オフィス向けの災害・防災対策12選を紹介!対策が必要な理由も解説

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トヨクモ防災タイムズ編集部

自然災害はいつ発生するか予測がつきません。従業員の安全確保や被害の軽減には、日頃からオフィスの災害対策を強化しておく必要があります。自然災害の脅威を減らすには、どのような対策を講じるべきでしょうか。

この記事では、オフィス向けの災害・防災対策や対策の必要性などに関して紹介します。リスクマネジメントの強化に取り組んでいる方は、最後までご覧ください。

オフィスの災害対策が必要な理由

オフィスの災害対策を講じるべき理由には、以下の3つがあげられます。

  • 従業員の安全を確保するため
  • 法令遵守のため
  • 災害での損失を軽減するため

内容を一つひとつ見ていきましょう。

従業員の安全を確保するため

オフィスの災害対策は従業員の命を守るために実施します。自然災害の被害規模が大きい場合、水や電気など、ライフラインが機能停止に陥る可能性があります。オフィスの位置や周辺道路の被害状況によっては、必ずしもすぐに救助を要請できるとは限りません。

また、オフィス周辺の被害状況や交通機関への影響がわからない状態で、従業員の帰宅を許可するのは非常に危険です。従業員が二次災害に遭う可能性があり、法的な安全配慮義務にも反しています。

従業員の安全を確保するためにも、オフィス内で一定期間生活できる体制を整えておく必要があります。

法令遵守のため

労働契約法や労働安全衛生法では企業に対し、従業員の安全に配慮するよう定めています。安全配慮義務は自然災害の際も対象となっており、災害時には従業員の命を守る対策を最優先に実行しなければなりません。

仮に災害対策の不備が原因で従業員が負傷または死亡した場合、訴訟に発展して多額の損害賠償金を支払う可能性が生じます。

また、東京都や愛知県など、地方自治体によっては防災備蓄品の管理や災害時の帰宅禁止を努力義務として課しています。努力義務扱いのため、実施していなくても罰則は課せられません。

ただし、従業員が災害の被害に遭った場合は、安全配慮義務に違反したとみなされる可能性があるため、注意が必要です。

災害での損失を軽減するため

自然災害によって事業所内の備品や設備が破壊されると、すぐに事業が再開できなくなる可能性が高まります。破損した備品や設備は新たに購入しなければなりません。設備によっては数百万~数千万円規模のものもあり、資金繰りが苦しくなります。

また、事業再開には実務を担う従業員が一定数必要です。災害後に従業員へ帰宅を命じ、帰宅途中で二次災害に遭った場合、出社が困難になる可能性が生じます。損失の軽減や最短での事業再開を実現するためにも、オフィス内で一定期間過ごせる環境の整備が必要です。

オフィス向けの災害・防災対策12選

オフィスの災害対策には以下12個があげられます。

  1. 飲料水と生活用水の確保
  2. 非常食の確保
  3. 防災用品と衛生用品の確保
  4. 感染症対策
  5. オフィス備品の転倒防止対策
  6. 水害対策
  7. データのバックアップ
  8. ハザードマップの確認
  9. 避難経路の確保
  10. BCPの策定
  11. 緊急時の連絡手段を複数確保
  12. 定期的な防災訓練の実施

自社に足りない点を確認し、災害対策の強化を図りましょう。

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飲料水と生活用水の確保

飲料水と生活用水は用途が異なるため、別々に確保が必要です。飲料水は水分補給や調理に使用し、1人あたり1日3Lの水が必要といわれています。

最低でも3日分は必要で、保管スペースに余裕があれば1週間分の備蓄が推奨されています。3日分の場合は1人あたり9L、1週間分だと1人あたり21Lの飲料水の確保が必要です。

