BCP対策ツールおすすめ14選!主な製品と選び方を紹介
遠藤 香大(えんどう こうだい)
BCP対策を進めるなかで、どのようなツールを導入すべきか、自社に必要な機能は何かと悩む担当者も多いのではないでしょうか。
BCP対策ツールは「安否確認・緊急連絡、災害情報収集、業務継続、データ・システムの保全や復旧」など、目的によって必要なものが異なります。
この記事では、BCP対策に役立つ主なツールを4種類に分けて紹介し、それぞれの役割や選び方、導入時の注意点まで解説します。
読み終えるころには、自社がどのような目的でツールを導入するべきか整理でき、候補となる製品・サービスを比較しやすくなるはずです。ぜひ最後までお読みください。
こんな不安やお悩みはありませんか

目次
【一覧表】BCP対策ツールおすすめ14選
まずは、BCP対策ツールを一覧で確認しましょう。
| 種類 | サービス名 |
|---|---|
| 安否確認ツール | 安否確認サービス2 |
| Slack | |
| LINE WORKS | |
| 災害情報収集ツール | BCPortal |
| Bois/防災情報提供サービス | |
| imatome | |
| 業務継続ツール | RemoteView |
| セキュアコンテナ AD | |
| Google Workspace | |
| kintone | |
| サイボウズ Office | |
| システムの保全・復旧ツール | torocca! byGMO |
| BackStore | |
| Azure Site Recovery |
BCP対策に役立つツールは主に4種類ある
BCP対策ツールとは、災害や事故などが発生した際に重要業務を止めにくくし、停止した場合も早期に再開できるよう支援するものです。BCP対策ツールは、主に次の4種類に分けられます。
【BCP対策ツールの種類と特徴】
| ツールの種類 | 役立つ場面 | 導入した方がよい企業 |
|---|---|---|
| 安否確認ツール | 【初動対応】従業員の安否や出勤可否を確認し、必要な指示を届ける | 従業員や拠点が多く、連絡・集計に時間がかかる企業 |
| 災害情報収集ツール | 【状況把握】災害情報や拠点・設備の被害状況を集約する | 複数拠点の被害状況を把握し、まとめて整理・管理したい企業 |
| 業務継続ツール | 【事業継続】社外環境から、連絡や資料共有、業務システムの利用を続ける | 出社できない場合にも重要業務を続けたい企業 |
| システムの保全・復旧ツール | 【復旧対応】データの喪失やシステムの長期停止を防ぎ、業務再開を支援する | システム停止やデータ喪失の影響が大きい企業 |
安否確認ツール
安否確認・緊急連絡に役立つツールは、災害発生直後の初動対応を支えるものです。
専用ツールには、主に次のような機能があります。
【主な機能】
- 安否確認:従業員が「無事」「負傷」などの状況を回答する
- 緊急一斉連絡:全従業員など対象者へ緊急情報・指示を送る
- 自動配信:地震などの発生に合わせて安否確認を自動で送る
- 回答の集計:回答済み/未回答などの状況をまとめて確認する
- 再通知:未回答の従業員へ再度連絡する
【向いている企業】
- 従業員数が多く、電話やメールでの安否確認に時間がかかる企業
- 夜間や休日に災害が発生した場合など、緊急時の連絡手段を整えたい企業
- 出勤できる従業員をいち早く把握する必要がある企業
また、専用ツールだけでなく、一般的なビジネスチャットツールやWeb会議システムも、災害時の連絡手段として活用する方法もあります。
専用ツールのように、災害発生に合わせた自動配信や安否回答の自動集計など、一部の機能には対応していない場合はありますが、従業員への一斉連絡や状況共有、個別連絡などには活用できます。
ツールを使わない場合と使う場合の違いは、次の通りです。
| 対応の流れ | ツールを使わない場合 | 安否確認ツールを使う場合 |
|---|---|---|
| 連絡 | 担当者が災害の発生を確認し、電話やメールで連絡する | あらかじめ設定した条件に応じて、安否確認を自動または一斉送信する |
| 回答受付 | 電話やメールで個別に回答を受け取る | 決められた設問に沿って回答を受け付ける |
| 集計・再連絡 | 返信を一件ずつ確認・集計し、未回答者へ個別に再連絡する | 回答を自動集計し、未回答者を一覧化して再送信する |
| 次の対応 | 集計後に、出社判断や支援、事業継続の検討を始める | 集計結果をもとに、次の判断や対応へ早く移りやすい |
