BCP訓練とは?目的・種類・進め方・具体例・実施時のポイントを解説
福岡 幸二(ふくおか こうじ)
BCPは、策定しただけでは災害や緊急事態で機能しません。担当者の連絡先が古い、安否確認の回答が集まらない、代替拠点への移動手順が曖昧、システム復旧に想定以上の時間がかかる。こうした課題は、訓練で実際に動かして初めて見えてきます。
BCP訓練は、策定したBCPが現場で使える内容になっているかを検証し、改善につなげるために行います。最初から大がかりな総合訓練を行う必要はありません。まずは机上訓練や安否確認訓練で計画の不備や初動対応を確認し、組織の習熟度に応じて実地訓練や総合訓練へ広げていきます。
本記事では、BCP訓練の目的、種類、進め方、シナリオの作り方、具体例を整理します。自社ではどの訓練から始めるべきか、実施後に何を見直すべきかを判断できるように解説します。
目次
BCP訓練とは
BCP訓練とは、策定したBCPに沿って、災害や感染症、システム障害、サイバー攻撃などの緊急事態への対応を確認する訓練です。
BCPは、計画を作成しただけでは機能しません。緊急時に従業員が手順どおりに動けるか、必要な情報を集められるか、事業を継続・復旧できるかを訓練で確認して初めて、実効性のある計画になります。
BCPに沿って緊急時の対応を確認する訓練
BCP訓練とは、あらかじめ定めたBCP(事業継続計画)に沿って行う訓練です。
BCPとは「Business Continuity Plan」の頭文字を取った言葉で、日本語では「事業継続計画」といいます。自然災害、感染症、サイバー攻撃、システム障害などの緊急事態が発生した際に、被害を最小限に抑えながら、重要な業務の継続・早期復旧を目指すための計画です。
どれほど内容が整ったBCPでも、実際に動けなければ意味がありません。訓練では、BCPの内容に不備がないか、現場で実行できる手順になっているか、担当者や判断基準が明確になっているかを確認します。
BCP訓練の目的は、マニュアルの読み合わせではありません。BCPや関連マニュアル、連絡体制、復旧手順の課題を洗い出し、実際に使える内容へ改善することにあります。
なお、BCPをこれから作成する場合や、既存計画の見直しから始めたい場合は、「【図解】BCP策定6つの手順|注意点をステップごとに解説」もあわせてご覧ください。
BCP訓練で確認すること
BCP訓練では、策定したBCPが緊急時に機能するかを、実際の行動やシミュレーションで確認します。
主に確認すべき項目は、以下のとおりです。
- 安否確認や緊急連絡が想定どおりに行えるか
- 災害対策本部や責任者の役割が明確になっているか
- 被害状況を把握し、必要な情報を集約できるか
- 重要業務の優先順位が現場で共有されているか
- 代替拠点、代替手段、代替要員を使える状態になっているか
- システムやデータの復旧手順が実行可能か
- 訓練後に課題を整理し、BCPへ反映できるか
安否確認の回答率が低い、連絡先が古い、復旧手順を一部の担当者しか知らない、代替拠点への移動方法が曖昧。こうした課題は、訓練を通じて初めて表面化します。
訓練で見つかった課題は、次回の訓練やBCPの改訂に反映します。実施して終わりにせず、評価・改善まで行うことで、計画の実効性を高められます。
業種によってはBCP策定・研修・訓練が義務化されている
業種によっては、BCPの策定だけでなく、研修や訓練の実施が義務化されています。
たとえば介護事業者では、2021年の介護報酬改定により、2024年4月からBCPの策定、BCPを共有するための研修、BCPに基づく訓練の実施が義務化されました。感染症と自然災害のそれぞれに対応したBCPを策定し、職員への周知や訓練を行うことが求められます。
BCP未策定の場合は、介護報酬の減算対象となる可能性があります。義務化の対象となる業種では、BCPを作成するだけでなく、研修や訓練まで含めて継続的に運用する体制が必要です。
義務化されていない業種でも、BCP訓練は不要ではありません。災害時に従業員や顧客の安全を守り、事業への影響を抑えるには、計画を実際に動かして検証する機会が欠かせません。
BCP訓練は、法令対応だけを目的としたものではなく、緊急時に組織が動ける状態を作るための実務的な取り組みです。
BCP訓練を行う目的
BCP訓練の目的は、策定したBCPを「実際に使える計画」にすることです。
計画書やマニュアルを整備しても、緊急時にその通り動けるとは限りません。担当者が判断に迷う、連絡がつかない、手順が現場に合っていない、必要な設備や情報が使えない。こうした問題は、訓練を通じて初めて見えてきます。
BCP訓練では、計画の不備を洗い出し、従業員が迷わず行動できる状態を作ります。あわせて、人員・拠点・システムなどの変化に合わせて、BCPを更新していきます。
BCPの不備や矛盾を見つけるため
BCP訓練を行う大きな目的は、策定したBCPの不備や矛盾を見つけることです。
どれほど丁寧にBCPを作成しても、現場で動かしてみなければ分からない課題があります。担当者に連絡がつかない場合の代行者が決まっていない、システム復旧に必要なパスワードが共有されていない、被害状況の報告ルートが複雑で情報が集まらないといった問題です。
