「もっと整頓しておけば」を防ぐためのオフィス防災の基本

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トヨクモ防災タイムズ編集部

オフィスの防災対策はなぜ必要なのでしょうか。オフィス防災ってきくと、日常の業務にはあまり関わりはないし、なんだか面倒な気がします。

でも普段オフィスが整理整頓されていないと、いざという時に大変な目に。たとえばダンボールで避難経路が塞がれてしまったり、棚が傾いて、重い物が落ちてきて負傷する可能性があります。そこで、今回はオフィスの防災対策についてあらためて重要性を考えるとともに、具体的な対策について解説します。

日頃から防災対策を意識した整理整頓が大切です。

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地震対策

地震対策で取り組むべき対策は「レイアウトの見直し」「家具・什器の見直し」「家具・什器の固定」「書類など物の置き方の見直し」の4項目です。それぞれの項目の中で確認すべきことをまとめました。

レイアウトの見直し

メインとなる避難経路は直線上に確保できることが理想です。家具や什器を設置する際は1.2m以上の幅を空けます。これは、建築基準法で定められていることで、オフィスの主要通路の幅は一般的に肩幅が広い成人男子2人が、余裕を持たせてすれ違えることが基本となっています。

避難誘導灯が物で隠れないようにしておくことも大切です。また、従業員が個人でできることは、デスクの整理整頓。いざというときにデスクの下に潜り込めるように、常にスペースを空けておくよう、周知しましょう。

【Point】
・ドアの周りに「キャスター付きの家具」「転倒しそうな棚」などを不安定な家具や什器を設置しないようにしましょう。避難する際の通路を塞がれてしまう危険性があります。
・避難経路の確保ができるよう、家具や什器を置く間隔は 【1.2m以上】は確保しましょう。
・従業員のデスク周辺には背の高い家具を置かないように。また、OA機器の移動や落下を防ぐために、デスク上でしっかり固定をしておくとよいでしょう。

家具・什器の見直し

設置する家具・什器は、まず棚から物が落ちないようになっているか確認が必要。引き出しや引き戸など、収納物が飛び出さないようラッチ(締まり金属)が付属しているものをオフィスに配置しましょう。

【Point】
・「背の高い家具や什器」をオフィスの仕切りとして配置すると、震災の時に倒れてしまう危険性があります。オフィスを仕切る際はパーテーションを使用しましょう。「コの字型」や「Hの字型」にしておくと安心です。転倒すると避難経路を塞いでしまう可能性があります。
・家具や什器にガラス窓がある場合は、発災時に割れて飛散する可能性があるので「飛散防止フィルム」を貼りましょう。
・家具や什器の引き出し、扉に「ラッチ(空錠)」と呼ばれる締まり金具を付けましょう。ラッチは勝手に扉が開いてしまうことを防ぎます。新しく家具や什器を購入する場合は、このラッチ、もしくはセーフティーロック付きの家具を選ぶとよいでしょう。

家具・什器の固定

固定方法として1番安全な方法は「ボルト」を使うこと。金具で床や壁のコンクリート等にしっかりと固定するといいでしょう。また、棚の上に物を置かないことも重要ですが、上下二段式の家具はそれぞれを連結しておくと、より固定され安全性が高まります。連結にはシールタイプの補強シートを貼り付けるだけの商品もあるため、意外と簡単に対策することができるでしょう。

時計や掲示板など、壁にかけている物も落下しないよう固定することを忘れずにしてください。

【Point】
・低めの棚やラックなどは、上下、横、背中合わせで連結をします。壁側に設置している家具や什器はしっかりと壁、床に固定しましょう。安定感が生まれて、倒れにくくなります。

書類など物の置き方の見直し

家具の上に物を置くと落下する危険があるので、なるべく棚や什器内に収納するようにしましょう。

【Point】
・家具や什器の上にそのまま物を置くと、震災時に物がバラバラと落ちてくる危険性があります。
・家具や什器の収納は、上の段だけ、あるいは右側だけなど、偏った収納はなるべく避けて、バランスよくしまいましょう。重い荷物は下段に入れると重心が下がり、安定感が生まれます。

備蓄品

災害発生から72時間が「生存率が急激に低下する分岐点」だといわれています。東京都が定めている「帰宅困難者対策条例」では、企業は従業員を3日間オフィスに滞在させる必要があるとしています。【72時間=3日分】なので、従業員それぞれの3日分の水や食料などを用意しておきましょう。

ここでは、水と食糧、そして緊急用の薬についてご紹介します。

生命の要「水と食糧」

・水は1人あたり1日3L
・主食は1人あたり1日3食

主食は「アルファ化米」「クラッカー」「乾パン」「カップ麺」などです。

緊急用の薬

・胃腸薬
・解熱剤
・持病の処方薬

疲労がたまると胃腸が弱ることがあり、水も十分に用意できないことから衛生的な環境が担保されないため、お腹を壊してしまいがち。そんなときに胃腸薬はとても便利です。また、慣れない環境による体力の低下による熱が生じることもあるので、解熱剤も用意しておくといいでしょう。

喘息などの持病を持っている従業員には、常に多めに薬を持ち歩くよう、周知しておくことも重要です。

分散備蓄のすすめ

備蓄品はどこに配置しておくのか悩みどころ。基本は持ち出しやすい場所に置くことが重要です。従業員の個人のデスクがある場合は、事前に水や食糧、そして帰宅支援マップを配布しておく「分散備蓄」で保管するのがおすすめ。分散備蓄を導入することで、会社の倉庫など、備蓄品をまとめて保管するスペースの削減に繋がります。一緒にヘルメットも配布すると、より安全性が増すでしょう。

