防災訓練とは?訓練を行う必要性や種類、事前に準備すべき内容も解説

遠藤 香大(えんどう こうだい)

防災訓練を定期的に行う目的は従業員の防災意識を高め、安全確保や最短での事業復旧につなげるためです。防災訓練にはさまざまな種類が存在するため、訓練ごとの内容や目的を事前に理解しておくことが重要です。
この記事では、防災訓練の種類や必要性、事前に準備すべき内容などに関して紹介します。災害対策やリスクマネジメントの強化に取り組んでいる方は、最後までご覧ください。

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目次
防災訓練とは
防災訓練とは災害時に落ち着いて行動できるよう、実際に災害が起きた場合を想定して行う訓練です。災害後の行動や避難経路、消防設備の使い方など、さまざまな内容を学びます。
内閣府の「令和元年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」によると、被災した際に「防災訓練が役立った」と回答した大企業の割合は42.1%でした。
また、大企業の61.9%が防災訓練の開始・見直しを検討しており、多くの企業が災害対策の重要性を把握していることがわかります。
企業が防災訓練を行う必要性
防災訓練は以下5つの目的のために実施します。
- 従業員の命を守るため
- 従業員の防災意識を高めるため
- 事業継続のため
- 顧客からの信頼を得るため
- 法令遵守のため
内容を一つひとつ見ていきましょう。
従業員の命を守るため
企業には従業員の命を守るよう、法的に義務づけられています。災害時に素早く冷静な行動を取るには、定期的な防災訓練の実施が必要です。
複数の防災訓練を実施しておくと、災害後の初動対応や応急措置の方法などを学べるため、災害時の対応力が高まります。
事前の防災訓練や研修が役に立った事例を紹介します。
2021年、JFEシステムズの従業員3名が駅構内で突然倒れた方に対して、迅速かつ適切な救護処置によって命を救いました。
3名の従業員は速やかに駅員と119番へ連絡したあと、AEDの準備や気道確保、脈の確認などを行いました。
JFEシステムズは全事業所にAEDを配置しており、講習会や社内報で使い方を周知しています。3名の従業員も救急対応の一連の流れを把握しており、瞬時に行動に移せました。
迅速な救急対応に対し、3名の従業員は東京消防庁から感謝状を授与されています。
従業員の防災意識を高めるため
従業員の防災意識を高めるため、定期的に防災訓練を実施します。事前に防災マップやハザードマップを確認していても、従業員の防災意識が高まらない限り、事前の想定通りに行動するのは難しいです。
実践を想定した防災訓練を繰り返し実施し、自然災害の恐怖や早期避難の重要性を学び、防災意識を高めます。
また、避難経路や避難所、初動対応の流れなどを確認しておくと、実際に災害が発生しても落ち着いた対応が望めるでしょう。
事業継続のため
防災訓練によって被災の影響を軽減し、事業を継続できる環境を整えておくためです。事業の中断期間が長引くほど、損失額が大きくなります。事業再開のめどが立たない場合や、長期間事業が中断する場合、顧客離れを招くおそれがあります。
また、事業継続には実務を担う従業員が一定数必要です。防災訓練で災害発生後の行動や避難経路、避難場所などを学習し、従業員の安全確保に努めます。
安否確認~事業再開までの流れを防災訓練で確認しておくと、災害発生後も最短での事業復旧が望めるでしょう。
また、災害規模やライフラインの被害状況によっては、事業所で従業員が一定期間過ごすケースも考えられます。水や非常食、簡易トイレなど、事業所での生活に必要な防災備蓄品を訓練で確認し、足りない物資は確保しておきましょう。
顧客からの信頼を得るため
顧客や取引先からの信頼を失わないよう、災害後に最短で事業再開が望める体制を整えておきます。災害発生後、顧客や取引先は自社の商品・サービスを継続的に購入できるかどうか、心配しています。
仮に事業再開のめどが立たない場合、別の調達先や類似商材を探さなければなりません。
定期的な防災訓練によって災害対策を強化しておくと、顧客や取引先に安心感を与えられます。被災しても継続的な取引が望めるでしょう。
法令遵守のため
