地方自治体の災害対策事例10選!災害時の役割や普段から実施すべき内容も紹介

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遠藤 香大(えんどう こうだい)

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地方自治体は災害発生時、住民の生活環境確保や自衛隊への災害派遣要請など、さまざま役割を担っています。

大規模災害が起きても被害を軽減するには、普段から災害対策に取り組んでおくことが重要です。ただし、なかにはどのような災害対策を講じるべきか、わからないケースもあるでしょう。

この記事では、地方自治体が取り組む災害対策の事例や普段から実施すべき内容などに関して紹介します。災害対策の強化に取り組んでいる方、地域防災課に勤務している方は、最後までご覧ください。

目次

地方自治体の災害対策事例10選

地方自治体が実際に行っている災害対策の事例を10個紹介します。

  1. 避難行動要支援者の把握
  2. 防災⽣活道路整備と住宅の不燃化
  3. 車での避難訓練
  4. 個別避難計画の作成
  5. 防災物流インフラ強化計画の策定
  6. 県内の小中学校を対象にした防災教育
  7. 住宅屋根の耐風診断・改修の補助
  8. ペットとの同室避難
  9. ドローンを活用した物資輸送
  10. 富士山火山避難基本計画を策定

今後の災害対策強化にご活用ください。

避難行動要支援者の把握【東京都江戸川区】

東京都江戸川区では災害が発生した際、支援が必要な方を要支援者と避難行動要支援者として管理しています。要支援者とは高齢者や妊婦、外国人など、災害が起きた際に行動を注視すべき方のことです。

要配慮者のうち、災害時に1人では避難が困難な方を避難行動要支援者に分類し、名簿に記載しています。

江戸川区では、避難行動要支援者に該当する基準を以下のように定めています。

  • 要介護認定4~5に該当し、手当を支給されている方
  • 世帯全員の年齢が 75 歳以上
  • 身体障害者手帳(1~3 級)で一人暮らし
  • 要介護認定で3~5
  • 難病患者で人工呼吸器を使用

災害発生後に要支援者は一次避難所に移動し、共同生活が難しい場合は病院や二次避難所に転送されるのが原則です。

また、避難行動要支援者から同意が得られた場合のみ、町内会や自治会へ個人情報を提供します。共有した情報をもとに地域見守り名簿を作成し、地域住民が行う日常の見守り活動に活用するのが目的です。

見守り活動の実施によって、災害時の孤立防止や素早い安全確保など、さまざまな効果が期待できます。

防災⽣活道路整備と住宅の不燃化【東京都】

東京都は防災都市づくり推進計画の一環として、建物の建て替え工事と防災⽣活道路の整備を進めています。大田区や足立区、中野区など、JR山手線の外側から環七通り沿いには、老朽化した木造住宅が密集している地域も多いです。

地震や火災の被害拡大を防ぐため、建物の不燃化・耐震化工事に必要な費用の一部を助成しています。

また、防災⽣活道路とは救急車や消防車など、緊急車両の通行と消火・救助活動がスムーズに進められるよう、防災上重要な役割を果たす道路です。木造住宅が密接する地域によっては道路の幅が狭く、車で通り抜けができないケースも少なくありません。

道路幅の拡張工事やブロック塀の除去、無電柱化の推進など、防災⽣活道路の整備や機能性向上に取り組む区に対し、東京都が費用の一部を助成しています。

さらに、東京都は地震が原因での大規模な延焼を防ぐため、延焼遮断帯の整備にも取り組んでいます。

延焼遮断帯とは道路や公園、河川など、各施設と耐火建築物から形成される帯状の不燃空間です。延焼遮断帯の整備によって市街地への延焼を防ぎ、人命確保や損害の軽減に努めています。