分散備蓄は従業員一人ひとりが防災意識を高めることにも繋がります。

災害後の72時間を重要視する理由とは?企業における対策方法を解説

感染症対策

「風邪」「インフルエンザ」「ノロウイルス」「食中毒」「水虫、爪白癬(つめはくせん)」「ものもらい(麦粒腫)」などの身近な感染症の予防し、また対策方法を周知することもオフィス防災対策のひとつです。

災害時の感染症予防でできることは大きく3つあります。

怪我の感染症対策

きれいな水で傷口を洗います。水がない場合は、できる限り衛生的に保ちましょう。傷口に異物が残っていたら取り除くことが重要です。傷口に異物が付着したまま放置しておくと、破傷風(はしょうふう)になる危険性があります。

破傷風菌はふだんは土の中にいますが、怪我をした際に体内に取り込まれてしまうと、毒素を吐き出しながら成長を続けます。

破傷風は見た目はただの怪我。外傷だけ治ることもあります。症状が進行すると、まず傷口の部分に違和感を感じ、人によっては歯ぎしりや寝汗といった症状が出て、だんだんと口を開けにくくなるなります。

この辺りで治療ができればいいのですが、放置したり、治療できない環境にいると、だんだんと全身のけいれんが生じるようになり、生命の危険に陥ることも。きちんと予防していれば防ぐことのできる病気です。

風邪、インフルエンザ、下痢対策

風邪やインフルエンザなどの飛沫感染症は「手洗い」もしくは「アルコール消毒」が有効です。感染者はマスクをつけて、非感染者となるべく距離をとりましょう。

下痢の場合は、治療の原則は「水を飲むこと」。水を飲むから下痢をするというわけではないので、なるべく水分を補給することが大切です。水不足だと小さな子どもや高齢者は脱水症状を起こしやすく、最悪の場合、死に至ることもあります。

予防接種

また、被災前になるべくしておきたい「予防接種」。破傷風とインフルエンザの予防接種は済ませておきたいものです。企業の災害対策として、意識的に取り入れることが重要です。

インフルエンザは毎年、10月〜11月の間にワクチンを打つことが理想(成人の場合)。また、破傷風のワクチンは子どもの頃に摂取しますが、まだの人はワクチンを摂取しましょう。通常だと、12際のときにワクチンを打ち、その後10年間は効き目があり、およそ20代後半までは効き目があると言われています。30歳以上の方だと免疫が消失している可能性があるので、あらためて予防接種を受けることをおすすめします。

被災した場合、以下のような症状が出たらただちに医療機関または避難所のスタッフに知らせましょう。

  • 38度以上の高熱
  • 風邪症状(咳、鼻水、のどの痛み)
  • インフルエンザの症状(全身がだるい、悪寒、関節痛、筋肉痛)
  • 咳と血が混ざった痰がでる
  • 体に発疹がでている
  • 下痢の症状がある
  • 吐き気がする、もしくは吐いてしまった
  • お腹が痛く、さらに血が混ざっている
  • 目が赤い、目やにが出ている
  • 傷口から膿が出たり、赤くなっている

非常通信・非常発電


地震や台風、洪水、津波、雪害やそのほか非常事態が発生した場合、一般電話や携帯電話の回線に支障が生じて、まったく使えない状態に陥ることがあります。その際に「通信手段の確保」をすることは事業継続のうえでも大切になるでしょう。

従来の通信方法以外に「デジタル無線」という方法があります。災害時の連絡体制強化に向けて導入しておくと安心です。デジタル無線は法人向けで販売していることが多いため、災害時に繋がりやすいというメリットがあります。また一斉に繋ぐことができるので連絡が通りやすく、緊急事態の使用に適しています。通信料金も定額制なので、コストもあまりかかりません。

また非常発電について、「災害時にも事業が継続できるよう、非常用の自家発電を備えてあるビルなら安心。」……そう考えている方は多いのではないでしょうか。実は、ビルの非常用発電は「消防設備」や「防災設備」などへ電源供給するために設置されているもので、入居している企業のパソコンやサーバーを動かすためにあるものではありません。

もちろん、そういった契約をされている場合もあるので、もし自家発電を備えたビルに入居している企業は、今一度確認をしておきましょう。

また、そうした契約をしていない場合は、オフィスに非常時の備えとして発電機を置いておくことを推奨します。

地下室に自家発電機が備え付けられている場合、水没対策は忘れないようにしましょう。地下に自家発電機のあるビルだと水没してしまう可能性があります。浸水してしまうと、自家発電機が故障して動かなくなってしまうこともあるので、自家発電機を設置しているのならば、浸水しないよう対策をしておくことが必要です。

まとめ

オフィスの快適さを保ちながら防災対策を考えることは、従業員の防災意識を高め、従業員の命を守ることに繋がります。

したがって備蓄品の整理、感染症対策を知り、それを従業員に伝える「防災教育」が重要。その中でもっともわかりやすく、伝えやすいのは避難訓練です。避難訓練を実施することで、情報収集の方法、情報の伝達方法など確認する良い機会となります。

事業継続の可能性は日々の業務にかかっています。日頃オフィスの環境を整えつつ、定期的に避難訓練を実施し、非常事態に備えましょう。

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編集者:遠藤 香大(えんどう こうだい)


トヨクモ防災タイムズ 編集長 RMCA BCPアドバイザー トヨクモ株式会社で災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案や情報発信に携わる。トヨクモ防災タイムズではBCPや災害対策に関する記事の企画・執筆・編集を担当。専門家との連携や現場視点を取り入れながら、読者に寄り添う防災情報の発信を目指している。

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