安否確認システムはクラウド型が主流!その理由を解説
遠藤 香大(えんどう こうだい)
企業のクラウドサービス利用率が80.6%(参照:総務省「令和7年版 情報通信白書」)に達し、あらゆる業務のクラウド化が進んでいます。
そうした中、災害時に従業員の安否を把握する「安否確認システム」にいたっては、需要が高まる前からクラウド型でサービス提供されてきました。他のシステム以上に、安否確認においてクラウド型が必須条件とされるのには、災害時に使うシステムならではの理由があります。
そこで本記事では、クラウド型の安否確認システムが選ばれている理由をはじめ、システムの基本機能、選び方を解説します。安否確認システムの導入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
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目次
安否確認システムはクラウド型が主流
まず、安否確認システムはクラウド型が主流です。自社サーバーで運用する「オンプレミス型」は、安否確認システム市場にはほぼ存在しません。そのため、安否確認システムを導入する際は、一般的にクラウド型を検討することになります。
実際に、トヨクモ防災タイムズが独自に市場調査を行った20社が提供する安否確認システムも、すべてがクラウド型でした。
なぜクラウド型の安否確認システムが選ばれているのか
災害時に確実に機能する必要がある安否確認システムにおいて、クラウド型が選ばれるのには明確な理由があります。
自社ビルが被災してもサーバーダウンしない
自社サーバーで運用する「オンプレミス型」の場合、自社ビルが停電したり倒壊したりすると、安否確認システムそのものが停止してしまうリスクがあります。
一方で「クラウド型」であれば、システム提供会社のデータセンターで管理されているため、自社ビルが被災してもシステムは影響を受けません。
初期費用を抑えて導入できる
クラウド型はオンプレミス型と違い、自社で専用の物理サーバーやネットワーク機器を買い揃えたり、設置工事をする必要がありません。さらに、クラウド型の安否確認システムは初期費用無料のものも多いため、導入ハードルが低いのも特長です。
メンテナンスや法改正への対応が不要
クラウド型の安否確認システムのメンテナンスや法改正に伴うアップデートは、すべてサービス提供会社が行います。運用担当者の負担を最小限に抑えつつ、常に最新の状態でシステムを利用できます。
たとえば、「安否確認サービス2」を提供するトヨクモは、気象庁が2026年5月29日に実施した防災気象情報の体系見直しにもいち早く対応しています。この改定で新たに位置づけられた「レベル5土砂災害特別警報」への自動送信機能は、担当者がシステム更新することなく反映されています。
(参考:トヨクモ『安否確認サービス2』「気象庁の「レベル5土砂災害特別警報」に対応」)
安否確認システムをクラウド型で運用することは単なるトレンドではありません。事業復旧をスムーズに進める「BCP(事業継続計画)」の観点から、必須条件と言えるでしょう。
安否確認システムとは
安否確認システムとは、災害時に従業員とその家族の安否確認を効率化するシステムです。安否確認メッセージの自動送信、回答結果の自動集計など、手動では滞りがちな安否確認を自動化して企業の初動対応をサポートします。
大切な従業員を災害から守るためだけでなく、事業を復旧させる力(レジリエンス)の強化や、取引先との信頼性を向上するために、多くの企業で安否確認システムの導入が進んでいます。
クラウド型の安否確認システムの基本機能
| 基本的な機能 | 概要 |
|---|---|
| 安否確認メッセージの自動一斉送信 | 災害発生時、安否確認メッセージを自動送信する。 |
| 回答結果の自動集計 | 従業員からの回答をシステムが自動集計する。 |
| 未回答者への自動再送信 | 未回答者を絞り込み、自動でメッセージを再送信する。 |
| メッセージの設問設定 | 怪我の有無・出社可否など、安否確認メッセージ内の選択肢を自由に設定できる。 |
| 掲示板 | 被害状況の報告・対応指示など、複数人に向けて情報共有できる。 PDFや画像・動画を添付できるシステムもある。 |
これらの機能は需要が高く、多くの安否確認システムに搭載されている基本機能です。
また、以下のオプションも押さえておきたい機能です。
- 家族の安否確認:従業員が家族の安否を確認できる。
- 人事システム連携:人事システムと連携して従業員情報を自動更新できる。
プランによってはこれらの機能が標準搭載されているシステムもあります。比較する際は、まずはこれらの機能があるかどうか確認しておきましょう。
クラウド型の安否確認システムの選び方
ここでは、クラウド型の安否確認システムの選び方を解説します。
- どの情報をもとにメッセージが発信されるか
- 従業員のプライバシーを守れるか
- メール・SMS・専用アプリ・LINEなど複数の連絡手段が使えるか
- 料金プランは自社の予算感と一致しているか
- データセンターは分散されてるか
- 操作性は良いか