車での避難訓練【宮城県山元町】

宮城県山元町では東日本大震災の発生をきっかけに、道路環境の整備と車での避難訓練を実施しています。

政府は津波や地震、台風などが起きた際、原則徒歩で避難するよう推奨しています。車移動の場合、移動中に渋滞や洪水に巻き込まれて、逃げ遅れる可能性があるためです。

しかし、山元町は東日本大震災によって、町の総面積約37%が浸水しました。山元町の沿岸部は平坦な土地が続くため、徒歩での避難だと逃げ遅れるおそれがあります。

山元町は住民が渋滞を避けて車で避難できるよう、沿岸部から高台にかけて新たに10本の避難道路整備を決定しました。

避難時には国道の交差点近くにある抜け道の利用、知り合いの車への相乗りなどを指示し、渋滞による逃げ遅れのリスク削減にも努めています。

また、車での避難訓練は2013年から開始し、2015年の訓練には住民の約2割に該当する2,500人が参加しました。車と徒歩の双方で避難訓練を行った結果、想定の津波到達時間よりも早く住民全員が避難できました。

今後は高齢者や要配慮者など、どのような人が優先して車で避難するべきか、住民同士が考えていく姿勢が求められています。

個別避難計画の作成【横浜市】

神奈川県横浜市では年齢や障害の有無を問わず、住民が素早く安全を確保できるよう、個別避難計画を作成しています。個別避難計画とは災害時に一人では避難が困難な方に対して、避難場所や支援体制の役割分担を決めておく計画です。

自然災害の被害拡大や災害対策基本法の改正にともない、市町村では個別避難計画の作成が努力義務扱いとなりました。避難支援を望む場合、住民は個人情報の提供に関する同意確認書の作成が必要です。

横浜市は同意確認書を作成する前に、ケアマネジャーや家族など、信頼できる方への相談を推奨しています。

また、2024年から津波や浸水被害のリスクが高い地域にお住まいの方を対象に、「個別避難計画作成に係る同意確認書」を送付しています。早期の呼びかけによって、手厚い防災支援の実施や住民の防災意識向上につなげるのが狙いです。

同意確認の送付者はハザードマップで洪水浸水想定区域、即時避難指示対象区域に指定されている地域の住民が対象になります。

防災物流インフラ強化計画の策定【青森県】

青森県では防災物流インフラの強化が進められています。東日本大震災の際、トラック不足や道路の機能不全、物資拠点の受け入れ準備不足など、物流インフラに関するさまざまな課題が発生しました。

ただし、空路や航路では輸送コストが多く発生するため、県内各地への輸送は引き続きトラックを活用した陸路輸送を想定しています。

スムーズな物資の輸送には県外から物流拠点、物流拠点から避難所までなど、拠点同士を結ぶ道路の整備が必要です。物資輸送に使用する道路の脆弱性に関しては、災害対策の強化と進捗状況の管理に努めるよう、強化計画内で発表されました。

また、青森県は食料品のスムーズな確保が難しい75歳以上の方が、2015年に県内のほとんどの地域で50%を超えました

対象者は車の運転が困難な75歳以上の方、またはスーパーやコンビニなどまで500m以上離れた地域に住んでいる方が該当します。

高齢者の暮らしとスムーズな移動を実現するため、自動運転サービスの実用化に向けての実験が、政府主導で2017年以降実施されています。

県内の小中学校を対象にした防災教育【新潟県】

新潟県では子どもたちに津波や地震、土砂災害など、自然災害への理解を深めてもらうため、防災教育を実施しています。新潟県は地震や洪水、豪雪など、これまで何度も大規模な自然災害に見舞われてきました。

今後に向けて被災の影響を軽減するには、災害の経験を次世代に伝えていくことが重要です。防災教育を通じて自然災害の脅威や「自分の命は自分で守る」という姿勢を学び、災害が起きた際は素早く安全な場所へ避難します。