机上訓練やロールプレイング訓練で手順を確認すると、マニュアル上では成立している対応でも、実際には判断基準が曖昧だったり、必要な人員・設備が不足していたりすることがあります。
BCP訓練は、計画を予定通りにこなすためではなく、弱点を見つけるために行います。訓練で発見した課題をBCPや関連マニュアルに反映し、緊急時に機能する計画へ近づけます。
緊急時に迷わず行動できるようにするため
BCP訓練には、緊急時に従業員が迷わず行動できる状態を作る目的もあります。
大規模地震、感染症の拡大、サイバー攻撃、システム停止などが発生すると、通常時のように落ち着いてマニュアルを読み込む余裕はありません。被害状況の確認、安否確認、避難、初期対応、システム停止時の判断などは、短時間で対応する必要があります。
安否確認への回答、非常用電源への切り替え、重要データの保護、負傷者対応、取引先への連絡などは、初動を左右する行動です。手順を知っているだけではなく、訓練で経験しておくことで、担当者や従業員が行動に移しやすくなります。
BCP訓練を繰り返すと、災害時に必要な行動が組織に定着します。パニックや判断の遅れを抑え、被害の拡大防止や早期復旧につなげられます。
組織変更や業務環境の変化に対応するため
BCP訓練は、組織や業務環境の変化にBCPを対応させるためにも必要です。
BCPは、一度作成すれば終わりではありません。人事異動、退職、新入社員の入社、拠点の移転、システム変更、リモートワークの導入、取引先の変更などにより、組織の実態は常に変わります。BCPを更新しないまま放置すると、緊急時に古い連絡先や実態に合わない手順を使うことになります。
たとえば、連絡網に退職者が残っている、新しいITツールの復旧手順が反映されていない、代替要員が異動している状態では、BCPは機能しません。
定期的に訓練を行えば、計画と現場のズレを確認できます。訓練で見つかった変更点をBCPに反映し、組織の最新状況に合った計画を維持します。
BCP訓練の種類
BCP訓練は、大きく「机上訓練」「実地訓練」「総合訓練」に分けられます。
まずは、会議室やオンライン上でBCPの内容や役割分担を確認する机上訓練から始めます。その後、安否確認訓練やデータ復旧訓練など、人やシステムを実際に動かす実地訓練へ進み、慣れてきたら部署間連携や代替拠点での業務再開まで確認する総合訓練へ広げます。
最初から大規模な訓練を行う必要はありません。自社のBCP習熟度や確認したい内容に合わせて、必要な訓練を段階的に選びます。
| 訓練の種類 | 目的 | 向いている企業・組織 | 確認する内容 |
| 机上訓練 | BCPの内容、役割分担、判断基準、手順の不備を確認する | BCPを策定した直後の企業、まず社内に内容を周知したい組織 | マニュアルの整合性、連絡体制、意思決定の流れ、担当者の役割 |
| 実地訓練 | 実際の行動やシステム操作を通じて、初動対応を確認する | 安否確認、避難、データ復旧など、個別対応を実践したい組織 | 安否確認の回答率、避難経路、復旧手順、設備・システムの操作 |
| 総合訓練 | 発災直後から事業復旧までの一連の流れを確認する | 個別訓練を経験し、部署横断の連携を検証したい組織 | 対策本部の運営、情報集約、部署間連携、代替拠点での業務再開 |
机上訓練
机上訓練とは、実際の移動や設備の操作を伴わず、会議室やオンライン上でBCPの内容を確認する訓練です。策定したマニュアルや対応手順をもとに、緊急時に誰が判断し、どのように連絡・報告するかをシミュレーションします。
机上訓練には、BCP研修、図上訓練、ワークショップ訓練、ロールプレイング訓練などがあります。図上訓練では、地図や施設の図面を使い、被害想定に合わせて状況整理や対応方針を検討します。ロールプレイング訓練では、対策本部長や部門責任者などの役割を設定し、状況に応じた判断や指示出しを疑似体験します。
机上訓練は、BCPを策定した直後の企業や、社内で共通認識を作りたい組織に向いています。短時間で実施しやすく、計画の抜け漏れや判断基準の曖昧さを確認できます。
実地訓練
実地訓練とは、オフィスや現場で実際に人や設備、システムを動かし、緊急時の対応を確認する訓練です。机上訓練で確認した手順を、実際に実行できるかを検証します。
実地訓練には、安否確認訓練、データ復旧訓練、避難・消防訓練、救急救命訓練、参集訓練などがあります。安否確認訓練では、従業員に実際に通知を送り、回答率や集計時間、未回答者への対応を確認します。データ復旧訓練では、バックアップデータの復旧手順や、復旧にかかる時間を確認します。
マニュアル上では問題なく見える手順でも、実際には時間がかかる、担当者が操作に迷う、連絡が届かないといった課題が見つかることがあります。実地訓練は、IT復旧・避難・安否確認など、特定の初動対応を強化したい組織に向いています。
総合訓練
総合訓練とは、発災直後の初動対応から、被害状況の確認、対策本部の運営、代替拠点への移動、重要業務の復旧までを一連の流れで確認する訓練です。机上訓練と実地訓練を組み合わせ、組織全体としてBCPが機能するかを検証します。
総合訓練では、個別の手順だけでなく、部署間の連携、情報共有、意思決定の流れを確認します。本社が使えなくなった想定で代替拠点を立ち上げる訓練や、複数部門が連携して復旧方針を判断するフルスケール訓練などが該当します。
