BCPの代替拠点を確保する重要性とは|メリットや選定方法、注意点を解説

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大保颯大

企業が災害や緊急事態に直面した際、事業の継続性を確保するためには事業継続計画(BCP)が不可欠です。とくに代替拠点の確保と迅速な安否確認は、復旧のスピードを左右する重要な要素となります。

近年、日本国内では大規模地震や台風、集中豪雨など、企業活動に大きな影響を及ぼす自然災害が頻発しています。自社ビルやオフィスなど、業務の拠点となる場所に甚大な被害が生じれば、業務の継続にも大きな影響をもたらすでしょう。どのような事態に直面しても、事業を継続していくためには代替拠点の準備が必須です。

この記事では、BCPにおける代替拠点の役割を詳しく解説します。代替拠点の選定方法や注意点も紹介しているので、あわせて参考にしてください。

BCPの代替拠点とは

BCPにおける代替拠点とは、企業の主要拠点が災害や事故などにより使用不可能になった場合に、一時的に業務を継続するための場所を指します。代替拠点を準備することにより、企業は迅速に事業を復旧できるだけでなく、従業員の安全を守りながら経済的な損失を最小限に抑えられます。日本では地震や台風による自然災害が多発するため、代替拠点を確保しておくことは、企業のリスク管理として非常に重要です。

代替拠点の主な形態

BCPにおける代替拠点の候補には以下のような種類があります。

  • サテライトオフィス
  • 提携施設
  • 自社運営施設
  • 従業員の自宅

それぞれについて解説します。

サテライトオフィス

サテライトオフィスは、本社や本拠地とは別の場所に設置されたオフィスを指し、日常的に活用されることもあります。とくに、大都市圏の企業では、災害リスクを分散する目的でサテライトオフィスを持つケースが増えています。緊急時で本社が影響を受けた場合にも、サテライトオフィスを拠点として事業の継続が可能です。

提携施設

提携施設は、あらかじめ契約を結ぶことで緊急時に利用できる外部施設を指します。レンタルオフィスやコワーキングスペースなどの形態で提供されることが多く、短期間で柔軟に使用できる点が特徴です。都市部の企業では、災害発生時に代替オフィスを確保する手段として積極的に活用されています。

自社運営施設

自社運営拠点は、企業が独自に用意したバックアップ施設のことを指し、通常は本社機能の一部を兼ね備えたものとなります。大企業では、本社とは別の都市に別館や研修施設を設けていることが多く、災害発生時には代替拠点として機能します。設備やシステムが企業専用のものであるため、即座に業務を再開しやすいのが特徴です。

従業員の自宅

近年では、従業員の自宅もBCPにおける代替拠点の1つとして位置付けられています。パンデミックの影響により、多くの企業がリモートワーク環境を整備した結果、従業員が自宅で業務を継続できる体制が一般化してきたからです。

在宅勤務を活用すれば、企業は施設の管理コストを抑えながら業務の継続が可能です。そのため、今後もBCPにおける重要な手段として活用されるでしょう。

BCPにおける代替拠点の必要性とメリット

代替拠点を確保すると、以下のようなメリットを得られます。

  • 事業を早期に再開できる
  • 従業員の安全を確保しやすい
  • 取引先の信頼関係を維持しやすい
  • サプライチェーンを維持しやすい

それぞれについて解説します。

事業を早期に再開できる

まず、業務の早期再開が可能です。主要拠点が使用不能になった場合でも、代替拠点が確保されていれば迅速に業務を再開し、取引先への影響を最小限に抑えることができます。すると、緊急時の被害も最小限に抑えられ、その後も事業を継続しやすいです。

従業員の安全を確保しやすい

従業員の安全確保という観点においても代替拠点の準備は重要です。災害発生時に安全な避難先を確保できると、従業員の命を守りやすくなります。

また、代替施設を確保しておけば、従業員がその施設へ移動して業務を継続することも可能です。従業員の安全を確保しながら事業を継続できれば、その後の事業展開についても考えやすくなるでしょう。

取引先の信頼関係を維持しやすい

代替拠点の確保は、取引先との信頼維持にもつながります。企業の業務が中断すると、取引先との契約履行が困難になる場合があります。しかし、代替拠点を準備しておけば、災害時でも業務を継続できるため、顧客との信頼関係を守りやすいでしょう。

サプライチェーンを維持しやすい

サプライチェーンの維持という観点も見逃せません。とくに製造業や物流業では、拠点の被災がサプライチェーンの断絶につながる可能性があります。すると、生産停止や納期遅延、売り上げの減少といった問題が発生するでしょう。