企業には従業員の命を最優先で確保するよう、法的に義務づけられています。労働契約法第5条では、「安全配慮義務」として「労働者の安全への配慮」が法令で定められています。
以下が労働契約法に記載されている内容です。
(労働者の安全への配慮)第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
災害後に従業員に帰宅を許可する行為、防災備蓄品を用意していない行為などは、安全配慮義務に反する行為です。
上記がきっかけで従業員が負傷または死亡した場合、遺族から損害賠償を請求される可能性もあります。
防災訓練を計画する流れ
防災訓練の計画作成は以下の流れに沿って進めます。
- リスクアセスメントとニーズの特定
- 目的の明確化
- 訓練プログラムの設計
- 資源の確保
- コミュニケーション計画
- 訓練の実施
- 評価と改善
- ドキュメンテーション
プロセスごとの作業内容は以下の表のとおりです。
リスクアセスメントとニーズの特定 | 拠点を置く地域で発生頻度の高い災害を可視化 |
目的の明確化 | 防災訓練の具体的な目標を明確化 |
訓練プログラムの設計 | ・災害時の対応手順を決定・避難経路を決定・集合場所を決定 |
資源の確保 | ・防災訓練の場所を確保・資料の作成・必要な設備の確認 |
コミュニケーション計画 | 災害発生時の効果的なコミュニケーション手段を検討 |
訓練の実施 | 防災訓練を実施する日時を決定 |
評価と改善 | 訓練に関する従業員からのフィードバック収集と評価 |
ドキュメンテーション | 防災訓練の実施状況や評価を文書に反映 |
作業内容が多いため、計画的に準備を進めましょう。
主な防災訓練10選
防災訓練は主に以下の10種類があげられます。
- 通報訓練
- 避難訓練
- 初期消火訓練
- 応急手当訓練
- 救助訓練
- 防災図上訓練
- シェイクアウト訓練
- 帰宅困難対策訓練
- 水害対策訓練
- 安否確認訓練
訓練ごとに内容を見ていきましょう。
通報訓練
通報訓練とは火災が発生した際に素早く119番に通報し、救急や消防を要請する訓練です。訓練の際は火災現場の住所や火災の範囲、負傷者の数など、現場の状況を正確に伝えられるよう、意識しましょう。
早口だと相手が聞き取りにくいため、ゆっくり話す意識を持つことも重要です。また、企業内で災害発生時の連絡網や安否確認の方法を決めている場合、安否確認が完了するまでの流れも確認しておきます。
たとえば、安否確認システムで従業員の安否を確認するとしましょう。安否確認システムへのログインや安否確認メールの配信、回答結果の集計まで、一連の流れを確認します。
避難訓練
避難訓練とは、地震や津波などの発生を想定し、安全な場所まで素早く避難するための訓練です。避難訓練では災害ごとに異なる行動を実践する点が特徴です。
たとえば、地震の発生直後は机の下に隠れ、落下物による頭部の負傷を防ぎます。揺れが収まったら、ヘルメットや防災ずきんを着用して頭を保護しながら事業所の外へ出ます。
外部へ避難する際は窓ガラスの飛散も想定して、避難経路を選択しなければなりません。また、津波発生を想定した訓練では、できるだけ高い場所を目指して逃げるよう、従業員に指示をしておきます。
津波に限らず、自然災害は災害規模や発生頻度の予測が不可能です。人間の想定を超える被害をもたらすケースも珍しくありません。「ここまでくれば大丈夫」といったように被害規模を予測せず、安全を確保できる場所まで逃げ続けることが重要です。
避難訓練では災害の種類別に応じた行動を取るため、災害発生時に取るべき行動を決めておき、従業員に周知しましょう。
また、非常階段を利用した避難方法やAEDの設置場所などを確認しておくと、災害時に落ち着いて対応できる確率が高まります。
初期消火訓練
初期消火訓練とは、施設内にある消火設備の設置位置や使い方を学ぶ訓練です。周囲の建物への延焼を防ぐには、初期消火が重要です。たとえば、木造家屋の場合は出火してから天井に到達するまで、3分ほどといわれています。
店舗やオフィスビルは耐火性が強化されている建物が多いものの、3分以内に鎮火しないと、消火器の水が炎まで届かなくなる可能性が高まります。自社から出火して周囲の住宅やビルに延焼した場合、多額の損害賠償請求やイメージダウンは避けられないでしょう。