総合訓練は、すでに机上訓練や実地訓練を実施しており、より実践に近い形でBCPの実効性を確認したい組織に向いています。情報集約の遅れ、指示系統の混乱、部署間の認識違いなど、部分的な訓練では見えにくい課題を把握できます。
BCP訓練は何から始めるべきか
BCP訓練は、最初から大々的に行う必要はありません。まずはBCPの内容や役割分担を確認する「机上訓練」から始め、次に「安否確認訓練」や部署ごとの実地訓練へ進み、最後に組織全体で行う「総合訓練」へ広げます。
BCPを策定した直後の企業と、すでに安否確認訓練や避難訓練を実施している企業では、取り組むべき訓練のレベルが異なります。自社の訓練経験やBCPの浸透度に合わせて、無理なく段階を上げていきましょう。
BCP策定直後は机上訓練から始める
BCPを策定した直後の企業や、組織内で共通認識を形成したい場合は、机上訓練から始めます。
机上訓練では、会議室やオンライン上でBCPの内容を確認します。策定したマニュアルやシナリオをもとに、災害時の対応手順、担当者の役割、連絡体制、意思決定の流れなどを確認します。
最初から実地訓練や総合訓練を行うと、参加者がBCPの内容を理解しておらず、訓練そのものが混乱する可能性があります。まずは机上訓練で、BCPに不備や矛盾がないか、現場で実行できる内容になっているかを確認します。
初動対応を確認するなら安否確認訓練から始める
災害時の初動対応を確認したい場合は、安否確認訓練から始めます。
緊急事態が発生した際、従業員が無事なのか、どこにいるのかを把握できなければ、具体的な救護や対策に進めません。安否確認は、救護、出社判断、事業継続判断の起点になります。
安否確認訓練では、システムや連絡網を実際に稼働させ、従業員の安全報告や集計が正しく行えるかを確認します。回答率、回答までの時間、未回答者への再連絡、管理者側の集計作業などを確認し、災害時に連絡体制が機能するかを検証します。
また、安否確認訓練は全従業員を巻き込みやすい訓練です。防災やBCPに関心が薄い従業員でも、「安否を返信する」という簡単な行動から参加できます。組織全体の防災意識を高めるきっかけとしても有効です。
訓練に慣れてきたら実地訓練・総合訓練へ広げる
机上訓練や安否確認訓練を通じて、BCPの内容や初動対応への理解が進んだら、実地訓練や総合訓練へ広げます。
実地訓練では、オフィスや現場で実際に体を動かし、ツールや機器の操作手順を確認します。データ復旧訓練、避難・消防訓練、救急救命訓練、参集訓練などが該当します。計画の全体像は把握できているものの、具体的な初動のスキルを定着させたい組織に向いています。
訓練の習熟度が上がったら、総合訓練を実施します。発災直後の初動から事業復旧までの一連の流れを、組織全体で確認する訓練です。部署間の連携、情報の集約、対策本部の意思決定、代替施設への移転など、部分的な訓練では見えない課題を把握できます。
BCP訓練は、一度実施して終わりではありません。段階的に訓練を広げながら、見つかった課題をBCPに反映し、継続的に改善していきます。
BCP訓練の進め方
BCP訓練は、目的を決め、準備し、実施後に評価・改善する流れで進めます。
最初に決めるべきなのは、「今回の訓練で何を確認するか」です。安否確認の回答率、対策本部の意思決定、システム復旧手順など、目的によって参加者やシナリオ、評価項目は変わります。
訓練で見つかった課題は、BCPやマニュアルに反映します。実施して終わらせず、改善まで行うことで、BCPの実効性を高めます。
訓練の目的を決める
まず、今回のBCP訓練で何を検証するのかを決めます。
目的が曖昧だと、参加者が何を確認すべきか分からず、訓練後の評価もぼやけます。「安否確認の回答率を確認する」「災害対策本部の立ち上げ手順を確認する」「システム復旧にかかる時間を測る」など、確認したい内容を具体化します。
最初から多くの項目を盛り込む必要はありません。BCP策定直後であれば、計画の周知や役割分担の確認を目的に、机上訓練から始めるとよいでしょう。
参加者と役割を決める
次に、訓練の参加者と役割を決めます。
BCP訓練では、誰が意思決定し、誰が被害状況を確認し、誰が従業員や取引先へ連絡するのかを明確にします。役割が曖昧なままだと、実際の緊急時にも指示系統が混乱します。
参加者は目的に合わせて決めます。全従業員を対象にする安否確認訓練もあれば、経営層や部門責任者が中心の対策本部訓練、情報システム部門が中心のデータ復旧訓練もあります。
進行担当者や記録・評価担当者も決めておくと、訓練後に結果を整理しやすくなります。
訓練シナリオを作成する
参加者と役割が決まったら、訓練シナリオを作成します。
シナリオでは、想定する災害や緊急事態、発生日時、被害状況、使えない設備、確認すべき行動を具体的に設定します。たとえば、「平日の営業時間中に震度6強の地震が発生」「通信状態が不安定」「一部の従業員と連絡が取れない」「サーバーが停止した」といった条件です。
シナリオが具体的だと、参加者は当事者意識を持ちやすくなります。ただし、初回から複雑にしすぎる必要はありません。簡単な想定から始め、訓練を重ねながら高度化します。
訓練を実施する
準備が整ったら、計画に沿って訓練を実施します。