安否や出勤可否を早く把握できれば、救助や支援が必要な従業員への対応や、重要業務を継続できる人員の確認へ進みやすくなります。
災害情報収集ツール
災害情報収集に役立つツールは、発災後の状況把握を支えるものです。
特に、次のような企業への導入に向いています。
【向いている企業】
- 複数の拠点や店舗、工場を運営している企業
- 拠点ごとの被害状況を電話やメールで集めている企業
- 災害情報と自社拠点への影響をあわせて確認したい企業
ツールの利用で、災害に関する外部情報と、各拠点から報告される人的・物的被害の情報を集約し、被害の全体像を把握しやすくなるためです。
災害情報収集ツールでは、地震や気象、避難情報などを確認できるほか、拠点ごとに建物や設備、ライフライン、交通状況などの被害を報告・管理できます。
電話やメールで情報を集める場合、報告の内容や形式がばらつきやすく、どの拠点から情報が届いていないかを確認する作業も必要です。集めた情報が複数の担当者やツールに分散すると、被害状況の整理にも時間がかかります。
ツールを使わない場合と使う場合の違いは、次の通りです。
| 対応の流れ | ツールを使わない場合 | 災害情報収集ツールを使う場合 |
|---|---|---|
| 災害情報の確認 | 担当者がWebサイトやニュースなどを個別に確認する | 災害や気象に関する情報をまとめて確認する |
| 拠点からの報告 | 電話やメールで被害状況を個別に受け取る | あらかじめ決めた項目に沿って、各拠点から報告を受け付ける |
| 情報の整理 | 担当者が報告内容を転記し、拠点ごとの状況を整理する | 各拠点の被害情報を一元的に集約・一覧化する |
| 次の対応 | 情報がそろってから、支援や事業継続の可否を検討する | 集約した情報をもとに、優先して対応する拠点や継続できる業務を判断しやすい |
災害の発生場所や規模だけでなく、自社の従業員、建物、設備、ライフラインがどのような影響を受けているかを把握することで、支援が必要な拠点や、継続できる業務を判断しやすくなります。
業務継続ツール
業務継続に役立つツールは、災害や交通機関の停止などで出社できない場合でも、社外から業務を続けられるようにするものです。
主に、リモートアクセスツールとグループウェアがあります。
| リモートアクセスツール:自宅や代替拠点から社内PC、社内ネットワーク、業務システムなどを利用するためのものです。 グループウェア:メールやチャット、スケジュール、ファイル共有、Web会議、共同編集などをクラウド上で利用できます。 |
これらを活用することで、社外から社内システムへ接続したり、離れた場所にいる従業員同士で連絡や資料共有、共同作業を行ったりできます。
特に、次のような企業への導入に向いています。
【向いている企業】
- 受注処理や顧客対応、請求など、災害時にも止めにくい業務を社外から続ける必要がある企業
- 社内PCや業務システムにアクセスできないと、重要業務が止まりやすい企業
- 本社や特定拠点が使えない場合に、自宅や別拠点から業務を引き継ぐ必要がある企業
こうした企業では、オフィスや特定の拠点に入れないことが、そのまま重要業務の長期停止につながりやすいためです。
ツールを使わない場合と使う場合の違いは、次の通りです。
| 対応の流れ | ツールを使わない場合 | 業務継続ツールを使う場合 |
|---|---|---|
| 業務環境の確保 | 出社しなければ社内PCや業務システムを利用できない | 自宅や代替拠点から必要な業務環境へアクセスする |
| 連絡・会議 | 電話や個別メールで連絡し、情報が分散しやすい | チャットやWeb会議を使い、離れた場所から連絡・相談する |
| 資料共有 | 社内サーバーや紙の資料を確認できず、作業が止まる | クラウド上でファイルを共有し、共同で編集する |
| 次の対応 | 出社できるようになるまで、業務の再開を待つ | 利用できる人員や環境で、重要業務を継続しやすい |
業務継続に役立つツールを導入することで、オフィスや特定拠点が使えない場合でも、社外から必要な業務環境へアクセスし、連絡や共同作業を続けやすくなります。
現況で利用できる人員や場所を活用して重要業務を継続できるため、事業の中断を抑えやすくなるでしょう。
システムの保全・復旧ツール
データ・システムの保全や復旧に役立つツールは、災害や故障などで重要なデータが失われたり、業務システムが停止したりした場合に備えるものです。
代表的なものに、バックアップツールと、代替環境への切り替えを支援するDR(ディザスタリカバリ)ツールがあります。
