緊急地震速報で誤報が起こるのはなぜ?正確性や企業にもたらす問題を解説

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遠藤 香大(えんどう こうだい)

地震発生時に、どれだけ迅速に従業員の安否を確認し、緊急対応要員を確保できるかどうかは、そのあとの事業復旧の速度に大きく影響します。だからこそ、緊急地震速報が発表された際には、素早い行動が求められます。しかし、急地震速報のなかには誤報も含まれており、常に100%正確とは限りません

この記事では、緊急地震速報で誤報が起こる理由や緊急地震速報の正確性について解説します。誤報が企業にもたらす問題についても紹介するため、経営者や役員ほか防災の担当者の方はぜひ参考にしてください。

緊急地震速報が誤報だった事例

緊急地震速報は大きな揺れが発生する直前に警告をするシステムですが、ときには誤報である場合もあります。以下に、その事例を紹介します。

2020年7月30日、気象庁は千葉県の房総半島南方沖を震源とするマグニチュード7.2の地震が発生したとして、関東甲信地方などに緊急地震速報を発表しました。しかし、実際には震度1以上の揺れは観測されません。

この誤報は、システムが震源の位置を間違えて設定したことが原因で起こったものです。伊豆諸島の鳥島近海で発生したマグニチュード5.8の地震の震源地を、震源地から約450キロ離れた位置に設定し、地震の規模を過大に見積もってしまったのです。

緊急地震速報の誤報は、この事例以外にも国内で複数回発生しています。

(参考:令和2年7月30 日9時38分に発表した緊急地震速報(警報)について

緊急地震速報の誤報が起こる理由

緊急地震速報は、地震発生直後の限られた観測データをもとに、震源や規模、各地の震度を瞬時に予測し通知するシステムです。より素早く警戒を呼びかけるため、わずかな情報から短時間で自動計算を行います。

そのシステム上の性質から、震度の予測に±1階級程度の誤差が生じることがあります。予想誤差が大きくなりすぎると、緊急地震速報の発表基準に達せず、正しい速報が出せなくなりますます。

このよう緊急地震速報は、迅速性を重視するがゆえの技術的限界を抱えており、ときに誤報が起こってしまうのです。

緊急地震速報の正確性

令和5年4月に緊急地震速報評価・改善検討会 利活用検討作業部会が公表した「緊急地震速報評価・改善検討会 利活用検討作業部会(報告書)」によると、緊急地震速報の正確性は約80%です。

▲出典:緊急地震速報評価・改善検討会 利活用検討作業部会(報告書)

つまり、5回に1回は誤報が発生するという計算であり、緊急地震速報は絶対ではありません。

緊急地震速報の誤報が企業にもたらす問題

企業にとって、緊急地震速報は従業員の安全確保や施設の被害軽減に欠かせない重要な情報です。緊急地震速報によって、従業員は身の安全を確保するための行動を取ることができます。

しかし、緊急地震速報の精度は100%ではなく、誤報が発生することもあります。誤報が発生した場合、最も懸念すべき点は、従業員が緊急地震速報を軽視するようになってしまうことでしょう。誤報を経験した従業員は「またか」と思ってしまい、次の緊急地震速報が発表された際に、適切な行動を取らなくなる可能性があります。このような油断があると、実際に災害が起こった際に迅速な対応ができなくなります。

 

緊急地震速報の誤報による気の緩みを防ぐには

災害が発生した際には、1分1秒の判断の遅れが命取りとなります。緊急地震速報を誤報だと疑い無視することは、絶対に避けなければなりません。

たとえば、デスクで業務を行っている際に緊急地震速報が通知されたとしましょう。その際、誤報だと疑ってそのまま業務を続けてしまうと、地震発生時に倒れてきたものに挟まれたり、上から落ちてきたものに頭をぶつけたりする恐れがあります。そのため、緊急地震速報が通知されたら、安全な机の下に避難するなど、身を守る行動を取ることが重要です。

これらのことから、従業員には緊急地震速報が発生した際には、誤報かどうかに関わらず迅速に適切な行動を取るように指示しておきましょう。

地震に備えて企業ができること

ここでは、地震に備えて企業ができることを3つ紹介します。

オフィス家具や什器を固定する

オフィス家具や什器は、災害発生時は凶器にもなりえます。従業員のほうに倒れたり、落下したりすると、大怪我につながる可能性があります。そのため、あらかじめオフィス家具や什器は揺れても転倒・落下しないように、しっかりと固定しておきましょう。

