BCP訓練とは?すべき理由・種類・具体例から行う時のポイントまで
福岡 幸二(ふくおか こうじ)
「BCP訓練を命じられたが、具体的に何から手を付ければいいのだろう?」
「介護のBCP義務化で訓練が必要だが、実際どの訓練をやればいいのかわからない」
「BCPは策定したけど、訓練ってどのレベルでどんな内容にすればいいのかな?」
BCPの訓練をしようと決めても、「具体的にどんな内容がいいのか」「どこまでやれば効果があるのか」がわからない企業担当者は多いのではないでしょうか。

結論からいってしまうと、BCP訓練は
・「机上訓練」から「実地訓練」へと段階的に進めること
・訓練を実施して終わりではなく、評価・改善を繰り返していくこと
この2つがとても重要です。
この記事では、「BCP訓練にどんな種類があるのか」や「なぜ訓練がこれほど重要なのか」「他社が行っている訓練の具体例」を見ていくなかで、会社の習熟度に合わせた実効性の高い訓練体制を構築できるようにします。
完璧なBCP計画やマニュアルを策定しても、適切な訓練を行わなければ実効的なBCPにはなりません。
この記事を読み終わるころには、自社で必要なBCP訓練の方向性や内容が確定し、最初の一歩を踏み出せるはずです。ぜひ最後までお読みください。
目次
1. BCP訓練とは
まずは「BCP訓練とはなにか」「どのように行うのか」という基本的な情報をまとめて解説していきます。
BCP訓練は、実際に緊急事態が実際に発生したときに、策定したBCPが有効に機能するかどうかを確認するために非常に重要なものです。
本記事でこのあと解説していくBCP訓練の種類やメリット、他社事例に入る前に、BCP訓練の概要や意義などをしっかり理解しておく必要があります。
すでに「BCPを策定している」「BCP訓練も行っている」という方でも、ぜひ「実効的な訓練ができているか」を考えながら、読み進めてみてください。
1-1. BCP(事業継続計画)に沿って行う訓練のこと
BCP訓練とは、あらかじめ定めた「BCP(事業継続計画)」に沿って行う訓練を指します。
たとえBCPの内容が素晴らしく良くできていても、その内容どおりに実行できなければ意味がありません。訓練を通して「BCPの内容に不備がないか」「実現できる内容になっているか」「具体的な行動が明記されているか」などを検証します。
| BCP(事業継続計画)とは?BCPとは「Business Continuity Plan」の頭文字を取った言葉で、日本語では「事業継続計画」といいます。自然災害やパンデミック、サイバー攻撃などの緊急事態発生時に、被害を最小限に抑えながら、事業の早期復旧・継続を目指すための計画を指します。 さらに詳しく知りたい方は、「BCP(事業継続計画)とは?専門家がわかりやすく解説」の記事をご参照ください。 |
BCP訓練を行ってBCP(全体やマニュアル・シナリオなど)の課題をあぶりだし、よりよいBCPにブラッシュアップしていく目的があります。
1-2. BCP訓練を進める流れ
BCP訓練を進めるうえでは、「どのようなBCP訓練を行うか」を考えて実行し、訓練を行った後に内容を評価・改善することが重要です。
【効果的なBCP訓練を進める流れ】
| ステップ | ステップごとの内容 |
| 1.計画を立てる | 自社の弱点に合わせて「今回の訓練で何を検証するか」という目的を一つに絞り込み、具体的な被災シナリオを設計します。 |
| 2.準備をする | 訓練用マニュアルや評価シートの作成に加えて、想定する状況に応じた準備(安否確認システムやIT復旧ツールの設定、感染防止用の衛生用品の調達など)をおこない、スムーズに実施できる環境を整えます。 |
| 3.実施する(本番) | まずは判断基準を話し合う机上訓練から始め、慣れてきたら実際のモノや人を使ってBCPの有効性を実践的に確認します。 |
| 4.評価する | 「マニュアルどおりに動けたか」だけでなく、現場で発生した想定外の課題や参加者の本音を多角的に振り返り、客観的に採点します。 |
| 5.改善する | 訓練で見つかったマニュアルの不備や不足していたリソースを整理し、それらをBCP本体へ反映させることで計画を最新の状態にアップデートします。 |
いきなり大々的な訓練を行おうとせず、最初は「机上訓練」から始めて、次に「安否確認の訓練」や「部署ごとの訓練」を行い、最後に「総合訓練(全体での訓練)」を行うなど、段階的にBCP訓練を実施していくことが重要です。
1-3. 業種によってはBCP策定・訓練が義務化されている
業種によっては、BCPの策定・訓練が義務化されている点も知っておきたい基本情報です。
たとえば、2021年の介護報酬改定により、2024年4月から介護事業者にはBCPの策定と、BCPを共有するための研修、BCPに基づいた訓練の実施が義務化されています。