また、火災発生後に消防や救急を素早く要請しても、天井へ到達するまでに消防隊が鎮火できる可能性は低いです。総務省の「令和5年版 救急・救助の現況」では、救急車や消防車の現場到着所要時間は全国平均で約10.3 分でした。
出火現場の位置によっては、上記以上の時間がかかるケースも考えられます。火災による損失を避けるためにも、消火器の位置や使い方を把握しておき、素早く鎮火しましょう。
応急手当訓練
応急手当訓練は、応急手当の方法について学ぶ訓練です。心肺蘇生法やAEDの使い方、止血の方法などを学びます。
災害時は道路が渋滞・寸断されるケースも珍しくありません。災害規模や負傷者の数によっては救助を要請しても、すぐに救急車が到着しない可能性も考えられるでしょう。
応急手当の方法を把握している従業員が多ければ、救助の遅れによる不安を軽減できます。
救命講習は消防署で定期的に実施されています。座学のみの入門コースや実技を伴う講習会、出張講習など、さまざまな講習が用意されており、自社の課題に応じて選択が可能です。
防災図上訓練
実技による訓練が難しい場合には、座学によるグループワークやシミュレーション訓練で行動するイメージをつかみましょう。
災害の発生を想定して避難経路や危険個所、災害時に役立つ施設などを図上で確認する訓練、つまり図上訓練を実施することも効果的です。
グループでハザードマップなどの地図を囲み、想定される被害や対応方法を学ぶ「災害図上訓練DIG」は、座学でありながら実践的で行動がイメージしやすい訓練といえるでしょう。
(参考:総務省消防庁|災害図上訓練DIG)
トヨクモの「防災訓練マニュアル」では、防災訓練の目的・計画立案・訓練メニューなど、企業が防災訓練を実施する上での重要なポイントを詳しく解説しています。お役立てください。
シェイクアウト訓練
シェイクアウト訓練とは地震発生を想定し、自身を守るための行動を身につける訓練です。訓練では以下3つの安全行動を実践します。
3つの原則 | 具体的な行動内容 |
Drop (姿勢を低く) | ・地震が発生した場所から動かず、まずは姿勢を低く保つ |
Cover (頭を守る) | ・落下物で負傷しないよう、机やテーブルの下に隠れる・屋外で被災した場合はかばんや荷物を使って頭を守る |
Hold on(動かない) | ・揺れが収まるまで、低い姿勢を保って動かない |
大規模な地震が発生した際、素早く冷静に行動するには日頃からの訓練が必要です。シェイクアウト訓練で、地震発生後の基本的な安全行動を身につけ、負傷のリスクを減らします。
シェイクアウト訓練は地方自治体が定期的に開催しており、自治体主催の訓練へ参加するには事前登録が必要です。
ただし、シェイクアウト訓練は時間や場所を問わず開催できる訓練です。シナリオや開催日時を決めておけば、事業所内でも訓練が行えます。
帰宅困難対策訓練
帰宅困難対策訓練とは災害によって、道路や交通機関が機能不全に陥った場合を想定して行う訓練です。東京都千代田区は東京駅と連携し、2024年から2年続けて帰宅困難対策訓練を実施しています。
訓練は首都直下地震の発生を想定し、一斉帰宅の回避や帰宅困難者の支援を行うのが目的です。自治体や鉄道会社、周辺施設などが協力し、災害情報の共有や一時滞在施設の開設を実施しました。
また、情報発信システム「キタコンDX」の稼働状況や外国人観光客への対応を確認する目的もありました。
帰宅困難対策訓練は、職場から自宅へ徒歩で帰宅する訓練や事業場で数日間過ごす訓練など、訓練のシナリオや目的によって内容を使い分けます。
徒歩訓練では職場から自宅への距離や移動時間、経路などを確認します。
一方、事業場で一定期間過ごす場合の訓練では、備品の転倒防止対策や避難経路、電波が入りやすい場所など、さまざまな点を確認しましょう。
飲料水や食料品などが十分確保できているか、備蓄品の確認も重要です。賞味期限が間近に迫っている場合は消費し、新たなものを購入しましょう。
水害対策訓練
近年は豪雨や津波による被害が増えており、水害対策の重要性が増しています。訓練では水害リスクの高さに応じた避難行動を学びます。
たとえば、3m以上の浸水リスクが発生する地域の場合、事業所や施設の外に出て素早く高い場所へ避難しなければなりません。建物のなかにとどまっていた場合、浸水によって建物が倒壊する可能性があります。
