重要です。プロジェクトの遅延は経営計画に影響を与えかねないので、プロジェクトマネージャーの手腕が問われます。期限や納期の管理も見逃してはいけません。作業ごとに目標を定め、達成率を定期的に振り返りましょう。フィードバックを実施することで、業務の効率化を行うことが可能です。

情報の管理

情報の管理には3つの視点があります。

1つ目はデータの収集、分析、利活用です。人材リソースの把握や、顧客情報の管理を行うことで、営業提案から人材育成まで幅広く活用できます。

2つ目はITインフラとデータベースです。ITの活用は、企業の将来的な展望にも関わります。どのようなITテクノロジーを利用し、どのようにデータベースを管理するのか、ここに企業の質が問われることが多くなりました。もちろん情報漏洩で企業価値を毀損しないために、しっかりと管理することも大切です。

3つ目はコミュニケーションと情報共有です。業務が専門的になるほど、情報が共有されず属人化する傾向にあります。会社にマッチしたコミュニケーションツールを選び、従業員全体でコミュニケーションを促進することで、情報共有を進めることが大切です。

知的財産の管理

IP(Intellectual Property)とも呼ばれる知的財産は、法的に保護された特許、商標、著作権などを指します。知的財産はビジネスにおいて、他社との差別化を図り、将来的に企業の強みとなる存在です。企業内にどのような知的財産があるのか、組織内で厳格な管理を行い、情報を共有することが大切です。

結果として、製品の開発に留まらず、知的財産をベースとしたイノベーションや研究開発も促進できます。この点において、知的財産は企業価値向上に欠かせないリソースと言えるでしょう。

リソース管理のメリット

適切なリソース管理を行うことで、企業は多くのメリットを享受できます。それは生産性の向上、コスト削減、競争力の強化、リスクマネジメントまで多岐にわたります。

リソース管理は、企業の長期的な成功や持続に大きく寄与するメソッドなのです。

適切なリソースを配分できる

リソース管理を行うことで、リソースを適切に配分できます。

利用可能なリソースを活用して目標を達成するために、日頃からリソースを定量的に把握し、優先順位や効率的な利用方法を検討しましょう。そうすることで、プロジェクトの各工程へ効率的にリソースを配分でき、進捗管理のモニタリングを通して、再配分や調整を行うことも可能です。

リソース配分は組織全体の効率性や成果に直結するため、戦略的で柔軟性のあるアプローチが求められます。

業務の全体像が把握できる

リソース管理は、人的、物的、財政的リソースの活用方法をトータルで理解し、企業全体のパフォーマンスを最適化する手段です。プロジェクトの全体把握と可視化には、リソース管理は必須なのです。

リソースが適切に管理されていることで、リソースの透明性が担保され、全体のリソースバランスを調整できます。そのため、効率的な業務プロセスを構築できるのに加え、管理されたデータを分析することで、プロジェクトの評価や課題を正確に把握できます。

スケジュールが管理できる

リソース管理を行えば、プロジェクトや業務のスケジュールをより効率的に計画できます。

人的リソースを適切に配置することで、リソースの負荷を平準化する役目も果たしてくれるでしょう。スケジュール管理によって工程の遅れや停滞が可視化され、リアルタイムでのスケジュールの更新が可能です。結果的にスケジュール管理の質が向上し、計画どおりのプロジェクト進行と、合理性のあるリソース配分をもたらします。人的リソースの競合も避けられるでしょう。

リスクマネジメントができる

リソース管理が適切に行われると、リソースの不足や過剰、プロジェクト内で生じるトラブルを回避するための再配置といったリスクマネジメントが可能です。たとえば「カネ」の部分に焦点をあてることで、予算と費用面でのリスクマネジメントを実現できます。予期せぬ費用増加なども最小限に抑えられるでしょう。

リスクマネジメントによってプロジェクトの成功確率が上がり、予期せぬ問題への対応力も向上できるのです。

プロジェクト実行におけるリソース管理の活用法

プロジェクトの実行を例に、リソース管理の具体的なやり方についてチェックしましょう。

準備段階、プロジェクト計画の策定、プロジェクトの実行および課題解決と、プロセスごとにやるべきことや注意すべきポイントがあります。

必要なリソースを洗い出す

準備段階として、必要となるリソースを洗い出しましょう。

スキルや経験を考慮した人的リソース、設備やツールなどの物的リソース、予算や資金などの財政的リソース、さらには情報やデータなど、スタートするプロジェクトに必要なリソースを特定します。