| 介護事業者に課せられているBCP義務化の概要・感染症と自然災害の2つのパターンでBCPを策定し、研修と訓練を行うことが義務付けられている・BCP未策定の事業者は、介護報酬の減算措置が行われる可能性がある |
BCP義務化が実施されていない業種であっても、BCPを策定せず必要な訓練を怠った場合、安全配慮義務(従業員の安全・健康を守る義務)違反に該当する可能性があるため注意が必要です。
「義務化されていない業種だから、やらなくていい」と考えるのではなく、自社の損害を最小限に抑え、従業員や顧客の安全を守るための危機管理の基盤として捉える必要があります。
策定した計画を形骸化させず、いかなる緊急事態でも迅速に機能させるために、訓練は欠かせないプロセスといえます。
2. BCP訓練の種類(3段階・11種類)
ここからは、さらに「BCP訓練とはどういうものか」を理解するために、BCP訓練にはどのような種類があるのかを解説していきます。
BCP訓練のなかには多種多様な種類があり、企業ごとのフェーズや想定する状況、部署によって、最適な訓練を選択して(または組み合わせて)実施するのが効果的です。
実際に動かずにシミュレーション上で行う「机上訓練」から始めて、次に「実地訓練」を行い、本格的に訓練を行いたい場合に「総合訓練」を実施するのが一般的なセオリーです。
自社組織の「BCPに対する習熟度」や「目的・想定する災害」を思い浮かべながら、「机上訓練・実地訓練・総合訓練どの訓練を行うのか」「そのなかでもどの訓練が効果的か」をイメージしながら読み進めてみてください。
2-1. 机上訓練(BCP研修・図上訓練・ワークショップ訓練・ロールプレイング訓練)
机上訓練は、実際の行動を伴わずに会議室やデスク上で行われる訓練の総称です。策定されたマニュアルの整合性を確かめたり、判断プロセスをシミュレーションしたりすることを目的としています。
物理的な移動や設備の稼働を必要としないため、比較的短時間で計画の不備や矛盾を洗い出すことができます。
【机上訓練に含まれる4種類の訓練】
| 訓練の種類 | 訓練の内容 |
| BCP研修 | 自社で策定した基本方針やマニュアル、安否報告の手順などを全社的に周知・学習する |
| 図上訓練(DIG) | 地図や施設の図面を用い、被害想定に合わせて状況整理や対応方針の検討を行う |
| ワークショップ訓練 | 参加者が特定のテーマについて討議し、課題に対する解決策を練り上げる |
| ロールプレイング訓練 | 対策本部長などの役割を演じ、提示される状況への判断や指示出しを疑似体験する |
机上訓練はBCPを策定した直後の初期段階にある企業や、まずは組織内での共通認識を形成したい場合におすすめです。
2-2. 実地訓練(安否確認訓練・データ復旧訓練・避難消防訓練・救急救命訓練・参集訓練)
実地訓練は、オフィスや現場で実際に体を動かし、特定のツールや機器の操作手順を確認する訓練です。
混乱下においても迷わずに、決まった初動アクションを実行できることを目的としています。
実際の機器やシステムを動かすことで、操作上の課題や、想定時間内に作業が終わるかといった実務的な検証が行えます。
【実地訓練に含まれる5種類の訓練】
| 訓練の種類 | 訓練の内容 |
| 安否確認訓練 | システムや連絡網を実際に稼働させ、従業員の安全報告・集計が正しく行えるかを確認する |
| データ復旧訓練 | サーバー故障等を想定し、データの復旧やシステムリストアの手順を実際に行う |
| 避難・消防訓練 | 指定された避難経路の通行や、初期消火、119番通報などの実技を行う |
| 救急救命訓練 | AEDの操作、心肺蘇生(そせい)、応急手当など、負傷者が発生した際の処置を実習する |
| 参集訓練 | 休日・夜間の発災を想定し、重要な要員が実際に指定された場所へ集まれるかを確認する |
実地訓練は計画の全体像は把握できているものの、具体的な「初動のスキル」を定着させたい、あるいはIT復旧などの技術的検証を行いたい中級段階の組織におすすめです。
2-3. 総合訓練(代替施設への移転・フルスケール訓練)
総合訓練は、発災直後の初動から事業復旧に至るまでの一連の流れを、組織全体で一気通貫で行う訓練です。部署間の連携や、組織としての意思決定が円滑に機能するかをテストすることを目的としています。
部分的な訓練では見えてこない、情報の集約漏れや指示系統の混乱といった組織全体の課題を把握することができます。
【実地訓練に含まれる2種類の訓練】
| 訓練の種類 | 訓練の内容 |
| 代替施設への移転訓練 | メインの拠点が使用不能な場合に、予備拠点へ移動して業務を再開できるかを検証する |
| フルスケール訓練(総合訓練) | 意思決定(机上要素)と現場対応(実地要素)を組み合わせ、組織全体で対応にあたる |