| バックアップツール:重要なデータをクラウドや別拠点などへ複製して保存し、元のデータが失われた場合に復元するためのものです。 DRツール:本番環境(実際に業務で稼働しているシステム)が停止した場合にクラウドや別拠点に用意した代替環境へシステムを切り替えて、業務の再開を支援するものです。 |
特に、次のような企業への導入に向いています。
【向いている企業】
- 顧客情報や契約書、設計図、受注履歴などを、社内PCや自社サーバーを中心に保存している企業
- 受注管理や在庫管理、会計、請求などをシステムで行っており、停止すると業務を進められない企業
- 本社や自社サーバーが被災しても、別の環境で重要業務を早く再開する必要がある企業
こうした企業では、従業員や設備が無事でも、必要なデータを確認できなかったり、システムを動かせなかったりすると、業務を再開できないためです。
例えば、顧客情報や受注データを自社サーバーだけに保存している場合、地震や火災、水害などでサーバーが故障すると、データを読み出せなくなる可能性があります。
また、データが残っていても、それを利用するサーバーや業務システムが停止していれば、すぐに業務を再開できるとは限りません。
ツールを使わない場合と使う場合の違いは、次の通りです。
| 対応の流れ | ツールを使わない場合 | 保全・復旧ツールを使う場合 |
|---|---|---|
| データの保管 | 社内PCや自社サーバー、記録媒体など、同じ拠点にデータが集中しやすい | クラウドや別拠点など、同時に被災しづらい場所へデータを複製する |
| データ喪失時 | 元の機器からデータを取り出せなければ、業務に必要な情報を確認できない | 保存していたバックアップから必要なデータを復元できる |
| システム停止時 | 被災したサーバーの修理や、新しい環境の構築を待つ | DR環境があれば、クラウドや別拠点の代替システムへ切り替えられる |
| 次の対応 | データやシステムが使えるまで、関連する業務を停止する | データの復元やシステムの切り替え後、重要業務を再開しやすい |
ツールを導入することで、重要なデータを守り、システム停止時も代替環境で業務を再開しやすくなります。その結果、データやシステムに依存する重要業務の停止時間を短縮できます。
おすすめのBCP対策ツールを種類別に紹介
ここでは、おすすめのBCP対策ツールを種類別に紹介します。
安否確認ツール
まずは、安否確認・緊急連絡に役立つ主なツールを紹介します。
トヨクモ『安否確認サービス2』

トヨクモの『安否確認サービス2』は、災害時に従業員へ安否確認の通知を送り、回答状況をまとめて確認できるクラウド型の安否確認システムです。
地震・津波・特別警報などの情報と連動し、あらかじめ設定した地域や条件に応じて安否確認を自動で送信できます。届いた回答はリアルタイムで自動集計されるほか、未回答者への再送信にも対応しています。
また、掲示板やメッセージ機能を使って、従業員同士で現在の状況を確認したり、その後の対応について指示や相談をしたりすることも可能です。
安否確認の送信・集計だけでなく、災害発生後の状況共有や社内連絡まで一つのサービスで行いたい企業に向いています。
Salesforce『Slack』
Salesforceの『Slack』は、チームや部署ごとにメッセージやファイルを共有できるビジネスチャットツールです。
安否確認専用ツールとして設計されたサービスではありませんが、災害時には社内向けのチャンネルで従業員へ一斉に連絡したり、従業員から現在の状況を投稿してもらったりできます。ダイレクトメッセージを使えば、個別に連絡を取ることも可能です。
一方で、地震の発生に合わせた安否確認の自動送信や、回答の自動集計などの専用機能は基本的に備えていません。
平常時の社内コミュニケーションにも使えるツールを、災害時の緊急連絡や状況共有にも活用したい企業に向いています。
LINE WORKS『LINE WORKS』
LINE WORKSの『LINE WORKS』は、トークを中心に、掲示板やアンケートなども利用できるビジネスコミュニケーションツールです。
安否確認専用ツールとして設計されたサービスではありませんが、災害時にはトークで従業員と連絡を取り合ったり、安否確認用のアンケートを一斉に送り、回答結果を自動で集計したりできます。
掲示板では、出社の可否や今後の対応などを全社員へ周知し、誰が内容を確認したかを確認することも可能です。
平常時の社内コミュニケーションにも使えるツールで、災害時の安否確認や緊急連絡にも対応したい企業に向いています。