また、災害発生後に周囲と連携して助け合い、協力する姿勢を身につけるきっかけになることも期待されています。

各学校が実施した防災教育の事例は、「防災教育Switch」のホームページから閲覧が可能です。

住宅屋根の耐風診断・改修の補助【千葉県】

千葉県では強風による屋根の損害や住民の負傷を防ぐため、既存住宅の耐風診断や改修に必要な費用の一部を補助しています。耐風診断は、既存住宅の屋根が瓦屋根標準設計・施工ガイドラインに適合しているか、確認するための診断です。

2022年に建築基準法の告示基準が改定された影響で、すべての瓦をくぎやねじで固定する必要があります。耐風診断に補助金を利用する場合、上限額は最大21,000円です。補助金が支給されるには、以下の要件を満たさなければなりません。

対象者要件
申請者・対象の住宅を申請者が所有・税金の滞納がない状態
住宅・2021年12月31日以前の基準で建てられた戸建て住宅・屋根が粘土瓦かプレスセメント瓦・所有者か配偶者、両親、子どものいずれかが居住・今回の申請がはじめての補助金利用
診断者・建築事務所に勤務する建築士・建設業法第2条第3項の規定にもとづき、許可を受けている業者に勤務する瓦屋根診断士(瓦屋根工事技士やかわらぶき技能士でも可)※上記いずれかに該当

また、耐風改修に補助金を利用する場合、補助金の上限は55万2,000円です。要件は耐風診断と基本的に同じです。

ただし、工事費が500万円を超える場合、千葉県内に本社や営業所などを開設している業者にしか、依頼できません。

そして、申請手続きの際は主に以下の書類提出が必要です。

  • 補助金交付申請書
  • 個人情報確認同意書
  • 建築確認済証のコピー
  • 現地調査の写真
  • 耐風診断報告書
  • 工事の改修計画書
  • 工事費の見積

多くの書類が必要になるため、依頼先の業者と連携する必要があります。コミュニケーションが取りやすい業者を選びましょう。

ペットとの同室避難【愛知県犬山市】

愛知県犬山市では2022年から市内33カ所の指定避難所のうち、以下3つの避難所でペットとの同室避難が認められるようになりました。

  • 市民交流センターフロイデ
  • 勤労青少年ホーム
  • 楽田ふれあいセンター

ペット同伴の方がスムーズに避難できるよう、避難所の開設から避難者の受け付け、ペット同伴者の案内など、実践を想定した避難訓練を実施しています。

避難所では多くの方と共同生活を送るため、ペットと同伴する場合は動物が苦手な方やアレルギーを持つ方へ配慮しなければなりません。

避難所でペットが周囲の方に迷惑をかけないよう、参加者に対して防災グッズの備蓄やしつけ、迷子対策なども指導しています。

また、ペット同伴での避難訓練を通じて、参加者からペットのストレスやペット同士のケンカなど、避難所生活での懸念点に関する指摘が寄せられました。犬山市では参加者からの声を聞き取り、今後の避難所運営に反映する予定です。

ドローンを活用した物資輸送【大分県】

大分県は2023年7月に全国ではじめて、災害現場へドローンを使った救援物資の運搬に成功しています。大分県は度重なる豪雨の被害の経験から、悪天候では防災ヘリによる救助が難しく、防災ヘリに代わる手段を見つける必要がありました。

課題を解消するため、災害時にドローンを使った避難の呼びかけや物資輸送ができるよう、企業や自治体を交えて実用化に取り組んできました。

災害現場への物資輸送を依頼した際、細かいルールは決めていなかったものの、非常食や通信機器、AEDの運搬に成功しています。

また、大分県は災害対策の強化に向け、能登半島地震でドローンによる救援物資の運搬を行った「JUIDA」と協定を締結しました。

災害時に県内の企業からドローンや操縦者を満足に確保できなかった場合、JUIDAとの協定によって、県外の企業から支援を受けられます。

富士山火山避難基本計画を策定【三県が連携】

山梨・静岡・神奈川の3県は、富士山噴火を想定した避難計画やハザードマップの策定に取り組んでいます。

富士山は火口位置の特定が難しく、被害の大きさや影響の予測が困難です。短時間で噴火する可能性があるため、あらゆる事態を想定しなければなりません。

住民の安全確保のため、2021年に新たな富士山ハザードマップを公表しました。ハザードマップは3年かけて見直しが行われ、見直しによって避難対象の人口が16,274人→116,093人に増えました。