総合訓練は、すでに個別の実地訓練を経験しており、さらに「部署を横断した高度な連携力を確認したい」「より実践に近いレベルで総仕上げを行いたい」という組織におすすめです。
3. 継続的なBCP訓練が不可欠である3つの理由
3章では改めて、「なぜ継続的なBCP訓練が欠かせないのか」を解説していきます。
| 継続的なBCP訓練が不可欠である3つの理由・計画の不備・矛盾を見つけて「使えるBCP」にするため・パニックにならず適切な行動ができるようにするため・変化し続ける「組織の実態」に合わせるため |
BCPは「作って終わり」ではありません。その理由を考えながら読み進めてみてください。
3-1. 計画の不備・矛盾を見つけて「使えるBCP」にするため
BCP訓練が不可欠である最大の理由は、策定したBCPの不備や矛盾を洗い出すことや、計画を「より実効性の高いもの」へと更新していくことにあります。
どれほど緻密に作り上げたマニュアルでも、実際の現場で動かしてみなければ見えてこない「想定外の欠陥」が必ず含まれており、それを放置したまま本番を迎えるのは極めて危険だからです。
たとえば2-1で紹介した「ロールプレイング訓練」のように、被災状況を想定して手順を一つずつ確認することで、「この担当者に連絡がつかない場合の代行者が決まっていない」「システム復旧のためのパスワードが共有されていない」といった具体的な課題を特定できます。
本来BCPは最悪のケースを想定して策定・訓練するものですが、起こった事態を「想定外」という言葉で片付ける向きがあります。訓練を通じて「想定外」を無くして、真に有効性のあるBCPに書き換えていくことが重要です。
3-2. パニックにならず適切な行動ができるようにするため
BCP訓練を実施する2つ目の理由は、緊急事態が発生した際に、従業員がパニックに陥ることなく役割を全うできる状態を作るためです。
大規模な地震だけでなく、サイバー攻撃によるシステム停止や感染症拡大といった緊急事態が発生すると、人間は冷静な判断力が著しく低下し、マニュアルを読み込みながら動くことは不可能に近いからです。
たとえば非常用電源への切り替えやオンプレミスサーバーのシャットダウン、防火扉の作動といった重要な行動は、一刻を争う判断が求められます。こうした初動に迷いや遅れが生じると、データの消失や火災の延焼など、防げたはずの被害が急激に拡大し、その後の事業復旧を著しく困難にする恐れがあります。
「安否確認訓練」や「データ復旧訓練」などを繰り返し行うことで、災害初期に必要となる行動が「条件反射」として身につくため、結果的に企業が存続できる確率が上がります。
3-3. 変化し続ける「組織の実態」に合わせるため
BCP訓練を実施する3つ目の理由は、企業活動に伴う人や設備の絶え間ない変化に対し、BCPの計画を常に適応させるためです。一度完成させたBCPであっても、組織の最新の状況とのズレが存在すると、万が一のときにうまく機能しません。
たとえば、1年前に策定した連絡網に退職者が含まれていたり、導入したばかりの新しいITツールの復旧手順がBCPに反映されていなかったりするケースは少なくありません。訓練を実施することで、最新の体制と計画の間にズレが生じていないかを定期的にチェックできます。
継続的に訓練を実施することで、こうした「計画と実態のズレ」を早期に発見し、修正することが可能になります。組織の最新の姿に合わせて、BCPも最新の状態にアップデートし続けることが大切です。
4. BCP訓練の具体例を8つの他社事例とともに紹介
4章では、実際にBCP訓練をすでに実施している企業の具体例を見ながら、訓練の詳細な内容について紹介していきます。
| BCP訓練の具体例・災害を自分ごとと捉えてイメージさせるBCP訓練(2事例)・BCP計画の矛盾や課題を洗い出す訓練(2事例)・安否確認・システム復旧など初動を固める訓練(2事例)・拠点立ち上げ・組織連携を確認する総合訓練(2事例) |
前述したようにBCP訓練といっても多種多様な訓練があり、「どこまでやるか」「どのようにやるか」は会社によって重視したい目的・守りたい対象などによって変わってきます。
他社が実施しているBCP訓練事例を参考に、自社ではどのようなBCP訓練が必要かイメージしながら読み進めてみてください。
4-1. 災害を自分ごとと捉えさせるBCP訓練(2事例)
防災意識の向上や共通認識の形成を目的として、災害時の状況を具体的に想像することに重点を置いた事例があります。本格的な実働の前に、個々の従業員が「被災時に何が起きるか」をイメージするプロセスとして取り入れられています。