それから、各リソースについて必要となる、数的あるいは質的な要件を見積もりましょう。これにはスキル、経験、予算規模などによってパフォーマンスが左右されます。

もしリソースが不足する場合には、プロジェクト開始前に、社内外でリソースを確保するよう取り組みましょう。

プロジェクトを計画する

必要となるリソースの目処が立ったら、具体的なプロジェクト計画フェーズに入ります。計画に含むのは時間的な項目だけでなく、タイムラインに沿って投入すべき各リソースの量も含めましょう。

重要なリソースには優先順位をつけます。どのリソースが最初に必要かを決めましょう。優先順位は、プロジェクトの目標や作業手順、緊急性をもとに決定します。

プロジェクトの計画が決まれば、内容やスケジュールを関係者間で共有しましょう。共有することによって、トラブル発生時に軌道修正の負担が軽減されます。

課題、問題点を把握する

プロジェクトの進行中には、さまざまな課題や問題点が浮上します。

リソースの過不足、ミススキルマッチング、プロジェクトの要件変更など、課題や問題点を事前にすべて予想するのは困難です。そのような状況になったらすぐに関係者間で状況を共有して、必ず徹底的に解析しましょう。

また、リソースのトラッキングとモニタリングを継続的に行うことにより、できるだけ早い段階で発見できる仕組みを作ります。仕組みづくりには、関係者との定期的なコミュニケーションが欠かせません。

繰り返しますが、チームメンバーや利害関係者との協力を確保し、情報共有を行うことが何よりも重要です。

課題、問題点への対策を実施する

把握した課題や問題点は、できるだけ速やかに原因を分析し、対策を実施します。リソースのトラッキングとモニタリングから得られたデータをもとに、客観的に対応しましょう。

イメージや過去の経験則のみで対策を実行することは危険です。リソース管理で把握しているデータを可能な限り活用しましょう。

対策を実施して効果がない、あるいは少ないと判断した場合は、別の対策を考えます。別の対策が見つからないときは、そもそも問題点の解析が正しかったのかを見直します。

いずれのケースにおいても、リソース管理における各データを照らし合わせながら、客観的判断のもと対策を講じましょう。

リソース管理とBCP(事業継続計画)の関係

BCPとは、Business Continuity Planの略で、日本語では「事業継続計画」などと訳されます。自然災害やテロ、感染症などに対して、被害を最小に抑えるとともに、たとえ被害・影響が出てしまったとしても、適切な対応で速やかに事業活動を復旧・継続させることを目的とした計画です。

リソース管理はBCP (Business Continuity Planning)の実施においても重要な要素です。

これはBCPが、事業継続性の確保に必要なリソースを適切に保つこと、災害発生時に利用可能であることを前提としているためです。

被災時にはリソース管理が活きる

緊急事態下では、企業はリソースの適切な配分を迅速に行わなければなりません。たとえば災害発生時、安否確認に投入できるリソースの把握は必要でしょう。こうしたリソース配分は、リソース管理ができているからこそ有効に作用します。初動対応においても、各リソースを有効に活用する意識で臨みましょう。

また、BCPでは「レジリエンス」も重要なキーワードです。レジリエンスは困難やストレスに立ち向かう能力のことです。こうしたレジリエンスにはリソース管理が大きく貢献します。BCPにおけるレジリエンスの詳細は、下記サイトを参照してください。

事業継続のために適切にリソースを配分できる

事業継続のために、BCPという計画そのものの策定・改善をプロジェクトとして考え、リソース管理の対象としましょう。

緊急事態時に限られたリソースを適材適所に配置することは、日頃からリソース管理に慣れていることで、より効果的に実行できます。手始めにBCPを作成しましょう。

計画を作ることで、各リソースの現状把握や過不足への対応などが明確化されます。トヨクモの「1時間で作成!BCPマニュアル」などを参考に、自社の現状にあわせてBCPを作ってみましょう。

まとめ

リソース管理は業務の効率化、費用の削減、生産性の向上はもちろんのこと、BCPにおいても欠かせない存在です。

なお、災害時にもっとも大きな影響を受けるリソースは、人的リソースです。人的リソースの確保や把握にあたって、安否確認システムの導入をおすすめします。トヨクモが提供する『安否確認サービス2』は30日間無料でお試しできるので、リソース管理を考える際は参考にしてみてもいいでしょう。

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