被害対象地域が拡大された理由はシミュレーションによって、噴火発生後に溶岩流の到達予想時間が大幅に短縮されたためです。

被害対象地域への住民に対しては、車での避難や隣接市町村への避難など、命の確保を最優先に行動するよう、呼びかけています。

地方自治体が普段から実施すべき災害対策7選

地方自治体が日頃から実践すべき災害対策は以下の7つです。

  1. 地域別の防災マップを作成する
  2. 定期的に防災訓練を実施する
  3. 防災意識を高めるイベントや勉強会を開催する
  4. 防災設備を導入する
  5. 防災用の備蓄品を管理する
  6. 行政データをバックアップしておく
  7. 複数の通信手段を確保する

取り組み内容をひとつひとつ見ていきます。

取り組み1.地域別の防災マップを作成する

災害対策のひとつに地域別防災マップの作成があげられます。防災マップを作成する際は、地域特性を踏まえた災害リスクの調査が必要です。事前に危険な地域を調べておき、被災の影響を軽減しましょう。

また、避難時の流れや避難経路、避難場所なども記載しておくことも重要です。作成した防災マップは、ホームページや地域の広報誌、SNSなどに掲載し、住民と共有します。

取り組み2.定期的に防災訓練を実施する

定期的に防災訓練を実施し、緊急時の流れをつかんでおくことも重要です。ハザードマップを公開していても、住民の防災意識が高まらない限り、避難所までスムーズに逃げるのは難しいでしょう。

自然災害は地震や津波、洪水など、多岐にわたるだけでなく、災害規模や頻度も予測不可能です。発生頻度の高い災害を中心に複数の場面を想定した防災訓練を実施すると、住民が災害時も落ち着いて行動できるようになります。

また、災害発生時の初動対応や職員の役割分担、関係者への連絡の流れなども確認しておきましょう。

取り組み3.防災意識を高めるイベントや勉強会を開催する

地域住民の防災意識を高めるために、イベントや勉強会を開催することも災害対策として有効です。

たとえば、地域のコミュニティや企業、小中学校などで、防災意識を高めるイベントや勉強会を開催しましょう。日頃から自治体と住民の足並みをそろえておくと、緊急時のスムーズな連携が期待できます。

また、災害対策や防災に関する内容を記載したパンフレットを配布するのもおすすめです。「イラストを多く入れる」や「マンガ要素を盛り込む」など、住民に興味をもってもらうための工夫が求められます。

取り組み4.防災設備を導入する

防災設備を導入・設置するのも、地方自治体における災害対策のひとつです。災害発生に備えて、消火設備や避難はしご、救命医療機器などを導入しておきます。緊急時に利用できるよう、定期的に設備のメンテナンスも必要です。

また、住民が避難所や安全な場所まで迷わず行けるよう、避難先や避難経路を示す標識も設置します。

取り組み5.防災用の備蓄品を管理する

ライフラインが機能不全になった場合に備えて、防災備蓄品を用意・管理しておく必要があります。事前に用意すべき防災備蓄品は以下のとおりです。

  • 非常食
  • 飲料水
  • 生活用水
  • 簡易トイレ
  • 衛生用品
  • 救急セット
  • 安全対策品
  • 防寒具
  • ラジオ
  • 非常用電源

非常食は防災用ゼリーやチョコレート、缶詰など、水なしで食べられるものを多めに用意するのがおすすめです。災害時に安全に食べられるよう、消費・賞味期限をチェックしながら期限間近のものを消費し、適宜補充しましょう。