| イメージアップ教育訓練の事例イメージアップ教育訓練は災害時に必要な対応を学べたり、BCPのどの前提条件のもとに対応すべきかという発動条件を検討したりでき、緊急時の状況判断の難しさを実感できるのがポイントです。 実際、総務省が発表した事例によると、従業員の災害時における状況や行動すべき事項などを共有したことで緊急時への意識が高まり、必要な対応策などを検討しやすくなるとの表記があります。 (参考:総務省「ICT部門における業務継続計画 訓練事例集」) |
| 災害図上訓練(DIG)の事例(医療法人社団 洛和会)図上訓練とは定められたテーマとシナリオに沿って、どのように対処するかを地図や企業の図面をもとにシミュレーションする訓練のことです。図上訓練では実際に対応行動は行わないものの、BCPの内容や手順をイメージして緊急時に行動できるように準備します。 介護施設などを運営する医療法人社団 洛和会では、図上訓練をより「簡単に」「短時間に」「楽しく」実施できるようにアレンジしたDIG訓練を実施しています。 単に動きを確認するだけでなく、「なぜそうした行動をすべきか」を学習しています。さらに自分以外の動きを把握できるため、現場全体での連携意識を高めながら、災害時の判断力を養うことができたそうです。 (参考:内閣官房「383 介護施設が実施する災害図上訓練(DIG)」) |
どちらの事例も、多忙な現場において短時間で「わがこと意識」を醸成するための初歩的な手法として活用されています。
4-2. BCP計画の矛盾や課題を洗い出す訓練(2事例)
BCP訓練を行うことで、策定済みのBCP(事業継続計画)の内容が、実効性のある内容であるか確認できます。策定したBCPの「抜け・漏れ」を特定して、BCPの妥当性を検証することを目的とした取り組みを2つ紹介します。
| ウォークスルー訓練の事例(総務省事例集)ウォークスルー訓練とは、災害発生時のシナリオに沿ってBCP(事業継続計画)を読み合わせ、行動の手順や判断基準の矛盾を洗い出す訓練です。各担当者が自分の役割をシミュレーションしながら手順を追うことで、書類上では気づきにくい計画の不備を特定できます。 総務省が発表したBCPの事例集(事例2)によると、ある組織ではこの訓練を通じて、既存のBCPに記載されていた行動手順の「抜け・漏れ」を複数発見できたそうです。具体的には、ライフラインの被害状況によって実行できない行動が判明し、代替案などの事前対策を検討するきっかけとなりました。 ウォークスルー訓練は「作成した計画が実際に機能するか」を低コストで検証できるため、BCPの有効性を高め、より実践的な内容へとブラッシュアップするために極めて有効な手法です。 (参考:総務省「ICT部門における業務継続計画 訓練事例集」) |
| BCPを円滑に実施するための訓練の事例(株式会社加藤建設)愛知県の加藤建設では、南海トラフ巨大地震や大規模水害といった地域固有のリスクを想定し、全従業員や各支店、さらには地元住民までを巻き込んだ広範な訓練を展開しています。 この取り組みの核となっているのは、単にマニュアルを確認するだけでなく、関係者全員が「自らの役割」を正しく理解し、迷わず行動に移せる状態を目指すことにあります。 停電時を想定した非常用電源の稼働試験や、通信途絶に備えた衛星電話による応援要請のシミュレーションなど、災害時に実際に使う機器の習熟に重点を置いているのが特徴です。 (参考:国土交通省 中部地方整備局「建設会社における災害時の事業継続力認定 BCP訓練事例集」) |
これらの事例では、机上でのシミュレーションを通じてマニュアルやシナリオの不備を事前に発見するプロセスが踏まれています。
4-3. 安否確認・システム復旧など初動を固める訓練(2事例)
発災直後の「初動対応」に特化して、特定の動作を確実に行えるようにするためのBCP訓練も有効です。
災害時の混乱のなか、BCPで決めた手順を迅速かつ正確に実行できるかどうかを測ることを目的としています。
| 安否確認訓練の事例(上田組)北海道で建設業を営む株式会社上田組では、災害直後の初動対応力を高めるため、社員や季節雇用の従業員を含む全従業員を対象とした安否確認訓練を月1回という高頻度で実施しています。 現場作業員や季節雇用の従業員など多様な雇用形態のスタッフが在籍しているからこそ、迅速に情報を確認できる体制の構築に重点を置いています。 安否確認に活用しているのは当社トヨクモの『安否確認サービス2』で、ITに不慣れな従業員でも扱いやすく、安否確認訓練の回答率が75%〜90%に向上したそうです。 全社の防災意識向上を上げるためには、こうした使いやすい安否確認システムの導入がおすすめです。 (参考:トヨクモ安否確認サービス2導入事例「安否確認訓練の回答率が50%→90%に!全社における防災意識向上を実感」) |