机上訓練では、マニュアルやシナリオをもとに、各担当者の判断や行動を確認します。実地訓練では、安否確認システムの送信、避難経路の確認、バックアップデータの復旧、非常用設備の操作などを実際に行います。
訓練中は、予定どおり進めることだけを目的にしません。判断に迷った場面、連絡が遅れた箇所、分かりにくい手順を記録し、改善材料として残します。
訓練後に評価・改善する
BCP訓練後は、必ず評価と改善を行います。
訓練は、完璧にこなすためではなく、BCPの不備や現場の課題を見つけるために行います。終了後は、参加者の記憶が鮮明なうちに振り返りを行い、反省点や気づきを整理します。
評価では、目的を達成できたか、想定時間内に対応できたか、情報共有や意思決定に問題がなかったかを確認します。安否確認訓練であれば、回答率、回答までの時間、未回答者への対応、集計作業の負荷も確認対象です。
見つかった課題は、BCPやマニュアルに反映します。誰が、いつまでに、どの項目を修正するのかまで決めておくと、改善が曖昧になりません。
BCP訓練シナリオの作り方
BCP訓練では、想定する状況と確認する行動を具体化したシナリオを用意します。
シナリオが曖昧だと、参加者が当事者意識を持ちにくく、実際にどう動くべきかを検証できません。ただし、初回から複雑にする必要はありません。まずは簡単な想定から始め、訓練を重ねながら条件や難易度を上げていきます。
想定する災害・緊急事態を決める
まず、訓練で想定する災害や緊急事態を決めます。
BCP訓練では、地震、台風、水害、感染症、サイバー攻撃、システム障害など、自社への影響が大きいリスクを想定します。優先すべきリスクは、業種や拠点の立地、業務内容によって異なります。
工場や店舗を持つ企業では、地震や火災、停電時の初動対応が重要です。IT依存度が高い企業では、サーバー停止やデータ復旧の訓練が欠かせません。介護施設や医療機関では、利用者・患者の安全確保や感染症発生時の業務継続も訓練テーマになります。
複数の災害を同時に想定すると複雑になるため、最初は1つのリスクに絞って作成します。
あわせて、どの被害状況になったらBCPを発動するのかも整理しておくと、訓練時の判断がぶれにくくなります。発動条件の考え方は、「BCPを発動する条件とは?基準や発動フローを紹介」も参考になります。
発生日時・被害状況・使えない設備を具体化する
次に、災害や緊急事態の発生日時、被害状況、使えない設備を具体化します。
たとえば地震であれば、「平日の14時に震度6強の地震が発生」「一部エリアで停電」「通信状態が不安定」「一部の従業員と連絡が取れない」といった条件を設定します。
シナリオに含めたい主な項目は、以下のとおりです。
- 発生日時
- 発生場所
- 災害・緊急事態の内容
- 建物や設備の被害状況
- 通信・電気・水道などライフラインの状況
- 従業員や利用者、顧客の状況
- 使用できないシステムや設備
- 取引先や外部関係者への影響
「地震が発生した」だけでは、実際の判断に近い訓練にはなりません。停電、通信不安、従業員の外出、システム停止などの条件を加えることで、参加者は優先順位を考えやすくなります。
確認したい行動を時系列で整理する
シナリオでは、訓練で確認したい行動を時系列で整理します。
発災直後、30分後、数時間後に何を確認し、誰が判断するのかを決めておくと、訓練の流れが明確になります。
地震発生時の安否確認訓練であれば、次のような流れです。
- 地震発生後、安否確認システムや連絡網で従業員へ通知する
- 従業員の安否回答を集計する
- 未回答者に再連絡する
- 負傷者や出社困難者の有無を確認する
- 被災状況をもとに、出社可否や業務継続方針を判断する
- 必要に応じて取引先や関係者へ連絡する
単に「安否確認をする」では不十分です。誰が通知を出し、誰が集計し、未回答者へどの手段で連絡するのかまで確認します。
評価項目を事前に決めておく
BCP訓練では、実施後の振り返りに使う評価項目も事前に決めます。
評価項目がないと、「問題なく終わった」「大変だった」といった感想で終わりやすくなります。訓練の目的に合わせて、何を確認するのかを明確にしておきましょう。
評価項目の例は、以下のとおりです。
- 安否確認の回答率
- 回答が集まるまでの時間
- 未回答者への再連絡の実施状況
- 対策本部の立ち上げにかかった時間
- 被害状況の報告ルートが機能したか
- 担当者がマニュアルどおりに行動できたか
- 判断に迷った場面がなかったか
- 必要な情報が関係者に共有されたか
- システムやデータの復旧にかかった時間
- 訓練後に改善すべき課題が明確になったか
訓練は、完璧にこなすためではなく、課題を見つけるために行います。評価項目を決めておくことで、振り返りと改善につなげやすくなります。
シナリオ例:地震発生時の安否確認訓練
地震発生時の安否確認訓練では、発生日時、被害状況、確認する行動を具体化します。
| 項目 | 内容 |
| 事業場の概要 | 従業員100人の一般企業。オフィス勤務者と外出中の営業担当者がいる |
| 訓練の想定状況 | 平日の14時に震度6強の地震が発生。事業場内には営業担当者5名を除く95人が勤務している |