一方、生活用水は手洗いやトイレなどに使用する水です。生活用水は飲料水よりも使用量が多く、1人あたり1日に10〜20Lの水が必要になります。

こちらも最低3日分は必要となるため、1人あたり30〜60Lの生活用水を確保しておきましょう。

また、市街地から離れた場所や山間部など、水の確保が難しい地域に拠点を置いている場合、非常用浄水器を利用するのも1つの選択肢です。

非常用浄水器とは河川や湧き水、雨水などに含まれる不純物をフィルターで除去し、飲料水として利用できる状態にする機器です。

逆浸透膜タイプの非常用浄水器を用意すると、ダイオキシンやウイルスなどを95%以上の確率で除去するため、安心して水が飲めます。

非常食の確保

道路の被害状況によっては、スーパーやコンビニで食料を調達できないため、事前に非常食の確保が必要です。非常食は調理が不要で、持ち運びや長期保存が可能なものを選択します。手軽に栄養補給ができるかどうかも、重要なポイントです。

備蓄しておくべき非常食を以下に記載しました。

  • 防災用ゼリー
  • 固形の栄養補助食品
  • 缶詰
  • 備蓄用保存パン
  • クラッカー
  • チョコレート
  • 野菜ジュース
  • レトルト食品
  • カップ麺

上記のなかでは、防災用ゼリーを多く備蓄しておくのがおすすめです。エネルギーや炭水化物、食物繊維など、多くの栄養素を手軽に補給できます。食感が軟らかく、アレルギーにも対応しているため、従業員の年代や体質を問わず安心して食べられるでしょう。

防災用ゼリーのなかには保存期限が6年に設定されているものもあり、購入の頻度を抑えられる点も魅力です。

防災用品と衛生用品の確保

従業員の安全確保や負傷者の応急処置、衛生環境の維持には、防災用品と衛生用品が必要です。用途別に必要となるモノを以下の表にまとめました。

用途具体的な品物
情報収集・懐中電灯
・投光器
・電池式
・ラジオ
・乾電池
・モバイルバッテリー
・非常用電源
安全と救助・ヘルメット
・消火器
・軍手
・バケツ
・拡声器
・トランシーバー
・バール
・ハンマー
・消毒液
・ガーゼ
・ばんそうこう
衛生環境の維持・簡易トイレ
・トイレットペーパー
・タオル
・除菌シート
・ウェットティッシュ
・生理用品

緊急時に素早く対応できるよう、防災訓練の際に消火器やトランシーバー、工具の使い方を確認しておきましょう。

また、水道が利用できない場合に備えて、簡易トイレとトイレットペーパー、タオルが必要です。

トイレを我慢すると、感染症や熱中症、エコノミークラス症候群など、さまざまな健康被害をもたらします。

感染症対策

オフィス内の衛生環境が悪化すると、新型コロナウイルスやインフルエンザ、ノロウイルスなど、感染症が発生する可能性が生じます。集団感染に発展した場合、早期の事業再開は困難です。

感染症対策として主に以下のものを用意しておきます。

  • マスク
  • アルコール消毒液
  • ハンドジェル
  • 体温計
  • パーテーション
  • ゴム手袋
  • 空気清浄機

また、マスクの着用や定期的な換気など、基本的な感染対策を怠っていた場合、安全配慮義務に違反する可能性があるため、注意が必要です。

オフィス備品の転倒防止対策

デスクやキャビネット、ロッカーなど、大型備品が地震による振動で転倒した場合、重傷を負う可能性が高まります。オフィス備品の転倒による負傷を防ぐため、L字金具やストッパー、粘着マットなど、耐震器具を使って各備品の固定力を高めておくことが重要です。

落下物が原因で負傷する可能性もあるため、キャビネットやロッカーの上にはモノを置かないようにしましょう。

また、オフィス内で火災が発生した際、素早く救助隊員が室内に侵入できるよう、消防隊進入口マークや排煙窓付近を整理しておく必要もあります。

水害対策

近年は豪雨や津波による被害規模が拡大傾向にあるため、水害対策も企業が講じるべき災害対策の1つです。事業継続やオフィス内での避難生活には電気が欠かせません。非常用発電機や再生エネルギー設備を導入し、停電対策を強化します。

また、洪水や河川の氾濫など、水害が多い地域に拠点を置いている場合、土のうの設置や浸水防止シャッターを設置し、オフィス内への浸水を防ぎます。

データのバックアップ

自然災害の規模によっては、サーバーやノートPCなどが破損するケースも考えられます。業務上の機密情報を失った場合は事業再開が長引き、損失額が大きくなります。

データの消失や損失額の増大を防ぐには、オンラインストレージやデータセンターを活用し、バックアップデータを取得しておくことが必要です。

また、リスクマネジメントの一環として、PCの自動バックアップ機能を利用するのも有効です。自動バックアップは設定した条件にもとづき、バックアップデータを自動取得するため、操作ミスによるデータの損失を防げます。