| 情報システムのリストア(復旧・復元)訓練の事例情報システムのリストア(復旧・復元)訓練とは、緊急時におけるシステムの被害状況確認と復旧時間の短縮を目的に、情報システム部門が中心となって行う訓練です。 この訓練では、設定された被害状況において、情報システムの被害状況と復旧手順の確認を行います。 総務省の事例集の内容によれば、情報システムの被害状況の確認手順やデータのリストア手順について訓練を行うことで、従業員の理解が深まりました。さらに、訓練結果の反省を踏まえて、より実効性の高い計画に改善することができたそうです。 (参考:総務省「ICT部門における業務継続計画 訓練事例集」) |
実際のシステムや機器を用いた反復的な訓練により、BCPをさらに実効性の高い内容に改善していくことができます。
4-4. 拠点立ち上げ・組織連携を確認する総合訓練(2事例)
大規模なBCP訓練では、複数の部署や拠点が連携して組織全体で事業を継続させる能力を測ることもできます。部分的な対応だけでなく、組織としての意思決定や情報の集約が機能するかを確認することが目的です。
| 立ち上げ訓練の事例(鹿島建設)立ち上げ訓練とは、自然災害などで普段使用している本社などが使用できなくなった場合に、別の場所を「代替本部の拠点」として立ち上げて事業継続を目指すための訓練のことです。 代替拠点をスムーズに立ち上げるためには、日頃から具体的な被災状況を想定した訓練を行い、具体的な手順を取り決めておくことが重要です。 鹿島建設では事業継続力を向上させるため、さまざまな事態を想定した実践的な訓練を実施しています。それらの訓練の1つに、関東支店が使用不可になったと想定し、茨城県に代替本部を立ち上げる訓練を行っています。 (参考:鹿島建設株式会社「首都直下地震を想定したBCP訓練を実施」) |
| 情報伝達訓練の事例(株式会社グロージオ)情報伝達訓練は情報伝達手段の確保や、被害や避難状況などの情報を正確かつ迅速に伝えることを目標に行う訓練です。 静岡県にある株式会社グロージオでは、全社員や地域住民を対象に訓練を実施しています。大地震や台風、水害などを想定した情報伝達訓練をはじめとして、そのほか仮設トイレの設営や非常参集訓練なども並行して行っています。緊急事態時に復旧目標時間を短縮することや連絡先や安否確認情報に変更がないかを確認することが目的です。 訓練の習熟度が上がってきた場合には、就業時間外や休日など訓練の条件設定に変化をつけて計画することも効果的です。 (参考:国土交通省 中部地方整備局「建設会社における災害時の事業継続力認定 BCP訓練事例集」) |
組織全体を巻き込んだ大規模な訓練の実施事例では、BCPの最終ゴールである「事業を中断させない」ための統合的な対応力を確認できます。
5. 意味のあるBCP訓練を行うための5つのポイント
ここまででBCP訓練を行う意義や、具体的なBCPの種類・事例など、基本的な内容は理解できたはずです。
ここからは、BCP訓練をただ漫然と行うのではなく、BCP訓練の効果を最大化させるために押さえるべきポイントを整理してお伝えしていきます。
| 意味のあるBCP訓練を行うための5つのポイント・組織のBCP習熟レベルに合わせて訓練を使い分ける・自社の状況に合わせて必要な訓練を組み合わせる・年間スケジュールを組んで毎年BCP訓練を実施する・訓練シナリオは具体的に設定する・BCP訓練後はかならず評価・改善を行う |
やるからには意味のあるBCP訓練にしたいはずです。ここで解説するポイントを押さえて、最短で実効性のあるBCP訓練を企画・実行しましょう。
5-1. 組織のBCP習熟レベルに合わせて訓練を使い分ける
BCP訓練にはたくさんの種類がありますが、組織の習熟度や現在のフェーズに合わせて適切な手法を選ぶことが重要です。
最初から複雑な訓練に挑んで失敗し、「BCPは難しい」という苦手意識が社内に広まってしまうのを防ぐためです。まずは「いまどの段階にいるのか」を見極め、身の丈に合った手法から選びましょう。
| 習熟レベルに合わせて訓練を使い分ける具体例・策定直後の「初期レベル」:計画の周知や矛盾の発見を優先して、「BCP研修」や「机上訓練」から開始する・個別の役割を理解した「中級レベル」:動きを体に覚えさせるため、「安否確認訓練」や「システム復旧訓練」などの実地訓練を取り入れる・各部署の連携を強めたい「上級レベル」:全体の連動性を試すために、「拠点移動訓練」や「総合訓練」に挑戦する |
レベルに応じた手法を選ぶことで、従業員が達成感を感じながら着実に対応力を高めていくことができます。
5-2. 自社の状況に合わせて必要な訓練を組み合わせる
BCP訓練を企画する際には、自社の働き方や今すぐ解決すべき経営課題といった「シチュエーション」に合わせて、複数の訓練をパズルのように掛け合わせることが効果的です。
企業の数だけ最適な守り方は異なるため、既存のメニューを自社の実態に合わせてカスタマイズすることで、より実効性の高い備えができます。