| 被害状況 | 一部エリアで停電が発生。通信状態は不安定だが、安否確認システムは利用可能 |
| 当日確認すべき行動 | 安否確認システムで従業員全員の安否を確認する。外出中の営業担当者には、被災状況を確認しながら避難場所または自宅へ避難するよう指示する |
| 確認する項目 | 回答率、回答までの時間、未回答者への再連絡、負傷者の有無、出社可否、管理者側の集計作業 |
| 訓練後に確認すること | 連絡先に不備がないか、未回答者への対応手順が明確か、管理者が必要な情報を把握できたか |
このように条件を具体化すると、安否確認訓練で検証すべき点が明確になります。
シナリオ例:システム停止時の復旧訓練
システム停止時の復旧訓練では、情報システム部門を中心に、被害状況の確認と復旧手順を検証します。
| 項目 | 内容 |
| 訓練の想定状況 | 業務で使用している基幹システムが停止し、一部のデータにアクセスできない |
| 被害状況 | 社内ネットワークは利用可能だが、対象システムに接続できない。バックアップデータは取得済み |
| 参加者 | 情報システム部門、業務部門の責任者、対策本部担当者 |
| 当日確認すべき行動 | 障害発生の報告、影響範囲の確認、復旧手順の実行、業務部門への状況共有、代替手段の検討 |
| 確認する項目 | 復旧手順が実行可能か、復旧にかかる時間、担当者が不在の場合の代替体制、業務部門への情報共有 |
| 訓練後に確認すること | 復旧手順に抜け漏れがないか、必要な権限やパスワードが管理されているか、復旧目標時間に対して現実的か |
システム停止時の訓練では、手順を知っているだけでは不十分です。実際に復旧作業を行い、復旧時間、担当者不在時の代替体制、権限やパスワード管理の不備まで確認します。
なお、地震や避難を想定した訓練シナリオを詳しく作成したい場合は、「【企業の防災担当者必見】避難訓練シナリオの作り方|効果を高める5ステップと注意点」の記事もあわせてご覧ください。
BCP訓練の具体例
BCP訓練は、目的によって内容が変わります。災害時の状況をイメージする訓練、BCPの矛盾を洗い出す訓練、安否確認やシステム復旧などの初動訓練、拠点立ち上げや部署連携を確認する総合訓練などがあります。
他社事例を参考にしながら、自社ではどのような訓練が必要かを整理しましょう。
災害を自分ごと化する訓練
BCP訓練では、まず従業員に災害時の状況を具体的にイメージしてもらうことが大切です。災害時に何が起こり、自分はどう行動すべきかを考えることで、防災意識やBCPへの理解を深められます。
たとえば、イメージアップ教育訓練では、災害時に必要な対応を学び、BCPの発動条件を検討します。緊急時の状況判断の難しさを体感できる点が特徴です。
(参考:総務省「ICT部門における業務継続計画 訓練事例集」)
図上訓練(DIG)も有効です。地図や施設の図面を使い、定められたテーマとシナリオに沿って対応をシミュレーションします。
介護施設などを運営する医療法人社団 洛和会では、図上訓練を「簡単に」「短時間に」「楽しく」実施できるようにアレンジしたDIG訓練を行っています。自分以外の動きも把握できるため、現場全体での連携意識を高める訓練として活用されています。
(参考:内閣官房「383 介護施設が実施する災害図上訓練(DIG)」)
本格的な実働訓練に入る前に、従業員の意識をそろえる方法として取り入れやすい訓練です。
BCPの不備を洗い出す訓練
BCP訓練は、策定済みのBCPが実際に機能するかを確認し、計画の抜け漏れや矛盾を見つけるためにも行います。
代表的な方法が、ウォークスルー訓練です。災害発生時のシナリオに沿ってBCPを読み合わせ、行動手順や判断基準の矛盾を洗い出します。各担当者が自分の役割をたどることで、書類上では気づきにくい不備を特定できます。
総務省の事例集では、ウォークスルー訓練を通じて、既存BCPの行動手順に複数の抜け漏れが見つかった事例が紹介されています。ライフラインの被害状況によって実行できない行動が判明し、代替案を検討するきっかけになりました。
(参考:総務省「ICT部門における業務継続計画 訓練事例集」)
また、株式会社加藤建設では、南海トラフ巨大地震や大規模水害といった地域固有のリスクを想定し、全従業員、各支店、地元住民までを巻き込んだ訓練を実施しています。非常用電源の稼働試験や、衛星電話による応援要請のシミュレーションなど、災害時に使う機器の習熟にも重点を置いています。
(参考:国土交通省 中部地方整備局「建設会社における災害時の事業継続力認定 BCP訓練事例集」)
BCPの不備を洗い出す訓練では、マニュアルどおりに動けるかだけでなく、「その手順を本当に実行できるか」「代替手段はあるか」まで確認します。
安否確認・システム復旧など初動を固める訓練
発災直後の初動対応を固める訓練も重要です。災害時の混乱のなかで、BCPに定めた手順を迅速かつ正確に実行できるかを確認します。
代表例が安否確認訓練です。北海道で建設業を営む株式会社上田組では、社員や季節雇用の従業員を含む全従業員を対象に、安否確認訓練を月1回実施しています。多様な雇用形態のスタッフがいるからこそ、迅速に情報を確認できる体制づくりを重視しています。