東京都防災ホームページでは、オフィス家具類を固定する際のポイントとして、以下のものが紹介されています。

金具で床、壁下地の鉄骨、コンクリート等とボルトで固定する方式が最も効果的な方法である。上下二段式の家具は上下を連結しないと、上段が落下する危険があるので上下連結する。家具を左右又は後ろ側の家具等と相互に連結しておくと、より効果がある。扉の開放防止対策や引き出しの飛び出し防止対策のため、ラッチ付やセーフティロック付きの家具を選び、故障したら修理する。家具類の扉や引き出しは開けたままにせず、使用頻度の低いところは施錠する。ガラスには飛散防止フィルムを貼る。避難経路をふさがない位置に家具類を配置する。重い収納物を下に入れ、重心を下げる。家具の上に物を置かない。時計、額縁、掲示板等は落下しないように固定する。

(引用:東京都防災ホームページ「オフィス家具類転倒防止対策」

避難経路を確認する

地震発生時に迅速かつ安全に避難するためには、日頃から避難経路を確認しておくことが重要です。机上の確認だけではなく、実際に避難経路を歩いて点検することが欠かせません。

その際、建物内の廊下や階段の踊り場などの避難通路が荷物で塞がれていないか、緊急時に支障なく通行できるかを入念にチェックしましょう。また、屋外に出た後も、ブロック塀の倒壊や看板の落下など、避難の障害となり得る危険箇所がないかを事前に把握しておく必要があります。

安否確認システムを導入する

災害発生時には、従業員が同じオフィスに集まっているとは限りません。そのため、従業員の安否をスムーズに確認するために、安否確認システムを導入しておくことがおすすめです。

安否確認システムとは、災害時に従業員の安否状況を迅速に確認できるサービスです。非常時には、システムが自動的に従業員に安否確認メッセージを送信し、従業員からの回答を自動で集計します。

これにより、人事部門などの担当者は、従業員の安否状況を短時間で把握できるようになります。さらに、従業員の家族の安否も確認できるサービスを選ぶと、従業員とその家族の安心感にもつながるでしょう。

地震に備えて企業ができることについては、以下の記事でより詳しく解説しています。

地震発生後の迅速な安否確認は事業継続において重要

緊急地震速報が発表されたら、避難行動を取り、従業員の安否確認に動く必要があります。しかし、企業がすべきことはそれだけではありません。事業継続のためには、緊急対応が可能な従業員を把握し、適切な指示を出す必要があります。次のアクションにいかに早く移れるかが、事業継続の鍵を握っているのです。

緊急地震速報が誤報だと疑って行動が遅れてしまうと、事業復旧が遅れてしまい、事業継続は困難になります。緊急地震速報が発表された際には、誤報の可能性を考えるのではなく、素早く従業員の安否確認を実施し、事業復旧にあたれるような対応をしましょう。

「安否確認サービス2」なら誤報による送信ミスを防止できる

▲出典:安否確認サービス2

トヨクモの『安否確認サービス2は、4,000社以上の企業や団体での導入実績がある安否確認システムです。初期費用は0円で、最低利用期間もないことから、気軽に利用を開始できます。

この安否確認システムは、気象庁が誤報を発報した際に誤った自動送信を防ぐため、災害発生後10分間の時間を置いてから、安否確認通知の自動一斉送信を行うのが特徴です。

気象庁の誤報の多くは10分以内に訂正されるため、誤報による安否確認通知で従業員を混乱させたり、担当者が訂正に追われることもありません。

(参考:安否確認サービス2 自動配信実績

このほか、堅牢なデータセンターで運用していることや、従業員の情報を自動で同期できることなど、多くのメリットがあります。30日間の無料お試しが用意されているため、興味がある方はぜひ一度お問合せください。

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企業は緊急地震速報の誤報への対策が必須

緊急地震速報は、地震被害の軽減に有効な情報です。しかし、システムの性質上、誤報である可能性があります。

緊急地震速報が誤報だと疑って行動が遅れると、事業復旧が遅れて、事業継続は困難になる恐れがあります。そのため、発報された際には、誤報の可能性があっても、迅速に避難行動や安否確認を実施することが重要です。

地震が発生した際に、すぐに緊急対応できる人員を確保し、スムーズに事業を復旧させるためには、安否確認システムが欠かせません。トヨクモの『安否確認サービス2では、誤報時にメッセージを自動送信するのを防ぐ機能を備えています。誤報が発報された場合でも無駄な労力やコストがかかりにくいため、安否確認システムの導入をご検討の方は、ぜひ選択肢に加えてください。

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