事前に代替拠点を確保して供給責任を果たせれば、自社だけでなく社会全体の経済活動を守ることにもつながります。

BCPにおける代替拠点の選定方法

代替拠点の選定にあたっては、企業の業務形態や災害リスクに応じた適切な判断が必要となります。以下のポイントを考慮しながら、最適な拠点を確保することが重要です。

  1. 立地を選定する
  2. 設備やインフラを確認する
  3. コストと運用負担を考慮する

それぞれについて解説します。

1.立地を選定する

まず、従業員の居住地や主要拠点との距離を考慮した上で、立地の選定を行いましょう。災害発生時にスムーズに移動できる距離にあることが理想であり、交通アクセスのよさも重要な要素となります。たとえば、主要拠点から1時間以内に移動できる場所を選ぶと、従業員の負担を軽減し、業務の継続性を高めることができます。

ただし、同じ災害で本社と同時に代替拠点も被害を受けないように、災害リスク評価を行いながら拠点の安全性を確保することも重要です。地震や洪水などの自然災害が発生するリスクが低い地域を選ぶことにより、企業の事業継続性を強化できます。ハザードマップなどを活用して過去の災害履歴を分析し、リスクの高い地域を避ければ災害時の対応をスムーズに行えます。

2.設備やインフラを確認する

次に、設備・インフラを確認しましょう。代替拠点に十分な通信環境が整っているか、サーバーやクラウドの利用が可能かを事前に確認することが不可欠です。とくに、企業ではデータの安全性が求められるため、セキュリティ対策が万全な拠点を選ぶ必要があります。さらに、電源供給の安定性を確保するために、予備電源や蓄電池の有無も確認しておきましょう。

さらに、人材面での代替確保も欠かせません。各部門の責任者が不在となる場合に備えて代理人を用意しておき、権限を与えておくと迅速に事業を再開できます。

3.コストと運用負担を考慮する

BCPにおける代替拠点を確保する際は、コストと運用負担も考慮すべきです。代替拠点の維持にはコストがかかるため、設置・運用の費用対効果を見極めることが重要です。とくに、長期間の運用が必要となる場合は、維持費を抑えながらも安定した環境を確保する方法を検討しなければいけません。

BCPにおける代替拠点を選定・運用する際の注意点

BCPにおける代替拠点を選定する際は、以下の点に注意が必要です。

  • セキュリティ対策を万全にする
  • BCPとの整合性を確認する
  • 従業員への周知と訓練を実施する

それぞれについて解説します。

セキュリティ対策を万全にする

BCPにおける代替拠点の安全性を確保するために、物理的なセキュリティ対策と情報セキュリティの整備を行うことが不可欠です。建物の耐震性や防犯設備を確認し、不審者の侵入やデータ漏洩を防ぐ対策を講じる必要があります。また、サイバー攻撃対策として、VPNの導入やアクセス権限の適切な管理を行うと業務データの安全性を高めることができます。

BCPとの整合性を確認する

代替拠点が企業のBCP計画と整合しているかを検証することも、大切なポイントです。代替拠点を確保しても、緊急時の運用マニュアルが整備されていなければ、実際には機能しないという問題が発生します。

たとえば、従業員が代替拠点への移動手順を事前に把握していなければ、災害時に混乱が生じる可能性があるでしょう。そのため、代替拠点の利用方法を定期的に訓練し、BCPに組み込むことが不可欠です。

従業員への周知と訓練を実施する

代替拠点を確保しただけでは十分ではありません。従業員が緊急時に適切に対応できるように、事前に利用ルールを周知し、避難・移動のシミュレーションを行うことが重要です。これにより、災害時にスムーズな対応が可能となり、代替拠点の有効活用につながります。

まとめ:自社に合った代替拠点を確保し、BCPの実効性を高めよう

BCPにおける代替拠点の確保は、災害やパンデミックなどの不測の事態から事業と従業員を守るための重要な投資です。本社や主要拠点だけに依存するリスクを認識し、自社の状況に合った代替拠点を検討・確保すると企業の持続可能性を高めます。

まずは本記事を参考に、自社にとって最適な方法を検討し、BCPの強化に向けた第一歩を踏み出してください。

なお、代替拠点の場所を問わず、緊急時に従業員の安否を迅速・確実に確認し、必要な情報を伝達する体制は不可欠です。トヨクモの『安否確認サービス2』は、緊急時の従業員の安否確認に役立つシステムです。気象庁の災害情報と連動して自動で安否確認通知を送信でき、従業員からの回答結果も自動で集計するため、安否確認にかかる手間を大幅に削減できます。安否確認サービス2の主な特徴は以下の3つです。

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