同社では、トヨクモの『安否確認サービス2』を活用し、安否確認訓練の回答率が75%〜90%に向上しています。ITに不慣れな従業員でも扱いやすい仕組みにより、全社の防災意識向上にもつながっています。
(参考:トヨクモ安否確認サービス2導入事例「安否確認訓練の回答率が50%→90%に!全社における防災意識向上を実感」)
情報システムのリストア訓練も、初動対応を固めるうえで有効です。情報システム部門が中心となり、システムの被害状況確認やデータ復旧手順を訓練します。総務省の事例集では、リストア手順の訓練によって従業員の理解が深まり、訓練結果を踏まえて計画を改善できたとされています。
(参考:総務省「ICT部門における業務継続計画 訓練事例集」)
安否確認やシステム復旧の訓練は、災害発生直後に必要な行動を定着させるための訓練です。実際のシステムや機器を使い、繰り返し実施することで、BCPの実効性を高められます。
拠点立ち上げ・部署連携を確認する総合訓練
BCP訓練に慣れてきたら、部署や拠点を横断して組織全体の対応力を確認する総合訓練も検討します。
総合訓練では、発災直後の初動対応、被害状況の集約、対策本部の意思決定、代替拠点の立ち上げ、重要業務の再開までを一連の流れで確認します。部分的な訓練では見えにくい、情報共有の遅れや指示系統の混乱を把握できます。
たとえば、鹿島建設では、関東支店が使用不可になったと想定し、茨城県に代替本部を立ち上げる訓練を実施しています。普段使っている拠点が使えなくなった場合に、別の場所で事業継続を目指すための訓練です。
(参考:鹿島建設株式会社「首都直下地震を想定したBCP訓練を実施」)
静岡県の株式会社グロージオでは、大地震や台風、水害などを想定した情報伝達訓練を行っています。全社員や地域住民を対象に、被害や避難状況を正確かつ迅速に伝えることを目的とし、仮設トイレの設営や非常参集訓練なども並行して実施しています。
(参考:国土交通省 中部地方整備局「建設会社における災害時の事業継続力認定 BCP訓練事例集」)
総合訓練では、組織として「事業を中断させない」ための対応力を確認します。習熟度が上がってきたら、就業時間外や休日など、条件を変えて実施することも有効です。
業種別|BCP訓練の実施例
BCP訓練で確認すべき内容は、業種によって異なります。安否確認や避難、情報共有は共通しますが、介護・福祉施設では利用者の安全確保、製造業では設備停止や生産復旧、建設業では現場作業員との連絡、オフィス企業やIT企業ではシステム復旧やリモート環境での業務継続が主な論点になります。
自社の業務内容と守るべき対象に合わせて、必要な訓練を組み合わせましょう。
介護・福祉施設のBCP訓練
介護・福祉施設では、職員だけでなく、利用者の安全確保を前提に訓練を行います。
地震や水害を想定する場合は、職員の安否確認に加えて、利用者の安否、負傷者の有無、避難誘導、家族への連絡、備蓄品、事業継続に必要な職員配置を確認します。
介護事業者では、感染症と自然災害のそれぞれに対応したBCPの策定、研修、訓練が求められています。避難訓練だけでなく、感染症発生時のゾーニング、職員の出勤可否、利用者対応、衛生用品の確保も訓練対象になります。
介護・福祉施設では、「利用者を守る対応」と「事業を継続する体制」の両方を確認します。
製造業のBCP訓練
製造業では、従業員の安全確保に加えて、工場、設備、原材料、サプライチェーンへの影響を確認します。
地震発生時には、従業員の安否、避難経路、火災や二次災害の有無、設備の損傷状況、重要部品や原材料の在庫、生産再開の優先順位を確認します。停電や設備故障を想定する場合は、非常用電源の稼働、重要設備の停止手順、復旧までの時間も確認対象です。
取引先や仕入先が被災した場合に、代替調達が可能か、どの製品から優先的に生産を再開するかも整理しておく必要があります。
製造業では、「安全確認」「設備確認」「生産復旧」「取引先対応」を一連の流れで確認できるシナリオが有効です。
建設業のBCP訓練
建設業では、本社や支店だけでなく、各現場の作業員や協力会社との連絡体制を確認します。
災害時には、現場作業員の安否、現場の被災状況、重機や資材の安全確認、発注者や協力会社への連絡、道路や周辺地域の被害状況を把握する必要があります。休日や夜間の発災を想定し、必要な要員が指定場所へ集まれるかを確認する参集訓練も有効です。
地域の復旧対応に関わる場合は、行政や地元住民との情報共有、応援要請、非常用通信手段の確認も訓練に含めます。
建設業では、現場ごとの安否・被害・稼働可否をどの順番で集約し、限られた人員でどの対応を優先するかまで確認します。
オフィス企業・IT企業のBCP訓練
オフィス企業やIT企業では、従業員の安否確認に加えて、システム、データ、リモートワーク環境を含めた業務継続を確認します。
地震や台風で出社できない状況を想定し、安否確認、在宅勤務への切り替え、社内チャットやWeb会議の利用、顧客対応の継続可否を確認します。システム依存度が高い企業では、サーバー停止、ネットワーク障害、データ復旧、バックアップからのリストア手順も訓練対象です。
特定の担当者しか復旧手順を知らない状態では、緊急時に対応が止まります。復旧に必要な権限、パスワード、手順書、連絡先が共有されているかも確認しておきます。