ハザードマップの確認

ハザードマップは過去の災害履歴や地形の特徴などから、自然災害の発生リスクが高い地域を可視化する地図です。地震や津波、洪水など、災害の種類ごとにハザードマップは作成されており、発生頻度の高い災害や被害規模を事前に確認できます。

また、ハザードマップには避難場所や避難経路、被災想定区域など、防災施設の情報も地図上に表示されています。災害時に被災想定区域を避けて避難場所まで逃げられるよう、ハザードマップを活用して防災訓練を実施しましょう。

ハザードマップの見方とは|種類や企業における活用方法も紹介

避難経路の確保

地震や火災の際に素早く外へ避難できるよう、避難経路を事前に確認しておく必要があります。避難訓練の際に非常口マークや通路誘導灯の位置を確認しておくと、緊急時も素早く避難できるでしょう。

また、自然災害が起きた際はパニック状態に陥り、通常よりも視野が狭くなる可能性も考えられます。避難時の転倒や負傷のリスクを避けるため、避難経路の周囲にモノを置かないよう、日頃から意識しておくことも重要です。

BCPの策定

BCP(Business Continuity Plan)とは、自然災害をはじめ緊急事態が発生した際、被害の軽減と最短での事業再開を実現するための計画です。2024年から介護事業所にはBCPの策定が義務付けられたものの、一般企業にはまだ義務化が課せられていません。

BCPにはオフィスの安全対策や緊急連絡網、重要業務の優先順位など、平常時と緊急時の対応に関してさまざまな内容を記載します。

初動対応の流れや取り組み内容が異なるため、自然災害と感染症のそれぞれのBCPを策定しておくと、従業員の不安を軽減できるでしょう。

BCPの策定によって緊急時の対応力が高まり、あらゆるリスクへの備えを強化できます。また、「リスクマネジメント対策が万全な」企業との印象を与えられ、取引先や顧客からの信頼も高まります。

BCP対策のマニュアルの作り方【BCPコンサルタント監修のテンプレート付き】

緊急時の連絡手段を複数確保

自然災害や火災などの緊急事態が発生した際、すぐに従業員の安否を確認できるよう、複数の連絡手段を確保しておく必要があります。過去の災害事例を見る限り、緊急時の連絡手段がメールと電話だけでは不十分です。

大規模災害が起きた際、多くの方が電話を使って家族やパートナー、友人の安否を確認するため、通常時と比べてトラフィック量が大幅に増加します。

トラフィック量とは、電話回線やネットワーク回線で交わされるデータ送受信の量です。東日本大震災の際は、トラフィック量が通常の50〜60倍まで増えました。トラフィック量が回線容量を超えると、輻輳(ふくそう)と呼ばれる状態になります。

輻輳とは通信規制によって、通話や通信データのやり取りが通常時のようにできない状態を指します。東日本大震災の際、ドコモ・au・ソフトバンクの音声通信は、最大70〜95%の制限が設けられていました。

一方、メールもデータ容量がサーバーのスペックを大幅に超えていたため、受信速度の低下や位置情報の取得失敗などが、頻繁に発生していました。

上記の理由から、IP無線機やIP電話、安否確認システムなど、メールや電話以外の連絡手段を用意しておく必要があります。連絡手段の確保には、安否確認システムを選ぶのがおすすめです。

安否確認システムはLINEや専用アプリ、SMSなど、複数の連絡手段に対応可能なシステムが多いです。強固な災害対策を講じているベンダーも多く、災害時も安定稼働が期待できます。

BCP対策を強化する通信手段6選!安否確認システムを導入すべき理由も紹介

定期的な防災訓練の実施

防災訓練は消防法にもとづき、最低でも年1回以上の実施が義務化されています。消防計画にもとづく避難訓練の実施を確認できない場合、100万円以下の罰金または1年以上の懲役を科せられる可能性があるため、注意しましょう。