| 想定するリスクに合わせて手法を組み合わせる具体例・リモートワーク・分散拠点が中心の場合:「安否確認訓練」+「チャットツールを用いたロールプレイング訓練(机上)」+「クラウドの復旧訓練(実地)」・重要サーバーやデータ保護が急務の場合:「重要サーバーのシャットダウン手順確認(実地)」+「データ復旧訓練(実地)」+「システムダウン時の代替業務ワークショップ(机上)」・工場や店舗など現場の安全が最優先の場合:「避難・消防訓練(実地)」+「救急救命訓練(実地)」+「現場リーダーによる図上訓練(机上)」 |
自社のビジネスモデルや働き方に合わせてこれらを組み合わせることで、マニュアル上の知識が「現場で使えるノウハウ」へと進化します。
5-3. 年間スケジュールを組んで毎年BCP訓練を実施する
たとえば、新規入社や組織変更のタイミングで机上訓練を行い、防災の日(9月1日)に避難訓練・安否確認訓練を含めた総合訓練を行うなど、年間スケジュールに組み込んで毎年繰り返すことが重要です。
【BCP訓練の年間スケジュールの例(株式会社市川工務店)】
| 訓練名称 | 訓練内容 | 実施時期 |
| 事業継続計画の理解(机上訓練)対象者:全社員 | ・事業継続計画の説明・社内イントラネットによる広報及び周知 | ・毎年9月・事業継続計画の改訂時 |
| 緊急防災隊本部設置訓練(実働訓練)対象者:緊急防災隊本部員 | ・発動基準、対応拠点、代替対応拠点、対応体制、役割及び責任の確認・緊急防災隊本部の設置 | ・毎年9月 |
| 避難・誘導訓練(実働訓練)対象者:全員 | ・地震及び本社火災発生を想定した屋外への避難訓練並びに点呼と初期消火作業 | ・毎年11月 |
| 安否確認訓練(実働訓練)対象者:全員 | ・携帯電話、メールでの安否確認 | ・毎年9月 |
| 稼働中現場被災状況確認(実働訓練)対象者:稼働中現場担当者 | ・現場代理人(監理技術者)への現場被災状況の確認と報告 | ・毎年9月 |
| 協定路線道路パトロール(実働訓練)対象者:第1小隊員 | ・156号線、21号線道路被災状況の確認 | ・毎年9月 |
| 発注者・取引先への連絡訓練(机上訓練)対象者:第1小隊・第2小隊・第5小隊 | ・大規模災害発生時に発注者・取引先へ連絡 | ・毎年9月 |
(参考:国土交通省 中部地方整備局「建設会社における災害時の事業継続力認定 BCP訓練事例集」)
毎年同じ内容をなぞるだけでは参加者の意識が低下し形骸化してしまうため、常に「今の自社に足りない要素は何か」を問い直し、訓練内容をアップデートし続ける姿勢が重要です。
頻度と内容に強弱をつけて継続することで、BCPを特別なイベントではなく企業の文化として根付かせることができるでしょう。
5-4. 訓練シナリオは具体的に設定する
訓練の効果を高めるには、どのような状況で何を目的とするのかを具体化した「訓練シナリオ」を細かく設定することが不可欠です。
曖昧な設定では参加者が当事者意識を持ちにくく、「実際にはどう動けばいいのか」という踏み込んだ検証ができません。またシナリオが甘いと、実際の災害では「想定外」となり、使えるBCPではなくなってしまいます。
そうはいってもBCP策定初期から詳細なシナリオを用意した訓練を行うのはハードルが高いため、最初は簡単なシナリオから始めて、段階を踏んで整備していくことをおすすめします。
訓練を積むほどイメージが描きやすくなるため、BCP訓練を繰り返し行い、シナリオの完成度を高めましょう。
【介護事業所で地震が発生した場合のシナリオ例】
| 事業場の概要 | ・3階建ての老人ホーム・利用者は50名・事業所内の従業員数は総勢150人・シフト制で常に勤務している従業員は、約80名 |
| 訓練の想定状況 | ・平日の18:00頃に震度6強の地震が発生・施設内の一部で停電が発生・水は利用可能・通信状態は不安定だが、利用可能 |
| 当日確認すべき行動の内容や流れ | ・専用アプリを使って従業員の安否確認を実施・懐中電灯を使い、複数人で各フロアの利用者の安否を確認・利用者の無事や負傷者の有無などは、安否確認アプリの掲示板を利用して報告・利用者が負傷している場合は、救急箱を使って応急処置・施設内および施設周辺の被災状況を確認・従業員や利用者の家族へ連絡・備蓄品の不足有無を確認 |
| 避難が数日間に及ぶ場合に確認すべき内容 | ・道路や交通機関が問題なく利用できる場合は、従業員をシフトに沿って交代で勤務するよう指示・事業復旧の開始時期を取引先と利用者の家族へ連絡・利用者の家族へ利用者の体調を連絡・衛生用品を既存の取引先へ発注・施設内の損害状況を確認し、修理が必要な場合は業者へ連絡 |
【一般企業で地震が発生した場合のシナリオ例】
| 事業場の概要 | ・電子部品のメーカーで、事業場は工場+営業所の構成・従業員数は総勢100人 |
| 訓練の想定状況 | ・平日の14:00頃に震度6強の地震が発生・事業場内には営業担当者5名を除く95人が働いていた状況 |