災害情報収集ツール
続いて、各拠点の被害状況や周辺の災害情報を集める際に役立つ主なツールを紹介します。
インフォコム『BCPortal』
インフォコムの『BCPortal』は、災害時に各拠点から届く被害報告や周辺の災害情報などを一か所に集め、状況を確認・管理できる情報収集・管理システムです。
あらかじめ用意したフォームを使って各拠点から被害状況を集め、届いた情報を一覧で確認できます。
集めた情報をもとに被害状況をレポート化したり、本部と各拠点で発生した出来事や対応内容、指示事項を時系列で記録・共有したりすることも可能です。
複数の拠点や情報源から届く災害情報を一つにまとめ、全体の被害状況や対応の進み具合を確認したい企業に向いています。
国際航業『Bois/防災情報提供サービス』
国際航業の『Bois/防災情報提供サービス』は、地震や津波、洪水、土砂災害などの防災・危機管理情報を自動で集め、自社の拠点周辺でどのような災害が発生しているかを地図上で確認できるサービスです。
災害が発生すると、防災情報とあらかじめ登録した自社拠点の位置を重ねて表示できます。
また、設定した条件に応じてアラートメールを受け取れるほか、被害を受ける可能性がある拠点を一覧で確認することも可能です。
複数の拠点を持ち、それぞれの地域で発生している災害情報や、自社拠点への影響をまとめて確認したい企業に向いています。
レスキューナウ『imatome』
レスキューナウの『imatome』は、従業員の安否、各拠点の被害状況、周辺の災害情報、対応が必要な事項を一つの画面に自動で集めて確認できる危機管理サービスです。
災害が発生すると、安否確認や拠点の状況確認を自動で実施できます。地震や津波などの防災情報に加えて、電気・ガス・水道などのライフライン情報や、交通・避難情報なども配信され、集まった情報はダッシュボード上にまとめて表示されます。
また、災害時に対応すべき事項を「未対応」「対応中」「完了」に分けて管理できるため、何を対応済みで、何がまだ残っているのかも確認できます。
従業員の安否確認から拠点被害、周辺の災害情報までを自動で集め、災害発生直後の全体状況をすばやく把握したい企業に向いています。
業務継続ツール
続いて、出社できない場合でも業務を続けやすくする主なツールを紹介します。
RSUPPORT『RemoteView』
RSUPPORTの『RemoteView』は、自宅や外出先のパソコンなどから、オフィスにあるパソコンを遠隔操作できるリモートアクセスツールです。
あらかじめオフィスのパソコンを登録しておけば、災害や交通機関の停止などで出社できない場合でも、接続先のパソコンが被災せず利用できる状態であれば、自宅などから遠隔操作して業務を行えます。
オフィスのパソコンは社内に置いたまま、出社できないときには自宅などの別端末から操作して業務を続けられるよう備えたい企業に向いています。
e-Janネットワークス『セキュアコンテナ AD』
e-Janネットワークスの『セキュアコンテナ AD』は、普段使っている支給PCを社外へ持ち出し、オフィス以外でも安全に業務できるようにするツールです。
オフィスでは社内LANに接続し、在宅勤務や外出時にはVPN※を使って、同じ支給PCから社内のファイルサーバーやクラウドサービスなどへアクセスできます。
※VPN:インターネットを経由して、社外から社内ネットワークなどへ安全に接続するための仕組み
業務データはPC本体に残さず、ファイルサーバーやクラウドサービスなどに保存する仕組みです。
社内用と社外用でパソコンを分けず、普段使う支給PCを持ち出して、出社できないときにも業務を続けられるよう備えたい企業に向いています。
Google『Google Workspace』
Googleの『Google Workspace』は、メールやファイル共有、Web会議、資料作成など、日常業務に使う機能をクラウド上で利用できるサービスです。
Gmailでメールを確認・送信したり、Google Driveに保存したファイルをパソコンやスマートフォンなどから確認したりできます。また、Google ドキュメントやスプレッドシートでは複数人で同じファイルを編集でき、Google Meetを使えば離れた場所にいる従業員同士で会議を行えます。
災害などで出社できない場合に備えて、メールや資料、会議などの業務を特定のオフィスやパソコンに依存せず続けられるようにしたい企業に向いています。
サイボウズ『kintone』