また、浸水リスクが3m未満の場合は、建物の上層階に避難して状況を見極めます。実践を想定した訓練を行うため、自社が拠点を置く地域の浸水や河川の氾濫リスクに関して、事前にハザードマップで確認しておきましょう。
水害の発生頻度が高い場合は、土のうや止水板、防水シャッターなどを導入するのも有効です。
安否確認訓練
安否確認訓練とは、自然災害や火災などが発生した際、従業員が無事かどうかを確認するための訓練です。事前に安否確認システムを導入しておき、安否確認メールの送信〜回答結果の集計まで、一連の流れを実践します。
訓練では、安否確認メールやアプリへのプッシュ通知が従業員に届いているか、確認します。仮に届いていない場合、安否確認システムに登録してある連絡先の変更が必要です。
安否確認訓練は、避難所への移動や消防設備を新たに用意する必要がないため、比較的実施しやすい訓練といえます。
防災訓練の実施前に準備すべき内容
防災訓練を行う前に以下5点を準備しておきましょう。
- 防災マップとハザードマップを確認する
- BCPを策定する
- 具体的な災害状況(シナリオ)を設定する
- 防災備蓄品を管理する
- 複数の連絡手段を確保する
上記の内容を実践すると、防災訓練の有効性向上や災害対策の強化につながります。
防災マップとハザードマップを確認する
防災マップとは、災害発生時の避難経路や避難所、消防署など、避難時に役立つ情報が掲載されている地図です。地図によっては火災報知器や消火設備の位置、救命用具の設置場所なども示されており、迅速な初動対応につなげられます。
一方、ハザードマップとは地理的な特徴や気象傾向、過去の災害事例などから、拠点を置く地域の災害リスクを可視化する地図です。
地震や洪水、土砂崩れなど、災害の種類別にハザードマップは作成されており、発生頻度の高い災害や危険度の高い地域を把握できます。
防災マップとハザードマップの確認によって、従業員の防災意識向上や被害の軽減につなげられます。
防災訓練のマニュアルの作成手順
防災訓練のマニュアルは以下の流れで作成を進めます。
- 訓練の目的を明確化する
- 役割を明確化する
- 計画・マニュアルのどの部分に相当するかを明確化する
- 事前に準備するものを明確化する
プロセスごとの作業内容は以下のとおりです。
各作業過程 | 決めておくべき主な内容 |
訓練の目的を明確化する | 訓練での学習目標や達成目標を設定 |
役割を明確化する | 避難誘導や救護対応など、従業員の役割を明確化 |
計画・マニュアルのどの部分に相当するかを明確化する | ・災害対応マニュアルやBCPのどの部分に該当するか、従業員へ周知・重要業務の優先順位付け |
事前に準備するものを明確化する | ・訓練運営の役割分担・訓練の目標・訓練のシナリオ・ハザードマップ・緊急連絡網・安否確認システム・防災備蓄品 |
また、一般的な防災訓練のマニュアル例の項目を以下で紹介します。
0段階目 | 訓練開始 |
1段階目 | 命を守るための行動訓練 |
2段階目 | 避難・避難誘導訓練 |
3段階目 | 救急・救命訓練 |
4段階目 | 救助・救出訓練 |
5段階目 | 搬送訓練 |
6段階目 | 災害対策本部立ち上げ・運営訓練 |
7段階目 | 情報伝達・安否確認訓練 |
8段階目 | 被害箇所確認訓練 |
9段階目 | 防災資機材の使用訓練 |
10段階目 | 宿泊等を想定した訓練 |
11段階目 | リモートワークなどを想定した訓練 |
12段階目 | 事業復旧・継続に向けての訓練 |
13段階目 | 防災意識向上に向けての研修 |
14段階目 | 訓練の振り返りや評価、課題の抽出 |
BCPを策定する
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、緊急時の被害を最小限に抑え、最短での事業復旧を実現するための計画です。2024年から介護事業所にはBCPの策定が義務づけられたものの、一般企業にはまだ策定義務が課せられていません。
BCPには初動対応の流れや重要業務の優先順位、事業所の安全対策など、さまざまな内容を記載します。連携先や必要な処置などが異なるため、自然災害と感染症用のBCPを別々に策定しておくと、従業員の混乱や不安を軽減できるでしょう。