| 当日確認すべき行動の内容や流れ | ・安否確認システムを利用し、従業員全員の安否を確認・営業担当者には被災状況を確認しながら、避難場所または自宅に避難するよう指示・BCPの策定マニュアルに従い、指定の避難経路を使って避難場所へ避難・取引先へ被災状況を伝えるよう、管理者が指示するまでの流れを確認・火災や津波など、二次災害の有無を確認・負傷者対応や救急車手配の流れを確認・備蓄品の不足有無を確認 |
| 避難が数日間に及ぶ場合に確認すべき内容 | ・管理者または所属部署の上司から連絡が入るまで、避難場所や自宅で待機・納入実績が多いセンサーの生産復旧を優先的に取り組むよう組織内で共有・顧客に対して2ヵ月後の全面復旧を予定していることを連絡・一部の取引先が被災したため、代替会社から原材料を調達 |
ここでは地震を想定したシナリオを紹介しましたが、ほかにも台風や感染症、サイバー攻撃など、さまざまな状況を想定した訓練を行うのが有効です。
災害が発生した場合のシナリオの作り方については、「【企業の防災担当者必見】避難訓練シナリオの作り方|効果を高める5ステップと注意点」の記事もぜひご覧ください。
5-5. BCP訓練後はかならず評価・改善を行う
BCP訓練を実施した後は、必ずその内容を評価し、計画を改善・ブラッシュアップすることが非常に重要です。
そもそも訓練は「完璧にこなすこと」が目的ではなく、BCPの不備や新たな課題を見つけるために行うものです。
内閣府のPDF資料「企業の事業継続訓練の考え方」をもとに、評価・改善のプロセスを4段階に分けて整理してまとめると以下のようになります。
| 1. BCP訓練の振り返り訓練終了直後、参加者の記憶が鮮明なうちに「振り返り会」を開催します。チームごとや全体で、対応の反省点や「気づき」を意見交換し、他者の視点を取り入れることで、多角的に課題を抽出します。 |
| 2.BCP訓練の評価(自己評価・総合評価)企画時に設定した「目的」の達成度に加えて、スピード・正確性・柔軟性といった「行動指標」に基づいて客観的に評価します。アンケートなどを用いて参加者自身の自己評価も集計し、グラフ化して課題を可視化することが有効です。 |
| 3.BCP訓練における課題の整理抽出された課題を「ハード(設備)」「ソフト(体制・計画)」「スキル(教育)」に分類して整理します。特定の事象だけでなく、どのような災害でも共通して起こり得る課題には優先順位をつけ、BCP改善が必要な項目を洗い出しましょう。 |
| 4.BCPの改善整理した課題に対して、「誰が」「いつまでに」実施するかを明確にした「対策実施計画」を作成して管理します。改善した事項は次回の訓練で再度検証し、常に最新の組織実態に合わせてBCPをブラッシュアップし続けます。 |
訓練をやりっぱなしでは、訓練を行った意味がありません。訓練→評価→改善のサイクルを回し続けることが大切です。
6. BCP訓練に関するよくある質問
最後に、BCP訓練を計画・実施するにあたって、多くの担当者が抱く疑問をQ&A形式でまとめました。
義務化に伴う内容や実務上のコストなど、あらかじめ知っておきたいポイントを解説します。ぜひ参考になさってみてください。
6-1. BCP訓練の回数は決まっていますか?
法的義務が課されていない業種の場合、法的な回数指定はないものの、年1回〜2回程度の実施が推奨されます。
なお、介護事業者については、2024年4月よりBCP(事業継続計画)の策定に加え、年2回以上(在宅系は年1回以上)の回数の訓練実施が義務化されました。
一方、一般企業には法的な回数規定はありません。しかし、人事異動や退職による担当者変更、使用ツールのアップデートなどを踏まえ、最低でも年に1回以上実施することをおすすめします。
6-2. BCP訓練をする場合に費用はかかりますか?
自社でBCP訓練を企画・実施する場合には、資料の印刷代や備品代などの実費を除き、直接的な費用はかかりません。
自社でマニュアル・シナリオを作成し、既存の安否確認システムを活用して訓練を行うことで、追加のコストを抑えながら継続的な改善が可能です。
6-3. BCP訓練を外注することは可能ですか?
はい、ワークショップ型BCP訓練など、外部コンサルなどを積極的に活用することをおすすめします。コンサルティング会社や商工会議所、自治体、損害保険会社などが主催するワークショップが多数存在します。
外注することで、自社では気づきにくい「計画の穴」を専門家の視点で指摘してもらえたり、他社の取り組みを参考に自社の立ち位置を確認できたりというメリットがあります。
さらにシナリオ作成なども任せられるため、まずは「参加して体験する」ことから始めたい企業に最適です。これからBCP対策を強化する企業にとっておすすめの訓練といえます。
6-4. BCP訓練ではまず何から始めればいいですか?