サイボウズの『kintone』は、顧客管理や案件管理、受発注、日報など、自社の業務に合わせたアプリを作り、必要な情報をクラウド上で管理できるサービスです。
例えば、顧客情報や案件の進捗、対応履歴などを『kintone』にまとめておけば、オフィスにある書類や特定のパソコンを確認しなくても、インターネットにつながる環境から必要な情報を確認・更新できます。
災害などで出社できない場合に備えて、顧客管理や案件管理など、普段行っている業務を社外からも続けられるようにしておきたい企業に向いています。
サイボウズ『サイボウズ Office』
サイボウズの『サイボウズ Office』は、スケジュールの共有や社内へのお知らせ、ファイル共有、申請・承認など、日常的な社内業務をオンライン上で行えるグループウェアです。
例えば、出社できない場合でも、メンバーの予定を確認したり、掲示板で全社員へ連絡事項を知らせたり、ワークフローを使って稟議や休暇申請などの申請・承認を進めたりできます。ワークフローはスマートフォンからの申請・決裁にも対応しています。
災害などで出社できないときにも、予定の共有や社内連絡、申請・承認といった社内業務を止めずに進められるよう備えたい企業に向いています。
システムの保全・復旧ツール
最後に、データ・システムの保全や復旧に役立つ主なツールを紹介します。
GMOグローバルサイン・ホールディングス『torocca! byGMO』
GMOグローバルサイン・ホールディングスの『torocca! byGMO』は、Webサイトのデータやデータベースを、離れた場所へバックアップしておけるサービスです。
バックアップはあらかじめ決めた間隔で自動的に実行でき、最大30世代まで保存できます。Webサイトやデータベースに問題が起きた場合は、保存していたバックアップを選んで復元することも可能です。
そのため、WebサイトやWebサービスを運営しており、サーバーの故障や災害などでデータが失われた場合にも、保存しておいたデータから復旧できるよう備えたい企業に向いています。
BackStore『BackStore』
BackStoreの『BackStore』は、パソコンやサーバーなどに保存しているデータを、クラウド上へバックアップしておけるサービスです。
バックアップ先は自社とは離れた場所にあるクラウド上のデータセンターなので、地震や火災などで社内のパソコンやサーバーが被災した場合でも、保存していたバックアップから必要なデータを復元できます。
社内のパソコンやサーバーに重要なデータを保存しており、自社拠点が被災しても別の場所に残したデータから復旧できるよう備えたい企業に向いています。
Microsoft『Azure Site Recovery』
Microsoftの『Azure Site Recovery』は、サーバーや業務システムが停止した場合に備えて、別の環境でもシステムを動かせるよう準備しておくDRサービスです。
普段使っている業務システムを別の環境にも複製しておき、災害や故障などで元のシステムが使えなくなった場合は、複製しておいた環境へ切り替えて業務を再開できます。元の環境が復旧したあとに、再び元の環境へ戻すことも可能です。
受注管理や在庫管理など、システムが停止すると業務を進められなくなる場合に備えて、別の環境で重要な業務を再開できるようにしておきたい企業に向いています。
BCP対策ツール(システム)選びで失敗しないための6つのチェックポイント
では、自社に合うBCP対策ツールを選ぶにあたって、どのような基準で各製品を選定すればいいのでしょうか。
ポイントとして、下記の6つを確認しましょう。
- 自社が解決したい課題に対応しているか
- 自社の規模や組織、利用環境に対応できるか
- 災害時にも安定して利用できるか
- 管理者と利用者の双方が使いやすいか
- データを守るためのセキュリティ機能が備わっているか
- 継続運用しやすい費用やサポート体制か
自社が解決したい課題に対応しているか
BCP対策ツールを選ぶ際は、どの種類のツールを導入すべきか、自社が抱える課題を整理し、優先して対策すべきものを明確にしましょう。
優先すべき課題とは、
・対応できない場合に事業への影響が大きい課題
・現在の方法では安否確認や重要業務の再開に時間がかかりすぎる課題
です。
課題の重要度を整理しないまま製品を比較すると、選定の軸が定まらず、本来優先すべき対策とは異なるツールを選んでしまうおそれがあるためです。
例えば、安否確認、被害情報の収集、業務継続、データの復旧にそれぞれ課題があっても、すべての対策を一度に進められるとは限りません。予算や導入に携わる人員、準備期間が分散すると、重要業務の停止に直結する課題への対応が遅れる可能性があります。