どの情報をもとにメッセージが発信されるか
安否確認システムから発信されるメッセージは、各システムによって情報源や情報の処理方法が異なります。
- 気象庁の災害情報と連動した発信
- 独自分析情報をもとにした発信
気象庁の災害情報(地震、津波、特別警報)と連動して従業員へ一斉に連絡メールを自動配信するシステムは、国の情報にもとづくため、一律の基準で配信される安心感があります。※災害発生後の数分間は静観し、誤報ではないとシステムが判断した後に送信するタイプもあります。
一方で、独自分析情報をもとに通知するサービスでは、気象庁以外の情報も独自のノウハウで収集して届けます。たとえば、SNS情報も参考にしているシステムでは、より身近な情報を発信することで従業員の当事者意識を高め、迅速な避難行動を促進します。
従業員のプライバシーを守れるか
安否確認システムの導入時に欠かせないのが、「従業員のプライバシーを守る仕組み」があるかどうかです。たとえば、個人の連絡先は重要な個人情報に該当します。また、位置情報もプライバシー保護の観点から、企業として配慮が求められます。
そのため、安否確認システムを選ぶ際は、登録された連絡先を管理者が閲覧できない仕様のものや、位置情報機能のON/OFFを切り替えられるシステムがおすすめです。プライバシーに配慮したシステムを選ぶことで従業員の抵抗感をなくし、緊急時のメッセージ到達率を高められます。
メール・SMS・専用アプリ・LINEなど複数の連絡手段が使えるか
安否確認システムの連絡手段には以下のものがあります。
| 連絡手段 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| メール | 文字数制限なしで一斉送信が可能。 | ・アドレスが変更されていた場合、通知が届かない。 ・迷惑メールフォルダに入る可能性あり。 |
| SMS | プッシュ通知で気づきやすく、開封率が高い。 | ・1通あたりの料金がかかることがある。 ・電話番号を登録していない従業員には送れない。 |
| 専用アプリ | ・プッシュ通知で気づきやすく、開封率が高い。 ・画面タップによる簡単操作。 | ・アプリのダウンロードやログイン設定が必要。 ・操作に関する教育コストがかかる場合も。 |
| LINE | ・使い慣れている人が多く運用がスムーズ。 ・プッシュ通知で気づきやすく、開封率が高い。 | LINEを登録する場合、プライバシーへの配慮が必要。 |
| 電話 | ・着信音により夜間でも気づきやすい。 ・ネット環境がなくてもつながる。 | ・電話番号を登録していない従業員には送れない。 ・騒がしい場所では聞き取りづらい。 ・災害時の通信規制の影響が大きい。 |
実際の運用ではこれらの連絡手段を単独で使わず、従業員の属性に合わせてメインとサブの2手段以上を組み合わせることが回答率の向上につながります。
どうしてもPC・スマホ操作の不慣れが壁となる場合は、管理者による「代理回答機能」を搭載した安否確認システムがおすすめです。安否確認メッセージに本人が回答できなくても、管理者が代わりに回答できます。
関連ページ:安否確認サービス2「代理回答の方法」
料金プランは自社の予算感と一致しているか
安否確認システムの料金は、大きくわけて2つの料金があります。
| 料金の種類 | 内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 導入時に1度だけ支払う料金。初期設定や導入サポートが含まれることが多い。 初期費用無料のシステムもある。 |
| 月額料金 | 毎月支払う料金。プラン・ユーザー数などによって変動する。 |
一見「初期費用が無料のシステムは、月額料金が高そう……」と思われがちですが、一概には言えません。最近の安否確認システムは企業努力により、初期費用無料でありながら相場より月額料金が安いシステムもあります。
データセンターは分散されてるか
大規模災害によってデータセンターそのものが被災し、安否確認システムが動かなくなってしまっては意味がありません。そのため、サーバーが国内外の複数の拠点に分散配置されているかを確認することが重要です。
たとえば、トヨクモの「安否確認サービス2」は国内の大規模災害を想定し、地震リスクが極めて低く電力事情も安定しているシンガポールにメインサーバーを設置しています。さらに日本やアメリカなどにも分散配置することで、国内被災時にも影響を受けない環境を構築しています。
関連ページ:安否確認サービス2「もしもの時に“動く”を証明」
操作性は良いか
無料トライアルで操作性を試しておくことも重要です。トヨクモの独自調査では、安否確認システムの入れ替えを経験した企業のうち、58%が「事前に確認しておくべきこと」として「無料お試しによる実際の操作性の確認」をあげています。

この調査からもわかるように、安否確認システム入れ替え経験者の半数以上が無料お試しの重要性を実感しています。多くの安否確認システムには無料トライアルが用意されているため、導入前に使いやすさを確かめておきましょう。
クラウド型の安否確認システムに関するよくある質問
安否確認システムの必要性とは?