また、防災訓練は従業員の防災意識を高め、BCPの内容把握に努める目的もあります。BCPの情報量が充実していたとしても、従業員の防災意識が高まらない限り、記載内容を忠実に実行できる可能性は低いです。

BCPの内容を理解して行動に反映するには、災害の発生を想定した実践的な防災訓練を定期的に実施することが重要です。

さらに、防災訓練には初期消火訓練や避難訓練、救助訓練など、さまざまな種類があります。複数の防災訓練を実施しておくと、災害が発生しても安否確認の流れや避難経路への移動、消火器の使用などをスムーズにこなせます。

オフィスの災害対策を強化して被害の軽減に努めよう

自然災害はいつ、どの程度の災害が発生するのか、予測するのが困難です。いつ発生しても対応できるよう、飲料水や非常食、衛生用品の確保など、日頃から対策を進めておきましょう。

災害発生後に従業員の安否を素早く確認するため、メールや電話以外の連絡手段を用意しておくことも必要です。緊急時の連絡手段には、安否確認システムを活用するのがおすすめです。

専用アプリやLINEなど、複数の連絡手段に対応しており、災害後に従業員と連絡を取れる可能性が高まります。データセンターの複数稼働やネットワークの冗長化など、強固な災害対策を講じているベンダーも多いです。

トヨクモの提供する『安否確認サービス2』は、導入実績4,000社以上を誇る安否確認システムです。メールや専用アプリ、LINEでの安否確認に対応しています。

また、メインサーバーは過去100年の間に、地震や津波の被害がないシンガポールで運用しています。シンガポールは電力供給も安定しており、停電による通信サービスの機能停止が起きにくい点も魅力です。

アメリカや日本ではバックアップサーバーを運営しており、データを失う心配はいりません。

さらに、『安否確認サービス2』には、初期費用や最低利用期間が設定されていません。はじめて安否確認システムを導入する方も、安心して利用できるでしょう。オフィスの災害対策強化に取り組んでいる方は、『安否確認サービス2』の導入をご検討ください。

オフィスの災害対策に関するよくある質問

ユーザーから多く寄せられた質問を紹介します。

特に対策を意識すべき災害はありますか?

地震と火災、水害は発生頻度が多く、災害規模も大きいため、注意が必要です。地震対策ではオフィス備品の転倒による負傷を防ぐため、器具を使って固定力を高めておきます。

周囲の建物やブロック塀が倒れてくる可能性も考えられるため、ガラス飛散防止シートを活用して窓ガラスの飛散による負傷を防ぎましょう。

また、オフィスでの火災は、電気コードの劣化やタコ足配線、トラッキング現象などが原因です。火災の原因となるため、電気コードを束ねる行為や最大容量以上の電力使用は、避けましょう。

定期的にプラグを抜いてホコリを取っておくと、トラッキング現象の発生リスクを軽減できます。

そして、水害に関しては自社が拠点を置く地域によって、洪水や津波、土砂災害など、発生しやすい水害の種類は異なります。

事前にハザードマップで発生リスクが高い水害の種類を確認しておきましょう。確認した上で、浸水対策用品の準備やデータのバックアップなど、具体的な対策を講じます。

災害時でもインターネット環境は利用できますか?

大規模災害が発生しても電話回線と比べて、インターネット回線は比較的利用しやすいです。東日本大震災の際も津波被害が極端に大きかった地域を除き、インターネット回線は利用できていました。

当時はXやLINE上で避難の呼びかけや津波情報などが、盛んに投稿されていました。また、震災後の調査で津波よりも電力供給の停止地震による影響が大きかった点を踏まえ、停電対策を進めています。

災害時も安定して通信サービスが利用できるよう、予備電源の長時間対応化や大ゾーン基地局の整備、移動電源車の導入などを実施しています。

さらに、インターネット回線が利用できない事態に備え、ファイブゼロジャパンと呼ばれる無線LANサービスが開発されました。ファイブゼロジャパンは大規模災害が発生した際、キャリアを問わずスマートフォンからのインターネット接続を実現するサービスです。

スマートフォンの管理画面からファイブゼロジャパンを選択するだけで、Wi-Fiのアクセスポイントにつながります。

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