そこで、以下では自社の課題を見つけやすいよう、3つの視点に分けて整理しました。
| ・【現在の備え】現状ではどのような方法・環境で対応しているか ・【被災時の支障】過去の災害時に、何が事業継続や再開を妨げたか ・【業務上の必要性】企業の規模、拠点、働き方、システムへの依存度などから必要性が高いか |
以下にツールの種類ごとに当てはまりそうな課題をまとめていますので、自社に当てはまる項目を確認し、優先して対策したい課題を考える際にお役立てください。
【安否確認・緊急連絡に関する課題】
| 現在の備え | 緊急時の連絡手段が電話やメールに限られ、一斉連絡や回答の集計を行う仕組みがない |
| 被災時の支障 | 従業員の安否や出勤可否がなかなかそろわず、救助・支援や重要業務に必要な人員の判断が遅れた |
| 業務上の必要性 | 従業員数が多い、勤務時間や勤務場所が分散している、現場勤務者が多いなど、普段使いの連絡手段だけでは全員の状況を短時間で把握しにくい |
【災害情報収集に関する課題】
| 現在の備え | 各拠点の被害状況を電話やメールで個別に集めており、情報を一元管理する仕組みがない |
| 被災時の支障 | 報告の遅れや内容のばらつきによって被害の全体像を把握できず、支援する拠点や継続する業務の判断が遅れた |
| 業務上の必要性 | 複数の店舗・工場・営業所があり、拠点ごとの被害状況によって、営業継続や人員・物資の配置を判断する必要がある |
【業務継続に関する課題】
| 現在の備え | 社内PCや業務システムを社外から利用できず、オフィス以外で業務を行う環境が整っていない |
| 被災時の支障 | 災害や交通機関の停止で出社できず、受注処理や顧客対応、請求などの重要業務が止まった |
| 業務上の必要性 | 本社や特定拠点に入れない場合でも、自宅や別拠点から継続しなければならない重要業務がある |
【データ・システムの保全や復旧に関する課題】
| 現在の備え | 重要なデータを社内PCや自社サーバーに保存し、バックアップも同じ拠点内に置いている |
| 被災時の支障 | データを確認できない、または業務システムを動かせないことで、受注・出荷・請求などの再開が遅れた |
| 業務上の必要性 | 顧客情報、受注、在庫、会計などをデータやシステムで管理しており、利用できなくなると重要業務を進められない |
例えば、従業員数が少なく、普段から全員がリモートで働いている企業では、既存のチャットやメールでも安否確認や緊急連絡に対応できるかもしれません。
その場合、社外から業務システムへアクセスできない、重要なデータのバックアップが不十分といった課題があれば、安否確認専用ツールよりも、業務継続やデータ保全に役立つツールを先に検討する判断もあるでしょう。
このように、当てはまる項目の数だけでなく、自社の規模や働き方、既存の運用でどこまで対応できるかも踏まえて、優先度を判断することが大切です。
自社の規模や組織、利用環境に対応できるか
BCP対策ツールを選ぶ際は、自社の規模や組織、利用環境に対応できるかの確認も重要です。
自社で利用したい人数や拠点数、データ量などに対応できなければ、必要な範囲へ十分に導入できません。
確認する具体的な対象はツールの種類によって異なりますが、共通して確認したい項目は次の4つです。
【確認したい4つの項目】
| 利用規模 | ・従業員数や拠点数、同時接続人数、データ容量、保護するシステム数など、自社で利用したい範囲に対応できるか |
| 組織・業務の構成 | ・部署や拠点、利用者、対象となるデータ・システムなどを、自社の組織や業務に合わせて登録・管理できるか・海外拠点や外国籍従業員がいる場合は、英語など必要な言語に対応しているか |
| 端末・システム環境 | ・PCやスマートフォン、OS、ブラウザ、通信環境、自社サーバー、クラウドなど、実際に利用している環境に対応できるか |
| 既存環境との連携 | ・現在利用している社内システムやクラウドサービス、認証基盤、連絡手段などと併用・連携できるか |
例えば、安否確認・緊急連絡ツールでは登録できる従業員数や部署階層、災害情報収集ツールでは拠点数や対象地域を確認します。
業務継続ツールでは同時接続人数や利用端末、データ・システムの保全や復旧に役立つツールでは、保護できるデータ容量やシステム環境などが主な確認対象です。
必要な条件を満たしていない場合、一部の従業員や拠点、データだけを別の方法で管理することになり、運用が複雑になる可能性があります。