安否確認システムは、大規模災害時に従業員やその家族の安否を確認し、事業復旧をスムーズに進めるために必要不可欠です。
電話やメールなど私たちが普段使っている通信手段は、災害時にはそれぞれ異なる理由で制限がかかったり麻痺してしまうリスクがあります。仮に連絡がつながっても、従業員から届く返信を1通ずつ手作業でまとめる作業には、膨大な時間と労力がかかります。
一方で安否確認システムは、安否確認メッセージの一斉送信・集計も自動化されているので、人手を介さず迅速に安否確認できます。さらに、メール・専用アプリ・LINEなど複数の連絡手段の組み合わせや、サーバーの地方分散・国際分散といったリスク分散により、通信規制の影響を最小限に抑えられます。
人手が足りない災害直後だからこそ、誰が動けるのかをすぐに可視化する仕組みとして安否確認システムは欠かせないと言えるでしょう。
クラウド型の安否確認システムはどのような流れで導入できますか?
クラウド型安否確認システムを導入する流れは、以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 1.安否確認システムの導入目的を整理する | 現状の課題や過去の被災経験を踏まえて、安否確認システムを導入する目的を整理します。導入事例を参考にするのもおすすめです。 |
| 2.安否確認システムを比較する | 数ある安否確認システムの「料金・機能・運用体制」を比較して、自社に一番合うシステムを決定します。 |
| 3.無料トライアルにエントリー | 安否確認システムには、だいたい2週間から1ヶ月間の無料トライアルがあります。導入後のミスマッチが無いように、実際の操作性を確認しましょう。 |
| 4.個人で機能を試してみる | まずは、導入担当者が個人で「安否確認メッセージの送信・回答」などの機能を試してみます。 |
| 5.関係部署と連携して機能の検証を行う | 「安否確認メッセージの送信・回答」、「掲示板への書き込み」といった機能を複数人で行います。回答を集計した後の、ダッシュボードの見やすさ、未回答者への再送信機能も確認すると良いでしょう。 |
| 6.本番環境の構築 | 「震度・地域」の設定、安否確認メッセージの作成、従業員データ連携など、全社展開に向けた本番環境の構築を進めます。 |
| 7.全社通知 | 操作説明会の実施やFAQページの共有を行い、従業員全員に操作方法のレクチャーを行います。 |
また、災害時に安否確認システムを使いこなすためには、導入後の活用がとても重要です。定期的な防災訓練で機能を使ってみることで、「操作方法がわからない」、「通知が届かない」といった課題を事前に確認できます。
以下の記事では、安否確認システムの導入の流れを詳しく解説しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。
クラウド型の安否確認システムの比較記事はこちらから
安否確認システムはクラウド型が主流であり、災害時のリスク分散、初期費用の削減、メンテナンス不要といった多くのメリットがあります。
以下の記事では、各システムの機能・料金・無料お試し期間を比較しています。災害に備えた最適なシステム選びにぜひ参考にしてみてください。
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編集者:遠藤 香大(えんどう こうだい)
トヨクモ防災タイムズ 編集長 RMCA BCPアドバイザー トヨクモ株式会社で災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案や情報発信に携わる。トヨクモ防災タイムズではBCPや災害対策に関する記事の企画・執筆・編集を担当。専門家との連携や現場視点を取り入れながら、読者に寄り添う防災情報の発信を目指している。