また、BCPの策定によって、「リスクへの備えが万全な企業」との印象を与えられ、顧客や取引先からの信頼も高まります。
具体的な災害状況(シナリオ)を設定する
訓練を実施する際には、具体的な災害状況(シナリオ)を設定しましょう。具体的な災害状況を想定できれば、訓練にもリアリティが生まれます。
災害発生の日時や場所、発生規模、被害想定、ライフラインや交通機関への影響等を事前に告知することにより、社員のわがこと意識も高まるでしょう。
また、事前に告知をすると、訓練前に身構えたり模範解答を作ってきてしまうので、訓練の日時だけを知らせて、訓練開始後に災害状況を伝えたりする「抜き打ち訓練」もよく行われています。
過去にあった対応事例などを参考にして盛り込むとさらにリアリティが生まれます。なお、訓練を行う時には、マニュアルに沿って行動し、マニュアルの効果を検証し、見直すべきものは加筆・修正をしましょう。
防災備蓄品を管理する
道路や交通状況によっては従業員が帰宅できず、事業所に留まるケースも考えられます。周囲の状況がわからない状況で、従業員に帰宅を許可する判断は危険です。帰宅途中で二次災害に遭うリスクが生じるだけでなく、安全配慮義務に違反する行為です。
事業所内で一定期間過ごすには、主に以下の防災備蓄品を事前に確保しておく必要があります。
- 飲料水
- 生活用水
- 非常食
- 毛布
- 保温シート
- 乾電池や非常用電源
- 懐中電灯
- 携帯ラジオ
- 衛生用品
- 救急医療薬品類
- 簡易トイレ
飲料水と生活用水は用途が異なるため、別々に確保が必要です。飲料水は水分補給と調理用に使用し、1人あたり1日3Lの水が必要といわれています。ライフラインの復旧までに必要な時間を考えると、最低3日分の飲料水が必要です。
一方、生活用水はトイレや手洗い用などに使用する水です。飲料水よりも使用量が多く、1人あたり1日10〜20Lの生活用水が必要といわれています。こちらも飲料水と同様、最低でも3日分は確保しておきましょう。
また、非常食は缶詰やチョコレート、防災用ゼリーなど、水を使用せずに食べられるものを優先して確保しましょう。拠点を置く地域によっては、水の安定確保が難しいケースも考えられます。
そして、マスクやアルコール消毒液、除菌シートなども用意しておくと、感染症の発生リスクを軽減できます。
複数の連絡手段を確保する
自然災害が発生した際、すぐに従業員の安否を確認できるよう、複数の連絡手段を確保しておく必要があります。災害発生後はメールや電話は利用できない可能性が高く、別の連絡手段を用意しておかなければなりません。
大規模災害が発生すると、多くの方がメールや電話を使って家族の安否を確認するため、通常と比べてトラフィック量が増大します。
トラフィック量とは、電話回線やネットワーク回線で交わされるデータ量です。東日本大震災の際は、通常の50~60倍のトラフィック量が発生しました。
トラフィック量が回線容量を大幅に超えると、重要なデータの通信やネットワーク環境を維持するため、大手キャリアは音声通話を規制します。東日本大震災の際、ドコモ・au・ソフトバンクの音声通信は、最低70%以上が規制されていました。
一方、メールのパケット通信は通信規制が設けられなかったため、電話よりも利用しやすい状況でした。ただし、データ処理の量がサーバーのスペックを大幅に超えており、不具合が頻繁に発生しています。
上記の理由からIP無線機やIP電話、安否確認システムなど、メールや電話以外の連絡手段を確保しておく必要があります。緊急時の連絡手段には、安否確認システムを選ぶのがおすすめです。
専用アプリやLINEなど、複数の連絡手段に対応したシステムが多く、安否確認を素早く終えられる確率が高まります。また、強固な災害対策を講じているベンダーが多く、災害時の安定稼働が望めます。
安否確認システムとは
安否確認システムとは、緊急事態が起きた際に従業員の安否を素早く確認できるシステムです。LINEや専用アプリなど、複数の連絡手段に対応したシステムが多く、災害時に従業員と連絡が取れる確率が高まります。
また、気象庁と連携したシステムが多く、一定規模以上の災害が発生すると、安否確認のメールと災害情報が登録した連絡先に自動で送信される仕組みです。
安否確認のメール送信〜回答結果の集計まで、一連の作業は自動化されており、管理者が手作業で作業を進める必要はありません。