オフィス企業・IT企業では、「従業員と連絡が取れるか」「出社できなくても業務を続けられるか」「システム停止時に復旧できるか」を中心に確認します。
BCP訓練を形骸化させないためのポイント
BCP訓練は、実施するだけでは意味がありません。毎年同じ内容をなぞる、振り返りを行わない、見つかった課題をBCPに反映しない。この状態では、訓練そのものが形骸化します。
目的を絞り、自社のリスクに合わせて訓練を組み合わせ、年間スケジュールに組み込む。さらに、訓練後の課題をBCPやマニュアルへ反映し、計画を更新し続けることが重要です。
目的を絞って実施する
まず、「今回の訓練で何を確認するのか」を明確にします。
目的が曖昧だと、参加者は何を意識して動けばよいのか分からず、訓練後の評価もぼやけます。安否確認の回答率を確認するのか、災害対策本部の立ち上げを確認するのか、システム復旧手順を確認するのかによって、訓練内容や参加者、評価項目は変わります。
最初から多くの項目を詰め込む必要はありません。BCP策定直後であれば、計画の周知や役割分担の確認に絞り、机上訓練から始めます。
自社のリスクに合わせて訓練を組み合わせる
決まった型をそのまま実施するのではなく、業種、拠点、従業員数、働き方、使用しているシステムに合わせて、必要な訓練を組み合わせます。
リモートワークや分散拠点が多い企業であれば、安否確認訓練に加えて、チャットツールやWeb会議を使った情報共有訓練、リモート環境での業務継続訓練が必要です。重要なサーバーやデータを扱う企業であれば、データ復旧訓練やシステム停止時の代替業務確認が欠かせません。
工場や店舗など現場を持つ企業では、避難・消防訓練、救急救命訓練、現場リーダーによる図上訓練などを組み合わせます。自社のリスクに合わせることで、マニュアル上の知識を現場で使える対応力に変えられます。
年間スケジュールに組み込む
一度実施して終わりにしないため、年間スケジュールに組み込んでおきます。組織体制、使用ツール、拠点、取引先、従業員の状況は変化するため、定期的な訓練でBCPが現在の実態に合っているかを確認します。
たとえば、新入社員の入社や組織変更のタイミングで机上訓練を行い、防災の日や防災週間に合わせて避難訓練や安否確認訓練を実施する方法があります。
ただし、毎年同じ内容では参加者の意識が下がります。「今年は安否確認の回答率を確認する」「次回は休日・夜間の発災を想定する」「今回は代替拠点への移動を確認する」など、目的や条件を少しずつ変えます。
年間計画に組み込めば、単発のイベントではなく、組織として継続的に取り組む活動になります。
訓練後の振り返りをBCPに反映する
実施後は、必ず振り返りを行い、見つかった課題をBCPやマニュアルに反映します。
訓練は、予定どおりに終えるためではなく、どこで迷ったのか、どの連絡が遅れたのか、どの手順が現場に合っていなかったのかを見つけるために行います。
安否確認訓練であれば、回答率、回答までの時間、未回答者への再連絡、管理者側の集計作業を確認します。システム復旧訓練であれば、復旧時間、必要な権限や手順書の有無、担当者不在時の代替体制を確認します。
課題が見つかったら、「誰が」「いつまでに」「何を修正するのか」まで決めます。振り返りで終わらせず、BCPやマニュアルを更新し、次回の訓練で再度確認することで、計画の実効性を高めます。
BCP訓練に関するよくある質問
BCP訓練の回数、費用、外注の可否、最初に取り組む訓練について、実務で迷いやすいポイントを整理します。
BCP訓練は年に何回実施すべきですか?
法的に回数が定められていない業種では、明確な決まりはありません。ただし、組織体制や使用ツール、従業員の状況は変化するため、少なくとも年1回は実施したいところです。
介護事業者については、2024年4月からBCPの策定に加え、研修や訓練の実施が義務化されています。サービス種別によって必要な回数が異なるため、自社が該当する制度上の要件を確認し、計画的に実施します。
安否確認訓練、避難訓練、机上訓練、システム復旧訓練などを年間計画に組み込み、定期的に実施内容を見直します。
BCP訓練に費用はかかりますか?
自社で企画・実施する場合、資料の印刷代や備品代などを除けば、大きな費用をかけずに実施できます。
既存のBCPやマニュアルを使った机上訓練、社内の連絡網を使った安否確認訓練、避難経路の確認などは、自社内でも始めやすい訓練です。
ただし、安否確認システム、防災備品、非常用通信手段、外部講師やコンサルタントを活用する場合は費用が発生します。費用の有無だけで判断せず、何を確認したいのか、どこまで実効性を高めたいのかを整理して検討します。
BCP訓練は外注できますか?
BCP訓練は外注できます。ワークショップ型の訓練、シナリオ作成、当日の進行、実施後の評価などを、外部のコンサルティング会社や専門機関に依頼する方法があります。
外部の専門家を活用すると、自社だけでは気づきにくい計画の抜け漏れや実行上の課題を指摘してもらえます。他社事例や業界特有のリスクを踏まえた訓練を設計しやすい点もメリットです。
一方で、すべてを外注任せにすると、社内にノウハウが残りにくくなります。まずは外部の力を借りて訓練を体験し、その後は自社で継続できる仕組みを整えるとよいでしょう。
BCP訓練で最初に行うなら何がよいですか?