現在の利用条件だけでなく、今後の従業員数や拠点数、データ量の増加も見込んで選びましょう。
災害時にも安定して利用しやすいか
災害時にも安定して利用しやすいかどうかも、BCP対策ツールを選ぶ際には重要となります。
平常時には問題なく使えても、災害による設備の停止や通信障害、利用者の集中によって使えなくなれば、安否確認や情報収集、業務継続といった本来の役割を果たせません。
災害時の安定利用に向いているツールには、主に次のような特徴があります。
【災害時の安定利用につながる特徴】
| 特徴 | 期待できる効果 |
|---|---|
| サーバーやデータセンターを複数の地域に分散している | 一つの地域や設備が被災しても、別の環境でサービスを継続しやすい |
| 一部の設備や通信回線に障害が起きた際、別の環境へ切り替えられる | 特定の設備だけに依存しないため、障害時にもサービスを維持しやすい |
| 災害時のアクセス集中や処理負荷を想定している | 多くの利用者や拠点から一斉に操作・接続が行われても、サービスが停止しにくい |
例えば、安否確認ツールでは、災害発生直後に多くの企業や従業員が一斉にアクセスする可能性があります。そのため、通常時の利用人数だけでなく、緊急時のアクセス集中にも耐えられる仕組みかを確認することが大切です。
また、業務継続ツールやデータ・システムの保全や復旧に役立つツールでは、利用しているデータセンターや通信回線、電源などが単一の環境に集中していると、その場所の被災によって利用できなくなるおそれがあります。
サーバーやデータの分散に加え、一部の通信回線や電源が停止しても、別の経路や設備へ切り替えて利用を続けられる仕組みがあるかを確認しましょう。
管理者と利用者の双方が使いやすいか
BCP対策ツールを選ぶ際は、管理者だけでなく、実際に操作する従業員や現場担当者にとっても使いやすいかを確認しましょう。
災害時は、停電や通信障害に加え、周囲の混乱も想定されます。平常時には大きな問題にならない少しの使いにくさでも、緊急時には連絡や報告、業務の再開を遅らせる原因になりかねません。
使いやすさを確認する際は、まず公式サイトに掲載されている管理画面や操作画面の画像、操作方法の説明などを確認します。
例えば、次のような点が判断材料になります。
【使いやすいツールの特徴】
| ・画面内の情報が整理され、必要な項目を見つけやすい ・ボタンやメニューの名称から、行う操作を理解しやすい ・必要な操作を少ない手順で完了できる ・操作マニュアルや動画など、使い方を確認できる資料が提供されている |
管理画面や操作画面を確認し、必要な設定や情報の確認、入力、接続などを、直感的に迷わず行えるかを見ておきましょう。
ただし、画面の画像や機能説明だけでは、実際の操作感までは十分に判断できません。
無料トライアルやデモを利用できるかも確認し、画面の見やすさや手順のわかりやすさ、迷いやすい箇所がないかを実際に確かめることが大切です。
データを守るためのセキュリティ機能が備わっているか
ツールの仕組みや扱う情報に応じて、必要なセキュリティ機能が備わっているかも確認が必要です。
BCP対策ツールでは、従業員の連絡先や安否情報、拠点の被害状況、顧客情報、業務データなどを扱う場合があるからです。情報漏えいや不正アクセスが起きると、災害対応や業務継続に新たな支障が生じかねません。
なお、必要なセキュリティ機能は、ツールの種類や運用方法によって異なります。
下記に主な利用ケースと、確認したいセキュリティ機能の例をまとめました。自社の課題を解決するために必要なツールの仕組みと照らし合わせ、該当する機能が備わっているかを確認しましょう。
| ケース | 確認したいセキュリティ機能の例 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 従業員情報や被害状況を複数の担当者で管理する | 担当者ごとの閲覧・編集権限、操作履歴の記録 | 必要のない情報の閲覧や誤操作、不正な変更を防ぎやすくなる |
| 社外や個人の端末からツールへログインする | 多要素認証、接続元や利用端末の制限 | パスワードの漏えいによる不正ログインのリスクを抑えやすくなる |
| クラウド上で情報やデータを送受信・保存する | 通信中・保存中のデータの暗号化 | 通信内容の盗み見や、保存データの不正な読み取りを防ぎやすくなる |
| 重要なデータをバックアップする | バックアップデータの暗号化、削除・改ざんを防ぐ機能 | 情報漏えいに加え、サイバー攻撃や誤操作によるバックアップの消失を防ぎやすくなる |