さらに、掲示板やメッセージ機能を実装したシステムを導入すると、今後の流れを従業員とスムーズに共有できます。
安否確認システムはトヨクモの「安否確認サービス2」がおすすめ
トヨクモの提供する『安否確認サービス2』は稼働率99.8%、導入実績4,000社以上を誇る安否確認システムです。システムへの安定性に関して高く評価されています。
毎年防災の日に契約企業すべてを対象に全国一斉訓練を実施しています。全国一斉訓練とは、実際の災害時と同等の負荷をシステムに与え、安定して稼働するかを確認するための訓練です。
訓練結果が、トヨクモの採用するサービス品質保証制度の基準を下回ったことはありません。『安否確認サービス2』のサーバーはアクセスが急激に増えた場合、自動で拡張するため、アクセス過多による通信障害の発生を避けられます。
また、全国一斉訓練は開始日と時間帯しか公開されません。本番に近い形で訓練を行えるだけでなく、訓練終了後は訓練結果をまとめたレポートが送付されます。従業員の防災意識を高める場としても活用できるでしょう。
災害対策の強化に取り組んでいる企業は、『安否確認サービス2』の導入をご検討ください。
初期費用・解約費用(税込) | 0円 |
月額費用(税込) | ・ライト:7,480円・プレミア:9,680円・ファミリー:11,880円・エンタープライズ:16,280円 |
最低利用期間 | なし |
主な機能 | ・自動一斉送信・回答結果の自動集計・家族の安否確認・掲示板・メッセージ・外部システム連携 |
無料トライアル | あり(30日間) |
防災訓練の種類と必要性を把握して災害対策を強化しよう
防災訓練の目的は従業員の安全確保や事業継続、法令遵守など、さまざまです。自然災害や火災などが起きても、スムーズに従業員ができるよう、日頃からの訓練を重ねておくことが重要です。
事前にBCPの策定やハザードマップの確認などをしておくと、訓練の有効性が高まるでしょう。また、災害対策の強化には、防災備蓄品の管理や複数の連絡手段確保など、防災訓練以外の内容も実施する必要があります。
緊急時の連絡手段には、安否確認システムの活用がおすすめです。トヨクモの提供する『安否確認サービス2』はメールや専用アプリ、LINEなど、複数の連絡手段に対応しており、緊急時に従業員と連絡が取れる確率が高まります。
また、メインサーバーをシンガポールで運用しており、国内で大規模災害が起きても影響を受けるリスクが低いです。シンガポールは電力供給も比較的安定しており、停電の心配も少ないです。
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防災訓練に関するよくある質問
ユーザーから多く寄せられた質問の内容と回答は以下のとおりです。
防災訓練の実施は義務ですか?
消防法第36条では、年に1回以上の防災訓練を義務づけています。ホテルや飲食店、病院など、「特定防火対象物」に該当する場合は、年2回以上の防災訓練実施が必要です。
消防計画の作成や防災訓練を怠った場合は法令違反に該当し、100万円以下の罰金または1年以上の懲役が科される可能性があります。
災害時にインターネット回線はつながりますか?
インターネット回線は電話回線よりもつながりやすいです。東日本大震災の際も、津波被害が極端に大きかった地域を除き、インターネット回線は機能していました。当時はXやLINEを使っての情報発信が活発で、津波情報や避難の呼びかけが投稿されていました。
また、近年は停電対策の強化が大手キャリアを中心に進められています。東日本大震災後の調査で、津波被害の中心地域では停電が原因で、通信サービスを利用できなかったことがわかったためです。
安定して通信サービスを提供できるよう、大手キャリアは予備電源の長時間対応化や大ゾーン基地局の整備に取り組んできました。
さらに、インターネット回線を利用できない場合に備え、『00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)』と呼ばれるサービスが開発されました。00000JAPANは災害時に、契約の有無を問わず利用可能な無線LANサービスです。
パスワードやメールアドレスの登録など、認証不要で無料のWi-Fiスポットを利用できます。