飲料水は水分補給と調理用、生活用水はトイレや手洗いなど、異なる用途に利用するため、別々に用意が必要です。飲料水は1人あたり1日3L、生活用水は1人あたり1日10〜20Lの水が必要といわれています。どちらも最低3日分は確保しておきましょう。

また、避難所の衛生環境が悪化すると、新型コロナウイルスやノロウイルスなど、感染症が発生する恐れが高まります。簡易トイレやトイレットペーパー、除菌シートなど、衛生用品は多めに確保が必要です。

アルコール消毒液や空気清浄器なども用意しておくと、クラスターのリスクを軽減できます。

取り組み6.行政データをバックアップしておく

自治体では住民情報や交通量の渋滞情報、気象データなど、さまざまなデータを扱っています。災害によってPCやサーバーが被害に遭った場合、これまで蓄積してきたデータを利用できなくなる可能性が高まります。

仮にデータを失った場合、早期の事業再開が困難になるだけでなく、住民からの信頼も失うでしょう。データ消失を避けるため、オンラインストレージやデータセンターを活用し、バックアップデータを取得しておきます。

また、紙書類で情報を保存している場合は、ペーパーレス化を推進しておくことも必要です。紙書類は津波や浸水の被害に遭った場合、復元できなくなる可能性が高いためです。

取り組み7.複数の通信手段を確保する

自然災害が発生した際、すぐに職員と連絡が取れるよう、複数の連絡手段を確保しておく必要があります。緊急時の連絡手段が、電話とメールだけでは不十分です。

大規模災害が発生すると、多くの方が家族や両親、友人の無事を確認するために電話を利用します。通常時と比べてトラフィック量が大幅に増加する影響で、電話はつながりにくくなります。

トラフィック量とは、電話回線やネットワーク回線上で交わされるデータ通信の量です。東日本大震災の際は、トラフィック量が通常の50〜60倍まで増えていました。

トラフィック量が電話回線を大幅に超えると、通信ネットワークの維持や重要なデータ通信を保護するため、大手キャリアは通信規制を設けます。実際、ドコモ・au・ソフトバンクの音声通信は、最低でも70%以上が規制されていました。

一方、メールのパケット通信は規制は少なかったため、音声通話と比べるとつながりやすい状況にありました。しかし、データ処理の量がサーバーのスペックを大幅に超えており、通信障害が頻繁に発生しています。

上記の理由からIP電話やトランシーバー、安否確認システムなど、複数の連絡手段の導入を検討しておく必要があります。緊急時の連絡手段には、安否確認システムがおすすめです。

専用アプリやLINE、SMSなど、複数の連絡手段に対応可能なシステムが多く、従業員の安否を素早く確認できる確率が高まります。

さらに、データセンターやサーバーの分散運用など、強固な災害対策を講じているベンダーが多く、大規模災害の際も安定稼働が望めます。

地方自治体の災害対策にはトヨクモの「安否確認サービス2」がおすすめ

災害が起きた後、地方自治体は職員の安否確認を素早く実施しなければなりません。避難所の設営や自衛隊との連携など、地方自治体の役割を果たすには、業務を担う職員が一定数必要になります。

職員の安否確認を効率的に進めるには、安否確認システムの利用がおすすめです。トヨクモの提供する『安否確認サービス2』は、導入実績4,000社以上を誇る安否確認システムです。

専用アプリやメール、LINEでの連絡に対応しており、従業員の安否を素早く確認できる確率が高まります。

安否確認メールの送信~回答結果の集計まで、一連の作業をシステムが行うため、管理者の被災状況を問わず、安否確認が可能です。

また、メインサーバーはシンガポールで運用しており、国内で大規模災害が起きても影響を避けられます。シンガポールは自然災害が少なく電力供給も安定しているため、停電のリスクが低い点も魅力です。

サーバーはアクセス状況に応じて拡張するため、アクセス過多にともなう速度遅延や通信障害の発生を過度に気にする必要もないでしょう。

さらに、月額料金は比較的リーズナブルな価格に設定されています。ユーザー数が50人の場合、複数のプランで月額10,000円以下で利用が可能です。初期費用や最低利用期間は発生しません。