最初に行うなら、机上訓練または安否確認訓練が始めやすいです。
BCP策定直後であれば、まず机上訓練で内容、役割分担、判断基準を確認します。災害時の初動対応を確認したい場合は、安否確認訓練から始めます。従業員の安否を把握できなければ、救護、出社判断、事業継続の判断に進めないためです。
まずは負荷の小さい訓練から始め、課題を見つけながら実地訓練や総合訓練へ広げます。
BCP訓練を始めるなら安否確認訓練から取り組む
何から始めるべきか迷う場合は、安否確認訓練から着手します。
災害時に、従業員が無事なのか、どこにいるのか、出社や業務対応が可能なのかを把握できなければ、救護、復旧、事業継続の判断に進めません。安否確認は、BCPにおける初動対応の土台です。
安否確認訓練は、全従業員を対象にしやすく、短時間で実施できます。机上訓練と並行して行えば、BCPの内容を社内に浸透させながら、実際の連絡体制や回答状況も検証できます。
安否確認訓練は全従業員を巻き込みやすい
総合訓練やデータ復旧訓練は、対策本部や情報システム部門など、特定の担当者が中心になる場合があります。一方、安否確認訓練は、従業員一人ひとりが「自分の安否を回答する」形で参加できます。
防災やBCPへの関心が薄い従業員でも、通知を受け取り、回答するだけで訓練に参加できます。組織全体にBCPへの意識を広げる最初の訓練として取り入れやすい方法です。
繰り返し実施すれば、従業員は災害時にどの連絡手段で通知が届き、どう回答すればよいかを把握できます。平常時から流れを確認しておくことで、緊急時の迷いを減らせます。
回答率・集計時間・連絡手段の課題を確認できる
安否確認訓練では、従業員の安否だけでなく、連絡体制そのものが機能するかを検証できます。
確認する主な項目は、通知が届いているか、どの程度の時間で回答が集まるか、未回答者へどう再連絡するか、管理者が回答状況を正しく集計できるかです。
訓練では、次のような課題が見つかることがあります。
- 連絡先が古く、通知が届かない従業員がいる
- 回答方法を理解していない従業員がいる
- 回答率が想定より低い
- 未回答者への再連絡手順が決まっていない
- 管理者側の集計に時間がかかる
- メール、電話、チャットなど複数の連絡手段の使い分けが曖昧になっている
こうした課題は、実際に訓練しなければ表面化しません。回答率、集計時間、連絡手段の課題を洗い出し、BCPや連絡体制の改善につなげます。
安否確認の方法や運用時のポイントを詳しく確認したい場合は、「BCP策定に重要な従業員の安否確認方法とは?具体例を解説」もあわせてご覧ください。
安否確認サービスを使うと訓練と改善を継続しやすい
安否確認訓練を継続するには、通知、回答、集計、未回答者への再連絡を効率的に行える仕組みが必要です。
電話やメール、表計算ソフトでも安否確認は可能です。ただし、従業員数が多い場合や拠点が分散している場合、担当者の負担が大きくなります。回答状況の集計に時間がかかり、未回答者への再連絡が漏れる恐れもあります。
安否確認サービスを使えば、通知送信、回答状況の集計、未回答者の確認を効率化できます。訓練後は、回答率や回答時間をもとに、連絡先の更新、回答方法の周知、再連絡手順の見直しを進められます。
安否確認訓練を定期的に行い、見つかった課題を改善し続けることで、災害時に機能する初動対応の体制を整えられます。
BCP訓練を始めるならトヨクモ『安否確認サービス2』をご活用ください
BCP訓練の第一歩として安否確認訓練を行うなら、災害時にも安定して使える連絡手段を用意しておく必要があります。アクセスが集中したときに遅延や停止が起きると、従業員の安否確認や初動判断に支障が出るためです。
トヨクモの『安否確認サービス2』は、4,000社以上に導入されている安否確認システムです。気象庁情報と連動した安否確認メールの自動送信、世界各地に分散したデータセンターによるリスク対策などにより、大規模災害時の安否確認を支援します。
また、全国一斉訓練を継続的に実施し、災害時にも安定して稼働する体制を検証しています。SLA(サービス品質保証)でも品質を維持しており、現在まで保証基準を下回ったことはありません。
操作画面はシンプルで、ITに不慣れな従業員でも使いやすい設計です。『安否確認サービス2』は、ITreviewの安否確認システム部門で「満足度・使いやすさNo.1(※)」を獲得しており、サービス利用継続率も99.8%です。(※ITreviewカテゴリーレポート 2024 Summer 安否確認システム部門)
30日間の無料お試しでは、すべての機能を何度でも利用できます。まずは訓練時の通知、回答、集計、未回答者対応まで、実際の運用に近い形で操作性を確認してみてください。
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- 災害時遅延、停止0の実績
- 誰でも使えるシンプルな操作画面
- 初期費用0円、月額6,800円から
編集者:遠藤 香大(えんどう こうだい)
トヨクモ防災タイムズ 編集長 RMCA BCPアドバイザー トヨクモ株式会社で災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案や情報発信に携わる。トヨクモ防災タイムズではBCPや災害対策に関する記事の企画・執筆・編集を担当。専門家との連携や現場視点を取り入れながら、読者に寄り添う防災情報の発信を目指している。
執筆者:福岡 幸二(ふくおか こうじ)
BCP&BCMコンサルティング代表/元九州大学危機管理室 特任教授(博士) 神戸大学大学院海事科学研究科で博士号(海事科学)を取得。マンダリンオリエンタル東京、沖縄科学技術大学院大学、九州大学などで、地震・津波など自然災害や重大事故を含むBCM(事業継続マネジメント)を実装してきた実績を持つ。 2024年に起業しBCP&BCMコンサルティング代表として、大学や企業にカスタマイズされたBCM(事業継続マネジメント)およびSMS(安全管理システム)の構築を提供している。 国際海事機関(IMO)の分析官や事故調査官として国際的な活動も経験。著書に『Accident Prevention and Investigation: A Systematic Guide for Professionals, Educators, Researchers, and Students』(2025)、『Safer Seas: Systematic Accident Prevention』(2019年)があり、大学の実験室での事故防止策に関する論文をScientific Reports誌に発表するなど、現在国内外で活動し危機管理と安全管理を専門とする科学者兼実務家である。 プロフィール:https://bcp-bcmconsulting.com/about/