災害時の安全確認が不十分な会社は、緊急事態発生時の初動対応のなかでも重要となる「安否確認訓練」から着手することをおすすめします。
| BCP訓練の第一歩として安否確認訓練がおすすめの理由・従業員の防災意識向上につながるから全従業員を巻き込んで安否確認訓練を行うことで、普段は防災やインシデントに関心のない従業員の防災意識を底上げすることができます。「安否を返信するだけ」の簡単な訓練を確実に積み重ねることが、組織全体の防災意識を継続的に高めていきます。 ・実際に緊急事態が発生したときに「まず安否確認」が重要だから実際に緊急事態が発生した際、従業員が被災しているのか無事なのか、どこにいるのかなどを把握できなければ、具体的な救護や対策を打つことができません。安否確認は、緊急事態発生時の経営判断の基礎となる重要事項なので、しっかりとした訓練を行う必要があります。 |
安否確認訓練は、専用の安否確認システムを導入すれば、自動配信や自動集計機能によって、担当者の負担を最小限に抑えつつ全従業員が参加する訓練を即座に実施できます。
まずは全員とスムーズに連絡が取れる体制を備えたうえで、その後の高度なBCP訓練にステップアップするのがおすすめです。
| BCP訓練、何から始めればいいか迷ったらトヨクモ『安否確認サービス2』がおすすめ! |
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7.まとめ
本記事では「BCP訓練」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
◆BCP訓練とは
・BCP(事業継続計画)に沿って行う訓練のこと
・BCP訓練を進める流れ
・業種によってはBCP策定・訓練が義務化されている
◆BCP訓練の種類(3段階・11種類)
・机上訓練(BCP研修・図上訓練・ワークショップ訓練・ロールプレイング訓練)
・実地訓練(安否確認訓練・バックアップデータ引き出し訓練・避難消防訓練・救急救命訓練・参集訓練)
・総合訓練(代替施設への訓練・フルスケール訓練)
◆継続的なBCP訓練が不可欠である3つの理由
・計画の不備・矛盾を見つけて「使えるBCP」にするため
・パニックにならず適切な行動ができるようにするため
・変化し続ける「組織の実態」に合わせるため
◆BCP訓練の具体例(8つの他社事例)
・災害を自分ごとと捉えさせるBCP訓練(2事例)
・BCP計画の矛盾や課題を洗い出す訓練(2事例)
・安否確認・システム復旧など初動を固める訓練(2事例)
・拠点立ち上げ・組織連携を確認する総合訓練(2事例)
◆意味のあるBCP訓練を行うための5つのポイント
・組織のBCP習熟レベルに合わせて訓練を使い分ける
・自社の状況に合わせて必要な訓練を組み合わせる
・年間スケジュールを組んで毎年BCP訓練を実施する
・訓練シナリオは具体的に設定する
・BCP訓練後はかならず評価・改善を行う
BCP訓練は、策定したBCPの実効性を高めるために不可欠なプロセスです。まずは安否確認のような初動訓練から始めて徐々にスケールアップしていき、緊急事態に「使えるBCP」となることを目指しましょう。
編集者:遠藤 香大(えんどう こうだい)
トヨクモ防災タイムズ 編集長 RMCA BCPアドバイザー トヨクモ株式会社で災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案や情報発信に携わる。トヨクモ防災タイムズではBCPや災害対策に関する記事の企画・執筆・編集を担当。専門家との連携や現場視点を取り入れながら、読者に寄り添う防災情報の発信を目指している。
執筆者:福岡 幸二(ふくおか こうじ)
BCP&BCMコンサルティング代表/元九州大学危機管理室 特任教授(博士) 神戸大学大学院海事科学研究科で博士号(海事科学)を取得。マンダリンオリエンタル東京、沖縄科学技術大学院大学、九州大学などで、地震・津波など自然災害や重大事故を含むBCM(事業継続マネジメント)を実装してきた実績を持つ。 2024年に起業しBCP&BCMコンサルティング代表として、大学や企業にカスタマイズされたBCM(事業継続マネジメント)およびSMS(安全管理システム)の構築を提供している。 国際海事機関(IMO)の分析官や事故調査官として国際的な活動も経験。著書に『Accident Prevention and Investigation: A Systematic Guide for Professionals, Educators, Researchers, and Students』(2025)、『Safer Seas: Systematic Accident Prevention』(2019年)があり、大学の実験室での事故防止策に関する論文をScientific Reports誌に発表するなど、現在国内外で活動し危機管理と安全管理を専門とする科学者兼実務家である。 プロフィール:https://bcp-bcmconsulting.com/about/