災害対策強化に取り組んでいる自治体や企業担当者の方は、『安否確認サービス2』の導入をご検討ください。

災害発生時の自治体の役割

災害対策基本法に明記されている地方自治体の役割は下記のとおりです。

  • 避難所での生活環境の確保
  • ボランティアとの連携や協働
  • 自衛隊の災害派遣要請
  • 情報の収集・発信
  • 被災者支援

個々の内容に関して述べます。

役割1.避難所での生活環境の確保

地方自治体は被災者のために、避難所での生活環境を確保する必要があります。このとき災害からの一時避難場所と、被災者の中長期な生活の場所を区別することが大切です。

また、近隣の市町村が被災した場合、被災者の受け入れを検討します。地方自治体の判断で、市町村や都道府県を越えて被災住民の受け入れが可能です。

役割2.ボランティアとの連携や協働

被災地の支援を早急に実施するため、自治体は各災害ボランティアセンターとの連携が必要です。ボランティアの派遣には、災害ボランティアセンターに登録している方を集める必要があります。

また、災害が発生した際には、ボランティアの派遣要望場所や必要人数、活動内容などを把握しておくことも地方自治体に求められます。

役割3.自衛隊の災害派遣要請

地方自治体は緊急時の例外的な措置として、自衛隊の災害派遣要請が可能です。被害が大きい場合は、必要に応じて各地方自治体の市区町村長から都道府県知事に対し、自衛隊の災害派遣を要請します。

都道府県知事への要請ができない場合には、防衛大臣またはその指定する者に災害状況を通知できます。

参考:e-GOV法令検索「自衛隊法第83条」

また、自衛隊を派遣するにあたって、応援受け入れ体制を確保することも重要です。災害発生で生じた廃棄物やがれきなどを速やかに処理しましょう。

役割4.情報の収集・発信

地方自治体は、地域の被害状況や安否不明者などの情報を収集し、発信する役割があります。

緊急時は慣れない状況に戸惑い、冷静さや判断力を失っている場合も少なくありません。XやInstagramなど、SNS上でのフェイクニュースに惑わされるリスクもあります。

人々の不安を軽減するため、地方自治体が周辺地域の被害状況を収集し、正しく情報発信することが求められます。

役割5.被災者支援

地方自治体は被災者名簿の作成や避難行動要支援者の状況把握など、被災者支援を行う必要があります。

また、被災者のなかには家族が見つからず、不安を抱えながら過ごしている方も少なくありません。被災者支援の総合窓口を設置して被災者からの相談を受け付け、悩みや不安の軽減に努めます。

他の自治体の災害対策を参考にしてダメージを抑えよう

地方自治体の災害対策は、地域住民の安全を守るために欠かせません。今回の記事で紹介した事例を参考に災害対策を強化し、住民の不安軽減や防災意識の向上に努めましょう。

備蓄品の管理や定期的な防災訓練の実施など、日頃の備えも重要になります。地方自治体は住民の生活環境確保や自衛隊との連携、情報発信など、災害後にさまざまな役割を果たします。

素早い初動対応を実現するには、災害発生後に職員の安否を素早く確認できる体制の整備が必要です。

安否確認システムの多くは複数の連絡手段に対応しており、従業員と家族の安否を素早く把握できる確率が高まります。複数のサーバー運用やネットワーク環境の冗長化などによって、災害時に安定稼働が望める点も魅力です。

また、気象庁と連携したシステムを導入すると、地震や津波、特別警報など、災害情報の取得が可能です。周辺の被害状況やライフラインの復旧状況などとともに、住民へ正確な情報を発信できます。

地方自治体の災害対策に関するよくある質問

安否確認システムの必要性や防災と減災の違いなど、災害対策に関する質問と回答を以下にまとめました。

災害時にインターネット回線は利用できますか?