| 複数のシステムやサービスと連携する | 連携先ごとのアクセス権限、認証情報の適切な管理 | 連携に必要な範囲を超えて、情報や機能へアクセスされるリスクを抑えやすくなる |
表に挙げた機能が、すべてのツールに必要なわけではありません。
ツールにどのような情報を保存するのか、誰がどこから操作するのかを整理した上で、自社の運用に必要なセキュリティ機能が備わっているか、確認しましょう。
継続運用しやすい費用やサポート体制か
導入後も無理なく使い続けられる費用か、必要な支援を受けられるかも確認しましょう。
理由としては、利用料金に加え、設定変更や訓練、サポートなどに追加費用がかかる場合もあるため、長期的に負担できる金額かを見極める必要があるからです。
また、災害時に使える状態を維持するには、登録情報の更新や設定の見直し、操作訓練などが欠かせません。自社だけでは対応が難しい作業について、必要な支援を受けられるかも確認することが大切です。
確認方法として、まずは製品の公式サイトに掲載されている料金やサポート内容を確認すると、候補を絞り込みやすくなります。
ただし、実際の費用や受けられる支援は、利用人数や拠点数、必要な機能、導入時の作業内容などによって変わる場合があります。具体的に比較する際は、自社の希望条件を整理した上で、提供会社へ見積もりを依頼し、サポート内容についても問い合わせると確実です。
確認したい主な項目は、次の通りです。
| 費用について確認したい項目 ・自社の希望条件で利用した場合の初期費用と月額・年額料金 ・見積金額の内訳と、基本料金に含まれる機能・サポートの範囲 ・オプション機能や導入支援など、別途費用が発生する項目 ・事業や組織の拡大を予定している場合は、現在と拡大後の利用規模に応じた料金 |
| サポート体制について確認したい項目 ・初期設定や既存環境からの移行など、導入準備をどこまで代行・支援してもらえるか ・導入支援が基本料金に含まれるか、別途費用がかかるか ・操作方法の案内は、マニュアルや動画の提供のみか、担当者による説明や研修も受けられるか ・導入後も、操作方法や設定変更、運用上の困りごとについて相談できるか ・問い合わせ方法や受付時間、回答までの目安など、サポートの利用条件はどうなっているか |
各提供会社に同じ希望条件を伝え、必要な機能やサポートを含めた費用と支援内容を比較しましょう。
将来の利用規模も踏まえて確認することで、導入後も無理なく使い続けられるツールを選びやすくなります。
まとめ
本記事では、BCP対策ツールについて解説しました。最後に、記事の要点を振り返りましょう。
【BCP対策ツールの種類と特徴】
| ツールの種類 | 役立つ場面 | 導入した方がよい企業 |
|---|---|---|
| 安否確認ツール | 【初動対応】従業員の安否や出勤可否を確認し、必要な指示を届ける | 従業員や拠点が多く、連絡・集計に時間がかかる企業 |
| 災害情報収集ツール | 【状況把握】災害情報や拠点・設備の被害状況を集約する | 複数拠点の被害状況を把握し、まとめて整理・管理したい企業 |
| 業務継続ツール | 【事業継続】社外環境から、連絡や資料共有、業務システムの利用を続ける | 出社できない場合にも重要業務を続けたい企業 |
| システムの保全・復旧ツール | 【復旧対応】データの喪失やシステムの長期停止を防ぎ、業務再開を支援する | システム停止やデータ喪失の影響が大きい企業 |
【BCP対策ツール(システム)を選ぶ6つのポイント】
- 自社が解決したい課題に対応しているか
- 自社の規模や組織、利用環境に対応できるか
- 災害時にも安定して利用できるか
- 管理者と利用者の双方が使いやすいか
- データを守るためのセキュリティ機能が備わっているか
- 継続運用しやすい費用やサポート体制か
ぜひ本記事でご紹介した製品・サービスを候補に入れて、導入するツール・システムをご検討ください。
5,000社が選ぶトヨクモの安否確認サービス

- 災害時遅延、停止0の実績
- 誰でも使えるシンプルな操作画面
- 初期費用0円、月額6,800円から
編集者:遠藤 香大(えんどう こうだい)
トヨクモ防災タイムズ 編集長 RMCA BCPアドバイザー トヨクモ株式会社で災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案や情報発信に携わる。トヨクモ防災タイムズではBCPや災害対策に関する記事の企画・執筆・編集を担当。専門家との連携や現場視点を取り入れながら、読者に寄り添う防災情報の発信を目指している。