電話回線よりもインターネット回線の方がつながりやすいです。東日本大震災の際も、津波被害が極端に大きかった地域を除き、インターネット回線は機能していました。当時はXやLINEを使っての情報発信が活発で、避難の呼びかけや災害情報が共有されていました。

東日本大震災後の調査で、通信サービスが利用できなかった原因が津波ではなく、停電の影響が大きい事実が判明します。大手キャリアは停電対策として、予備電源の配置や大ゾーン基地局の整備、移動電源車の確保などを進めてきました。

また、インターネット回線が利用できない場合に備えて、『00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)』と呼ばれる無料の無線LANサービスを開発しました。

00000JAPANとは大規模災害が発生した際、キャリアの契約先を問わずWi-Fiを利用してのインターネット接続を実現するサービスです。認証不要で利用できるだけでなく、利用時間や回数の制限も設けられていません。

停電対策の強化や00000JAPANの開発によって、緊急時も職員と連絡が取りやすい環境が整いつつあります。

安否確認システムを導入すべき理由とは?

緊急時の連絡手段に安否確認システムが適している理由には、以下3つの内容があげられます。

  1. 複数の連絡手段に対応している
  2. 管理者の負担を軽減できる
  3. コミュニケーションが取りやすい

自然災害が発生した際、地方自治体には迅速な初動対応が求められます。避難所の設置や被災者支援など、自治体の役割を果たすには、実務を担う職員を一定数確保しなければなりません。

安否確認システムは専用アプリやLINEなど、メールや電話以外の連絡手段にも対応しており、従業員の安否を素早く確認できる確率が高まります。

安否確認メールの送信〜回答結果の集計まで、一連の作業をシステムが行うため、管理者が作業をする必要はありません。管理者の被災状況を問わず、従業員の安否確認が可能です。

また、掲示板やメッセージ機能を実装したシステムを導入すると、今後の流れを職員と共有できるため、事業再開に向けた準備をスムーズに進められます。画像や動画の投稿にも対応しており、被災状況や住民の様子を正確に把握できる点も魅力です。

防災と減災の違いとは?

防災と減災の違いは、「災害の発生を前提としているか」になります。防災は災害の発生を未然に防ぐ対策です。たとえば、津波の被害軽減を目的とした堤防の建設や森林の保全などが該当します。

一方、減災とは災害の発生を前提に考え、被災による人的・物的被害の軽減を目的とした災害対策です。東日本大震災以降、大規模な自然災害が起こった場合、「防災対策を十分に実施していても、被害をゼロにすることは不可能」との考えが広まりました。

最短での事業復旧を目指すため、BCPの策定やハザードマップの確認、事業所の耐震補強などを実施します。

災害対策基本法とは?

災害対策基本法とは、昭和36年に制定された法律のことです。昭和34年に発生した伊勢湾台風をきっかけに策定され、その後何度かの改正を経て現在の内容になりました。

災害対策全体を体系化しており、国や都道府県、市町村など、地方自治体の役割について明記されています。

自治体の防災対策では、「自助・共助・公助」の3つの取り組みがポイントです。災害への対応力を高めるためには、以下3つの取り組みを連携させる必要があります。

役割内容
自助自分や家族の身を守る
共助地域住民同士が協力して助け合う
公助公的機関による救助・援助を行う
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編集者:遠藤 香大(えんどう こうだい)


トヨクモ株式会社 マーケティング本部に所属。RMCA認定BCPアドバイザー。2024年、トヨクモ株式会社に入社。『kintone連携サービス』のサポート業務を経て、現在はトヨクモが運営するメディア『トヨクモ防災タイムズ』運営メンバーとして編集・校正業務に携わる。海外での資源開発による災害・健康リスクや、企業のレピュテーションリスクに関する研究経験がある。本メディアでは労働安全衛生法の記事を中心に、BCPに関するさまざまな分野を担当。

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